take it for granted that...「……であることを当然と考える」を2方面から解説します。
(1)take O +副詞「Oを副詞のように受け止める,捉える」
takeは「取る」で,そこから物事を「受け止める,捉える」という意味が生まれます。「彼の言葉を侮辱と取る」の「取る」です。実際
take his words as an insult「彼の言葉を侮辱と取る」
と言えます。一般化すれば
take A as B「AをBと取る,AをBとして受け止める」です。as Bのところは「受け止め方」を表す副詞・副詞句で,1語の副詞でも数語の副詞句でもOKです。
take O seriously「Oを深刻に受け止める」(take the news seriously)
take O calmly「Oを冷静に受け止める」(take the news calmy)
take it easy「気楽にやる」(itは〈状況〉,ここのeasyは副詞)
take O as a matter of course「Oを当然のこととして受け止める」
take O for granted「Oを当然のこととして受け止める」
直前の2つは訳が同じですが,grantは「保証する,叶える」ですので,take O for grantedは「Oが当然保証されていると考える,当然もらえるものだと持っている」と考えると良いです。例えば
take air and water for granted「空気と水が当たり前のように手に入ると思っている」
です。
さて,Oに入るのは名詞・名詞句です。文(S V...)やthat節(that S V...)はOに入れられるのでしょうか。ちょっとキツいですね。
(2)文(S V...) を仮目的語itで置き,真の内容は文末に回す。
That he got angry is natural.「彼が怒ったことは当然だ」は,
It is natural that he got angry. とできます。頭でっかちな主語That he got angryをItで置き換え,that he got angryは文末に回したのです。こういうitを仮主語(仮目的語),形式主語(形式目的語)のit と言います。
take O for grantedのOにthat節を入れると,
take that he will help me for granted「彼が助けてくれるだろうことを当たり前と考える」となり,窮屈です。そこで that he will help me を it に置き換え,
take it for granted that he will help me とします。こうして生まれたのが,
take it for granted that...「……であることを当たり前と考える」です。it と that... が,仮目的語と真の目的語の関係にあることを理解して下さい。
(3)受動態も可
これらは受動態にできます。
We take freedom of speech for granted.「言論の自由は当たり前だ(当たり前に保証されている)と考えられている」
→Freedom of speech is taken for granted.
We took it for granted that he would come.「彼が当然来るだろうと思っていた」
→It was taken for granted that he would come (by us).
一般化すれば,
It is taken for granted that...「……であることは当然と考えられている」です。
It is taken as a matter of course that...「……であることは当然と考えられている」もあります。
(4)grantとgrunt
完全におまけです。
grant「保証する,叶える,与える,認める;助成金」
→granted that...「……ということは認めるにしても,認めるならば」
※「保証する」にはguaranteeもあり,語源は繋がっているようです(綴りもなんとなく似ていますね)
U.S.Grant:南北戦争(1861-65)の北軍の将軍。アメリカ第18代大統領。2期8年務めた(1869-1877)。リンカン(1861-65),A.ジョンソン(1865-69)の後の大統領
grunt「ブーブー言う,不平を言う;歩兵」
※こちらの語源はimitative「模倣的」とあり,擬音語ということですかね。豚の鳴き声はoinkですが。
※昔のゲームでGruntというオークのモンスターがいた気がします(ブラックオニキスだったかな?)「オーク歩兵」ということだったのでしょうか?