フレイニャのブログ

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ransom, redemption, redeem 解説

ふと ransom「身代金」の語源て何だろう?と思い『ランダムハウス英和大辞典』を調べると,redemption と同根ということが書いてあり,へーと思って同辞典で redemption の語源を調べると redeem と関係と書いてありました。ということで,この 3 語を解説します。

(1) ransom「身代金;贖罪,免罪金支払い

ransom「身代金」の意味はランサムウェアで簡単に覚えられます。ウイルスにかかってパソコンなどがおかしくなり,正常に戻したければ金を払えと言ってくるマルウェアです。なおマルウェアは “mal-” に「悪」の意味があり,「悪意あるソフトウェア(malicious software)」という意味です。

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さてポイントは太赤字にしなかった「免罪金支払い」でしょう。お金を払って免罪符を買い,「罪を買い戻す」という意味から,人質を買い戻す「身代金」という意味が生まれたのでしょう。

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(2) redemption「贖罪,償い,買い戻し,身請け」

レッド・デッド・リデンプションにも使われている redemption ですが,確かに ransom に意味が似ていますね。

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この間「ゴッドファーザー Part 3」を見ていたらアル・パチーノ演じるマイケル・コルレオーネが,懺悔を聞いてくれるというランベルト枢機卿に「私の犯した罪は beyond redemption(贖罪できないほど重い)」と言っていました。兄のフレドを殺してしまったことは重すぎることでしたね。

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(3) redeem「弁済する,清算する,買い戻す,(欠点などを)補う,(身代金を払って)解放する,(名誉を)挽回する,贖罪する」

redemption は redeem の名詞形なんでしょうね。見合うだけのお金を支払って,人質を取り戻したり,質屋に入れた品を買い戻したり,ローンを完済するといった意味です。「名誉を挽回する」というのも,失われた名誉を自らの行動を以て「買い戻す」という比喩なのでしょう。

 

最後に恒例の,自分が訳したアーサー王物語やアルスター伝説に使われているかの調査ですが,「アルスターの猟犬」最終回に redeem がありました。クー・フーリンの仇を取ったコナル・ケルナハがエメルに報告しているセリフです。

Too late I came to save him, if perchance he still might shun the hour of his death; but not too late my promise to redeem and to avenge his fall.「もしかしたら彼はまだ死の瞬間を避けてくれていたかもしれないのに,彼を助けに行くのが間に合わなかった。でも彼の名誉を取り戻して彼の死に復讐するという僕の約束は間に合ったよ」(アルスターの猟犬(61)

avenge his fall「彼の没落(死)の復讐をする」は簡単でしょう。redeem his fall は「彼の没落によって失われた名誉を回復する」と理解しました。

 

ローランの歌」にもありました。

Five hundred pounds would not their worth redeem.

=Five hundred pounds would not redeem their worth.「500ポンドは下らない代物だ」(ローランの歌(8)

さらりと訳してしまいましたが,くどく訳すと「たとえ500ポンドであっても,その価値をあがなうことはできないであろう」(仮定法)ということで「500ポンドでも買い取れない」という意味でしょう。

 

さすがに ransom「身代金」はないかな?と思ったら「アーサー王と騎士達」にありました。

As the ransom of your lives, I will that ye take these dead bodies and carry them to Rome, and there present them for me, with these letters saying I will myself be shortly there.「卿らの身代金代わりとして,卿らはこれらの遺体をローマに運び,そこで余の代わりに遺体を人民に示し,間もなく余自身がそちらに向かうと告げよ」(アーサー王と騎士達(23)

アーサー王のローマ征服を描いた回ですね。「卿らの身代金代わりに」とは比喩であり,「卿らを生かしておいてやる代わりに」という意味ですね。

 

なお私のブログの「検索」窓に好きな単語を打つことで,その単語が使われている記事を全部引っ張り出すことができます。例えばベイリン(Balin)が登場する回だけ見たい場合は,検索窓に Balin と打ってみて下さい。どんな英単語を打っても何かしらの記事が出て来るブログを目指したいですね!

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