have to-V「V しなければならない」,had better V「V した方が良い」のように,be to-V の be to も助動詞として捉えましょう。
助動詞と言えば複数の意味があることが多いのがポイントです。古典日本語の助動詞「む/むず」には意志,推量,仮定,婉曲,適当,勧誘の意味があります。be to には5つの意味があります。「か・ぎ・よ・う・い」(鍵用意)という語呂合わせで覚えましょう。
【か】可能「V することができる」
通例,否定文で使います。つまり be not to-V で「V することができない」と言うのに使います。
Happiness is not to be bought. = Happiness cannot be bought.「幸福は買うことはできない」
Happiness is not to be found in... = Happiness cannot be found in...「幸福は……には見いだせない」
※興味深いことに『ジーニアス英和辞典』には「to be done を従える」と書いてあります。つまり to-V のところは受け身になるというのです。確かに上の例を見るとそうなっていますね(to be bought,to be found)
※驚いたのですが,古典日本語の助動詞「る/らる」も,打消が付いている時は「可能」の意味になっていることが多いそうです。
【ぎ】義務「V するべきである」
I don't know what I'm to say = I don't know what I should say「どう言うべきか分からない,何と言ったらよいか分からない」(a-ha の Take On Me の歌詞より)
助動詞 be to は『ジーニアス英和辞典』では「正式」,『ランダムハウス英和大辞典』では「通例文語」となっているのに,ポップスの歌詞に使われているのは不思議ですね。でも歌詞はある意味「詩」ではありますね。
【よ】予定「V する予定である」
many of the knights were greatly wroth with him when they heard he was to be the queen’s champion「騎士の多くは,ボールス卿が王妃の勇者になる予定だということを聞いて彼に激怒した」(アーサー王と騎士達(49))
【う】運命「V する運命である,V することとなる」
He was never to come back to Japan.「彼は二度と日本に帰って来る運命になかった」
【い】意図「V したいと思う」
If 節中で使うことが多いです。If S is to-V「もし S が V したいと思うなら」
■助動詞 be to ではない be to もある
助動詞 be to を習うと何でもこれで訳してしまいがちになりますが,
To see is to believe.「見ることは信じることだ(百聞は一見に如かず)」の is to-V は「……は V することだ」の意味だから気を付けましょう。
My dream is to-V も単に「私の夢は V することです」という意味です。
■If S were to-V について
be to を仮定法にした If S were to-V は「仮に S が V するようなことがあったら」「たとえ S が V するようなことがあっても」という意味で,有り得ないことを敢えて仮定するのに使います。
■have to-V と be to-V の語源について
have to-V は「V することを持っている」→「V する仕事を持っている」→「V しなければならない」ということでしょう。
be to-V については,to-不定詞の to は方向を示す前置詞であり,「V する方向にいる」ということでしょう。ここから可能,義務,予定,運命,意図の意味が説明できると思います。
■発展(おまけ)
最初に have to-V,had better を紹介しましたが,have to-V には have only to-V = only have to-V「V しさえすればよい」,had better V には had best V「V するのが一番だ」というのもあります。また,have yet to-V = be yet to-V は「まだ V していない(これから V せねばならない)」です。
■発展(英語教師向け)
この助動詞 be to に似ている,古典日本語の助動詞は何でしょうか? と生徒に問いかけるのも一興でしょう。私は「べし」が近いと思います。「べし」は推量,意志,可能,当然・義務,適当・勧誘,命令の意味があり,下線部分が be to と共通しています。