今回は綴りが似ている単語2組です。
(1)perishとparish
perish /pérɪʃ/「滅ぶ,消滅する,腐る,非業の死を遂げる」
“per”にはthroughの意味があり(persevere /pəːrsəvɪ́ər/ とか)「過ぎてゆく」というイメージからだそうです。
parish /pǽrɪʃ/「教区,教区民,(ルイジアナ州の)郡」
ルイジアナ州は元フランス領だった影響で(地名はルイ14世に由来し,1803年にナポレオンがアメリカに売却),郡を通常のcounty(カウンティ)ではなくparishと言うそうです。
ルイジアナ州最大の都市はニューオーリンズNew Orleans,州都はバトンルージュです。バトンルージュはまさに「赤いバトン(杖,棒)」という意味です。オーリンズは「オルレアン(フランスの地名→オルレアン公)」で,オルレアンの由来はローマ皇帝アウレリアヌス(在位270-275)まで遡ります。
1989年にヤクルトスワローズで活躍し(本塁打王),1990年に阪神タイガースで戦ったパリッシュ選手はParrishです。
(2)personとparson
person /pə́ːrsn/ 「人」
「役者の仮面(persona),登場人物」が語源です。複数はpeopleですが堅くpersonsとも言います。
parson /pɑ́ːrsn/ 「牧師」
語源はpersonから分化したようです。
「パーソンズ」というバンド,私も好きなんですが(future starが好き),Personzという独自の綴りです。
社会学者のタルコット・パーソンズ(1902-1979)はParsonsという綴りです。
(3)その他
ちょっと内容が薄いので「聖職者」的なのを加えます
the clergy「聖職者たち」
※集合名詞であり,1人の「聖職者」の意味ではありません。それは次項です。
a clergyman「(1人の)聖職者」
clergyとclergymanの関係にある組はたくさんありますね。a gang「ギャング団」とa gangster「(1人の)ギャング」,a staff「スタッフチーム」とa staff member「(1人の)スタッフ」,the police「警察」とa police officer「警察官(a policeman)」などです。それぞれ左のものを〈集合名詞〉と言います。『ウィズダム英和辞典』は「集合的に」と書いていますね。
reverend /révərənd/「聖職者,牧師,尊師,……師」
※聖職者・牧師への呼びかけにも使われます。revere /rivɪ́ər/ 「尊敬する」というちょっと難しい動詞に関係します。
pastor「(プロテスタントの)牧師」
※語源的にPasteurという名前と関係していそうです。
the Pope「ローマ教皇」
※形容詞形はpapalで,そこからも予感するようにfather的なものが語源です。
cardinal「枢機卿」
※「基数(one, two, three...)」をcardinal numbers,「序数(first, second, third...)」をordinal numbersと言いますが,「枢機卿」は「基数」に使われるcardinalですね。「重要な機能を果たす」といったものが語源のようです。
bishop「司教,主教」
※arch-は「アーチ」と読みarchbishopもそうですが,「アーク」と読む単語もあります。
archenemy「大敵」 /ɑːrtʃ-/ 「アーチ型」
archduke「大公」/ɑːrtʃ-/ 「アーチ型」
archangel「大天使」/ɑːrkèɪndʒəl/ 「アーク型」
archaeology「考古学」/ɑːrkiɑ́(ː)lədʒi/ 「アーク型」
※(one's) archenemyは「不倶戴天の敵」と訳すこともありますが,(one's) mortal enemyとも言います。mortalは「死ぬ運命にある,死すべき」という意味なので,「生かしてはおけない敵」ということですね。
↓ルイジアナ州のアチャファライア盆地(Atchafalaya Basin)