フレイニャのブログ

英文法・英単語,ゲーム中心です。ツイッターの相互フォローと,英文法・英単語の質問を(ガチで)募集中です。質問・ミス指摘はコメント欄か,こちらにお願いします→ kfreynya@gmail.com

アルスターの猟犬(20)

アルスターの猟犬(19)」の続きです。第9章に入り,再びメーヴの話に戻って参りました。

 

CHAPTER IX

Meave demands the Brown Bull of Cooley and is refused

For many years Meave had been making preparations for her war with Ulster. To the East and South and West she had sent her messengers, stirring up the chiefs and calling them to aid her in her attack on Conor’s land. From every quarter she asked for supplies of men and food, and if these were refused, she sent her fighting-bands into the district to waste and destroy it, and to carry off the cattle and produce by force.

何年もメーヴはアルスターとの戦いを準備していた。東に南に西に使者を送り,首長達を駆り立てて,コノールの国に攻撃する自分を助けるよう要請した。あらゆる場所に彼女は人員と食料を請い,拒否されようものなら,その地域に戦闘部隊を送り込んでその地を荒らし,破壊させ,牛馬や産品を強制的に持ち去った。

・なかなか苛烈な性格の女王ですね。

produceは動詞で名詞はproduct,production,producerですが,produce自身も名詞として使われることがあり,「産品」という意味です。farm produceで「農産品」です。

 

All the princes of Ireland stood in awe of Meave, so ruthless and proud was she, and so quick in her descent upon the lands of those who would not do her will. For had they not regarded her request, all Ireland would have been set in flames; for she would plunder and destroy without pity or remorse. So in their own defence, the princes of the provinces promised her fighting-men and provender whenever she should call upon them, and month by month she gathered round her fort at Cruachan herds of cattle and swine and sheep, ready for the war.

アイルランドの君主達は皆メーヴに畏れを抱いていた。とても容赦がなく誇り高く,自らの意志に従わない国への襲撃はとても早かった。彼らが彼女の要求を重んじなかったら,アイルランド中が炎に包まれていただろう。彼女は憐れみも後悔もなく,略奪し破壊することだろう。そこで自分の身を守るために,諸州の君主達は彼女が彼らに求めた時はいつでも彼女に兵士や飼葉の提供を約束し,月を追うごとに彼女はクルアハンの砦の周りに牛馬や豚や羊の群れを集め,戦争に備えた。

princeは「王子,親王」の他「君主,公」の意味があります。

ruthlessmercilessは「情け容赦のない」という意味です。ハクスラゲーム「ディアブロ」で武器の攻撃力を上げる接頭辞(prefix)として使われていたので覚えました。

descentは「下降」で,そこから「家系,血筋」が重要です。ここでは「下降」→「降下」→「急襲・襲撃」です。鷹をイメージしましょう。

・このForは「というのも,なぜなら」と理由と表すものとして有名ですが,どうもこの小説では因果関係を示すほどのものとしては使われていません。補足的に説明している感じです。

plunderは「略奪する」です。plunge「飛び込む,突っ込む」と紛らわしく,plungeの方が重要でしょう。

provenderは「(馬の)飼い葉」です。

クルアハンはどこにあるのか。メーヴの治めたコナハトコノート)はアルスター同様,現在もアイルランドの地方名であり,クルアハンはコナハト地方のロスコモン県にあったようです。

ja.wikipedia.org

Now Meave was looking about for a cause of contest between herself and Ulster; for she knew that Cuchulain was yet young, and she desired to begin the war before he came to his full strength; moreover, she had heard that upon Ulster at that time there lay a heavy sickness, which had prostrated its fighting-men and warriors, its princes and captains, and that even Conor, the King, himself lay ill.

