フレイニャのブログ

英文法・英単語,ゲーム中心です。ツイッターの相互フォローと,英文法・英単語の質問を(ガチで)募集中です。質問・ミス指摘はコメント欄か,こちらにお願いします→ kfreynya@gmail.com

アルスターの猟犬(19)

アルスターの猟犬(18)」の続きです。第8章の最後です。遂にクー・フーリンがエメルを妻にする時がやって来ました。

 

“Why, O maiden, dost thou talk thus to me? Dost thou not reckon me among the strong men, who know not fear?” “If thy deeds were known to me,” she said, “I then might reckon them; but hitherto I have not heard of all thy exploits.” “Truly, I swear, O maiden,” said Cuchulain, “that I will make my deeds to be recounted among the glories of the warrior-feats of heroes.”

「おやお嬢さん,そんな風に言うのですか? 僕のことを恐れを知らない強者の1人としてみなさないのですか?」「もし貴方の行いを知っていれば」彼女は言った。「それらを評価するでしょう。でも今のところ私は貴方の手柄を全ては知らないのです」「心から誓います,お嬢さん」クー・フーリンは言った。「僕の行いは英雄の栄えある戦士の技として繰り返し語られることになることを」

hithertoは「これまでのところ」です。hitherはhereの古語で,to here「ここまで」ということかと思います。

exploitは良い意味で「開発する(有効利用する)」,悪い意味で「搾取する(不当に利用する)」です。名詞exploitsは「手柄,偉業」です。

 

“How do men reckon thee?” she said again. “What then is thy strength?” “This is my strength,” he said. “When my might in fight is weakest, I can defend myself alone against twenty. I fear not by my own might to fight with forty. Under my protection a hundred are secure. From dread of me, strong warriors avoid my path, and come not against me in the battle-field. Hosts and multitudes and armed men fly before my name.”

「どのようにして認められるのですか?」彼女はまた言った。「そう言うなら貴方の強さはどこにあるのですか?」「これが僕の力です」彼は言った。「僕が一番戦いが弱かった時,僕は1人で20人と戦えました。僕は自分だけの力で40人と戦うことを恐れません。僕が守れば100人が安全です。僕を恐れて,強い戦士が僕の行く手を避けますし,戦場で2度と立ち向かってきません。軍勢も大人数も武装した兵士も僕の名前を聞くと飛ぶように逃げるのです」

secureは形容詞「安全な」と動詞「確保する」が重要です。どちらも忘れないようにしましょう。ただ名詞形securityに「確保」の意味はありません。


“Thou seemest to boast,” said Emer, “and truly for a tender boy those feats are very good; but they rank not with the deeds of chariot-chiefs. Who then were they who brought thee up in these deeds of which thou boastest?”

「自慢なさっているようですが」エメルは言った。「確かに若い男の子にしてはそうした偉業は素晴らしいものですが,戦車長の手柄ほどではないんじゃないかしら?だとしたら,貴方が鼻にかけて言う,そうした行いをするほどに貴方を育て上げたのは,一体どなたかしら?」

boastは「鼻にかける,自慢する」です。この段落末で of which thou boastest (=of which you boast) となっているのは,boast of... と言うからです。

rank with... は「……と一緒のランクである」「……に匹敵する」です。

Who then were they who brought thee upの1回めのwhoは疑問詞,2回めは関係代名詞のwhoで,「貴方を育てた彼らは誰ですか?」(「誰が貴方を育てたのですか」の分裂構造)という意味ですが,このようにwho...who...となる場合,英文法の授業では2回めの関係代名詞はthatを使えと習います。


“Truly, O maiden, King Conor is himself my foster-father, and not as a churl or common man was I brought up by him. Among chariot-chiefs and champions, among poets and learned men, among the lords and nobles of Ulster, have I been reared, and they have taught me courage and skill and manly gifts. In birth and bravery I am a match for any chariot-chief; I direct the counsels of Ulster, and at my own fort at Dun Dalgan they come to me for entertainment.

