先日の記事ではin=im,ex=eをやりましたが,今回はen=emです。
接頭辞・接尾辞enは「……になる・する」「……に入る・入れる」という意味を付加し,b, p, mの前ではemとなります。
enjoyは「joyに入る」ということになります。
厄介なのは接頭辞となるか接尾辞となるかがまちまちで,法則がないように思われる点です。shortの場合はshorten(接尾辞),largeの場合はenlarge(接頭辞)です。
またlongの場合は×longenも×enlongも不可です。
さらにenlighten,emboldenのように接頭辞と接尾辞が両方つくものもあります。
なお発音は接頭辞の場合/ɪn/,/ɪm/,接尾辞は/(ə)n/ となるようです。
では幾つか見ていきます。
embark「乗船する・させる,着手する(embark on...)
embody「具体化する,具体的に示す,内容として盛り込む」
endanger「危険にさらす」
enhance「(価値などを)高める」※hanceという英単語はありませんが,ラテン語のaltus「高さ」から来たようです(lとtどこ行った)
enlarge「拡大する,(写真を)引き伸ばす」 ※「現像する」はdevelop
empathy「感情移入,共感」 ※empathizeは2020/2/11の記事で扱いました
enrich「豊かにする」※経済的のほか味・心などにも使え,「(ウランを)濃縮する」の意もあり
ensnare, entrap「罠にかける」 ※snare, trapは「罠」
entitle「表題をつける,称号・権利を与える」 ※エンタイトル(ド)ツーベースは英語ではground rule doubleと言うようです
envisage, envision「思い描く」 ※envisageは/ɪnvɪ́zɪdʒ/ インヴィズィジ
shorten「短くする・なる」 ※shortには「(食べ物が)サクサクした,崩れやすい」という意味があり,そういう状態にするものがショートニング(shortening)です
broaden「(視野など)を広げる」
lighten「明るくする・なる,軽くする・なる」
darken「暗くする・なる」
embolden「勇気づける,励ます」 ※bold「大胆な」
※embolden は FF14赤魔道士のアビリティ「エンボルデン」として登場
enlighten「啓蒙する」 ※lightenの前に更にenを付けている
「啓蒙する」は「蒙(くら)きを啓(ひら)く」で,lightを使っている英語と同じ発想なのが面白いですね。というより,lightを使っているから同じイメージの「啓蒙する」という訳語を当てたということでしょうか。なお,上から目線の単語ですが,それゆえに自分を目的語にするのはへりくだった響きになります。
Can you [Could you] enlighten me [us]?
は「無知な私(たち)にお教え願えませんか」と丁寧に教えを請う響きになるわけです。
今日はこの辺で!