「実はお嬢さん,コノール王その人が僕の育て親なのです。それで王によって僕は,その辺のゴロツキや凡人のようには育てられていません。戦車長や勇者達,詩人や学者達,アルスターの君主や貴族達に囲まれて,僕は育てられてきたのです。そして彼らは僕に勇気や技量や多くの能力を教えてくれました。生まれの良さと勇敢さにおいて,僕はどの戦車長にも匹敵します。僕はアルスターで相談役達を率いているし,ダン・ダルガンの僕の砦に彼らは遊びに来るんですよ」

・自分を売り込むクー・フーリンがかわいいです。

learned menのlearnedは「学識ある」という意味であり,特別な /lə́ːrnɪd/「ラーニッド」 という発音です。

In birthを「生まれた時,生まれながらにして(ar birth)」と最初読んだのでその後が続かなかったのですが,正しくは〈分野のin〉「……(の分野)において」で,「生まれと勇敢さにおいては」という意味です。「生まれ」を「生まれの良さ」と分かりやすくしておきました。

direct the counselsは難しかったです。directは「導く,指導する」と思われます。counselsはof Ulsterが続いているので〈人間〉かなと思いました。counselは「顧問,相談役,弁護士」という意味があるようです(通常不可算名詞ですが)。自慢話なので,「僕には複数の顧問達がいる」と言いたいのかなと思いました。

Dun Dalgan「ダン・ダルガン,ダンドーク」は現在のラウス県にあるそうです。ラウス県(County Louth,Contae Lú)の由来は「ルー」なので,まさにと言った感じですね(クー・フーリンの神の父は長腕のルー,人の父はスアルタム)

 

Not as one of the common herd do I stand before thee here to-day, but as the favourite of the King and the darling of all the warriors of Ulster. Moreover, the god Lugh the Long-handed is my protector, for I am of the race of the great gods, and his especial foster-child. And now, O maiden, tell me of thyself; how in the sunny plains of Lugh hast thou been reared within thy father’s fort?” “That I will tell thee,” said the girl. “I was brought up in noble behaviour as every queen is reared; in stateliness of form, in wise, calm speech, in comeliness of manner, so that to me is imputed every noble grace among the hosts of the women of Erin.”

「平凡な大衆の1人としていま君の前に立っていないんです。王のお気に入りとして,アルスター中の戦士達の人気者としてです。おまけに,長腕のルーが僕の守護神なんです。というのは僕は大いなる神々の血を引いていて,ルーの特別な養子なんです。そして今,お嬢さん,君のことを教えてほしい。このルーの陽の当たる平野で,君はどのようにして,父君の砦で育てられてきたのかな?」「お教えしましょう」少女は言った。「私はあらゆる女王が育てられるように,気品のある振る舞いをするよう育てられてきました。堂々とした出で立ち,賢明で物静かな物言い,物腰の可愛さを教わってきました。だからエリンの大勢の女性たちにある,あらゆる気品のある優雅さが私には身についております」

・「自分はルーの血を引いているが,君はルーの庭で育ったんだね」と言うのは上手いですね。

herdは「(牛馬の)群れ」のみならず,けなしつつ「(人の)群れ」も意味します。

・このbutは「ではなくて……」のbut(not A but Bのbut)ですね。

・このdarlingは「愛しい人,ダーリン」ですが,ここは「人気者」です。

・「長腕のルー(Lugh the Long-handed)」という言い方が登場しました。handだから,もしかして手首から先が長いという可能性はないでしょうか。

especialはspecialが普通ですが,speciallyはespeciallyが普通です。

・以前も言いましたがここのspeechは「言葉」です。「演説」ではありません。

imputed to Nは「Nに帰属して,Nのせいにされて」です。関連して重要なのはattribute A to B「AをBのせいにする」ですね。名詞attributeには「属性」の意味があります。動詞は /ətrɪ́bjuːt/,名詞は /ǽtrɪbjuːt/ です。


“Good, indeed, are those virtues,” said the youth; “and yet I see one excellence thou hast not noted in thy speech. Never before, until this day, among all women with whom I have at times conversed, have I found one but thee to speak the mystic ancient language of the bards, which we are talking now for secrecy one with the other. And all these things are good, but one is best of all, and that is, that I love thee, and I think thou lovest me. What hinders, then, that we should be betrothed?”

「実に良いですね,そうした美徳は」若者は言った。「しかし僕は君が仰っていない,1つの卓越した点を見出しました。今日この日まで,1度たりとも,僕が時々話をした多くの女性達の中に,貴方ほど吟遊詩人のような神秘的な古代の言葉,僕たちがいま互いに秘めやかに話している言葉,を話す人はいませんでした。そしてこれらは皆良いものですが,1つ最高のことがあります。それは,僕が貴方を慕っており,貴方が僕を慕っているということです。ならば僕たちが婚約をすることに何の妨げがありましょう?」

・さすが神の子と言ったプロポーズですね。

converseは「会話する」という意味と「逆(の)(reverse, inverse)」の意味があります。会話がキャッチボール←────→であることを考えれば,イメージが掴めるでしょう。conversationconverseの名詞形です。

・このweが(1)「私達(アルスター人)」の意味なのか(2)「君と僕」の意味なのかに迷いましたが,決め手となったのがone with the otherです。3つ目,4つ目が想定される場合はone──anotherを使いますが,全体が2で終わる場合は,one,──the otherなのです。the otherを使っていることから(2)「君と僕」と解釈しました。

be betrothedは「婚約する・している(be engaged)」の古い言い方です。troth「真実,忠節,婚約」から来ていますが,true, truth, trustと明らかに関係がありそうですね。

 

But Emer would not hasten, but teasing him, she said, “Perhaps thou hast already found a wife?” “Not so,” said he, “and by my right-hand’s valour here I vow, none but thyself shall ever be my wife.” “A pity it were, in deed, thou shouldst not have a wife,” said Emer, playing with him still; “see, here is Fiall, my elder sister, a clever girl and excellent in needlework. Make her thy wife, for well is it known to thee, a younger sister in Ireland may not marry before an elder. Take her! I’ll call her hither.” Then Cuchulain was vexed because she seemed to play with him. “Verily and indeed,” he said, “not Fiall, but thee, it is with whom I am in love; and if thou weddest me not, never will I, Cuchulain, wed at all.”

しかしエメルは結論を急がずに,彼をからかって言った。「もしかしたらもう奥さんがいらっしゃるんじゃなくって?」「いえ,いません」彼は言った。「そして私のこの右手の武勇に誓って,ここに誓います。貴方以外の妻を持ちません」「貴方に奥さんがいらっしゃらないとしたら,本当に残念なことですわね」とエメルは依然として彼をからかって言った。「ほら,ここにはフィアル,私の姉がいます。賢くて針仕事に優れています。姉を妻になさい。貴方もご存知でしょう。アイルランドの妹は姉より先に結婚できないのです。姉を娶りなさいませ!姉をここに呼びます」するとクー・フーリンは,彼女にからかわれていると見て苛立った。「実に心から」彼は言った。「フィアルではなく貴方を,僕はお慕いしているのです。もし貴方が私と結婚しないのなら,僕クー・フーリンは結婚しません」

teaseは「からかう」です。teaseのseの音は濁りますが,cease「止まる」のseは濁りません。

 

Then Emer saw that Cuchulain loved her, but she was not satisfied, because he had not yet done the deeds of prime heroes, and she desired that he should prove himself by champion feats and deeds of valour before he won her as his bride.

それでエメルはクー・フーリンが自分を愛していると分かったが,彼女は満足しなかった。彼がまだ一番の英雄としての行いを果たしていなかったからであり,彼が自分を嫁として勝ち取る前に,勇者の偉業や勇敢な行為で自らの力を証明することを望んだからだ。


So she bade him go away and prove himself for a year by deeds of prowess to be indeed a worthy mate and spouse for her, and then, if he would come again she would go with him as his one and only wife. But she bade him beware of her father, for she knew that he would try to kill him, in order that he might not come again. And this was true, for every way he sought to kill Cuchulain, or to have him killed by his enemies, but he did not prevail.

そこで彼女は彼に,1年間,卓越した行いで真に私の伴侶として相応しいことを証明しに行きなさい,そしてもし帰ってきたら貴方の無二の妻になりましょうと言った。しかし彼女は父に気をつけなさいとも言った。というのも二度と戻ってこられないよう,父が彼を殺そうとするだろうと分かっていたからだ。そしてこれは本当だった。というのも彼はあらゆる手段でクー・フーリンを殺すか,敵を使って殺させようとした。しかしうまく行かなかった。

・in order to-V「Vするために」はto-不定詞(動詞)の形で目的を述べますが,in order that節を使えば文の形(節の形)で目的を述べられます。so that S may [will, can] V「SがVするために」の堅い形です。


When Cuchulain had taken farewell of Emer and gained her promise, he returned to Emain Macha. And that night the maidens of the fort told Forgall that Cuchulain had been there and that they thought that he had come to woo Emer; but of this they were not sure, because he and Emer had talked together in the poet’s mystic tongue, that was not known to them. For Emer and Cuchulain talked on this wise, that no one might repeat what they had said to Forgall.

クー・フーリンがエメルにサヨナラを言って,彼女との約束を受けると,彼はエヴァン・マハに戻った。そしてその夜,砦の少女達はフォルガルに,クー・フーリンがエヴァン・マハに行ったこと,クー・フーリンがエメルに求婚しに戻ってくるだろうと思うと伝えた。しかし彼女達は半信半疑だった。というのも彼とエメルは詩人が使う神秘的な言葉で話していたので,彼女達にはよく分からなかったのだ。エメルとクー・フーリンはこのやり方で話し,誰も自分たちがフォルガルに言ったことを繰り返せなかった。

wiseには「やり方(way)」という意味があります。clockwise「時計回りに」,otherwise「その他の方法で,さもなければ」の-wiseはこれです。


And for a whole year Cuchulain was away, and Forgall guarded the fort so well that he could not come near Emer to speak with her; but at last, when the year was out, he would wait no longer, and he wrote a message to Emer on a piece of stick, telling her to be ready. And he came in his war-chariot, with scythes upon its wheels, and he brought a band of hardy men with him, who entered the outer rampart of the fort and carried off Emer, striking down men on every side. And Forgall followed them to the earthen out-works, but he fell over the rath, and was taken up lifeless. And Cuchulain placed Emer and her foster-sister in his chariot, carrying with them their garments and ornaments of gold and silver, and they drove northward to Cuchulain’s fort at Dun Dalgan, which is Dundalk to-day.

そして丸1年クー・フーリンはいなくなり,フォルガルは彼がエメルと話しに近づけないように砦を堅く守った。しかしついに,その1年が過ぎると,彼はもはや待ちきれずにエメルへの伝言を棒切れに書き,準備をするよう告げた。そして彼は自分の戦車で,車輪に大鎌を付け,頑丈な者共を引き連れてやって来た。彼らは砦の外壁の中に入り,あらゆる方向からの襲撃者を打ち倒してエメルを連れ去った。そしてフォルガルは東の外砦まで彼らを追跡したが,土塁の上に落下し,死体となって引き上げられた。そしてクー・フーリンはエメルと義理の姉を戦車に乗せ,彼女達の衣装や金銀の装飾品も乗せ,ダン・ダルガン──こんにちダンドークと呼ばれている所──の自分の砦まで北に走った。

scythe /saɪð/ は「大鎌」です。FF11など,武器名としてゲームにも登場しますね。ところで車輪に大鎌を付けたことの意味が語られていません。もしかしたら「略奪の意図」を示していたのかもしれませんね。

was taken up lifelessの正確な訳し方に悩みました。フォルガルが城壁から落ちて死んだことはウィキペディアに書いてあったので「死んだ」ことは間違いない,しかしbe taken up lifelessで「死ぬ」という意味の定形表現かなと思って辞書を引きまくってしまいました。ここでは「悩んだ時は意外と直訳(逐語訳)」の精神が当てはまりました。城壁から落ちたわけですから,文字通り「死んだ状態で(lifeless)」 「持ち上げられた(be taken up)」のでしょう。しかしフォルガルは能力がありそうな描写だったのに落下死とは情けないですね。まるで求婚というより略奪ですが(親父殺されてるし),2人が相思相愛というのが大きいです。


And they were pursued to the Boyne, and there Cuchulain placed Emer in a house of safety, and he turned and drove off his enemies who followed him, pursuing them along the banks and destroying them, so that the place, which had before been called the White Field, was called the Turf of Blood from that day. Then he and Emer reached their home in safety, nor were they henceforth parted until death.

そして彼らはボイン川まで追跡されたが,そこでクー・フーリンはエメルを安全な家の中に入れ,向きを変えて追跡してきた敵を追い払い,川の土手まで追いかけて殺戮した。それでこの場所は,それまで白の野原と呼ばれていたのだが,その日から血塗られた芝と呼ばれた。それから彼とエメルは無事に帰還し,それ以来死ぬまで別れることはなかった。

ja.wikipedia.org

==========

これがクー・フーリンがエメルを妻にした第8章でした。次回から第9章に入ります。また話がメーヴ女王に戻るようですよ。お楽しみに!

 

にほんブログ村 英語ブログへ
にほんブログ村

 

www.freynya.com