そこでメーヴは自らがアルスターに起こす戦いの大義を探し回った。クー・フーリンがまだ若いことを知っており,彼が完全に成長した力を得る前に戦争を起こしたかったのだ。そのうえ彼女は,当時のアルスターには重い病が蔓延っていて,それはアルスターの戦士,君主,隊長達を病に伏せさせ,おまけにコノール王自身が病に伏せっていたのだ。

look for Nは「Nを探す」です。look aboutは「辺りを見回す」です。forは前置詞,aboutは副詞で,組み合わせてlook about for Nで「Nを探そうを辺りを見回す」です。メーヴがかなり強引に戦争の大義を探したことが窺えます。

prostrateは「伏せさせる;打ちひしがれて」です。ちょっと難しい語ですね。

causeは「理由」の他「大義」が重要です。

and thatには「おまけに」という意味もあります。


No common sickness was that which lay upon the Province, but it came of the wrath and vengeance of the gods. For in the days gone by the goddess Macha, one of the three fierce goddesses of war and battles, had visited Ulster as a mortal maid, to bring aid and comfort to one of the nobles of Ulster who was in sore distress. And the King and people had reviled her, and brought shame and scoffing upon her, because they saw that she was not as one of themselves; for they liked not that a woman greater than themselves should take up her abode amongst them. They made game of her in the public assembly, crowding round her, and scoffing at her courage and her splendid form and at her swiftness of running beyond any of the men. For they knew not that she was one of the great gods, and they were jealous of her, because they felt that she was nobler than they.

国に降りかかるどんな病も,神の憤怒や応報に由来するものである。昔,戦争を司る3柱の烈しい女神の1柱であった女神マハは人間の少女としてアルスターを訪れ,とても苦しんでいたアルスターのある貴族に助けと慰めをもたらした。すると王と人民はこの少女が自分達に属する者ではないと分かり,彼女を嫌い,彼女を辱めあざ笑った。彼らは自分達より偉大な女が自分たちの間で住居を持つことを嫌ったのだ。彼らは公の集会で彼女を攻撃の的とし,彼女の周りに群がって,彼女の勇敢さ,彼女の素晴らしい姿かたち,どんな男よりも速く走る機敏さをあざ笑った。彼らは彼女が偉大な神族の1柱とは知らず,彼女が自分達より高貴だと感じたので彼女に嫉妬したのだ。

・このNo... but〜は「〜でないものは……ない」→「……はみんな〜だ」ということです。It never rains but it pours. は「土砂降りの雨が降らない時は雨は降らない」→「雨が降る時はいつも土砂降りだ」つまり「悪いことは重なって起こるものだ」です。

・三相女神はモリガン,ネヴァン(バズヴ),マハ(マッハ,ヴァハ)なので,このthe three fierce goddesses of war and battlesは三相女神(the three Morrigna)でしょう。アルスターの都エヴァン・マハは女神マハに由来するのでしょうね。

a mortal maid「死すべき少女」は「定命の少女」つまり「人間の少女」です。

gameには「獲物」という意味があります。「彼女をいじめの餌食にした」ということです。

 

Then Macha cursed the men of Ulster, and told them that in a time of danger and sore need, when all the chiefs and warriors of Ireland should gather round its borders, plundering and destroying, she would cast upon their warriors weakness and feebleness of body and of mind, so that they could not go forth in defence of the Province, and the land should be a prey to their enemies. Only upon Cuchulain she laid not her curse, for he was young, and it fell not upon women and little children, but upon full-grown warriors only, because it was the men of Ulster who had insulted her. Then she went away from them, and in dread of her they called the palace of the King Emain Macha, or the “Brooch-pin of Macha,” to this day.

そこでマハはアルスターの人民に呪いをかけ,彼らにこう告げた。アイルランド中の首長と戦士がその国境に集まり,略奪と破壊を行うような危難と困窮に瀕する時,我は汝らの戦士を弱体化させ,心身の病にかけ,国土を守るための進軍をできなくさせよう,そしてこの国は敵の餌食になるであろうと。クー・フーリンだけは戦士の中で若かったので彼女の呪いを逃れ,女性や幼子たちも免れたが,成長した戦士達だけは呪いがかかった。彼らこそ,彼女を辱めたアルスターの民だったのだ。そうして彼女は彼らの元を離れ,アルスターの民は彼女を恐れて王宮をエヴァン・マハ,つまり「マハのブローチ」と今日まで呼んだのである。

・「マハのブローチ(Macha's brooch)」という説明はWikepedia英語版のNavan Fort (Emain Macha)にも見られます。エヴァン・マハは丸い盛り土であり,ブローチの形に見えたのでしょう。以下の記事に5枚の写真がありますが,最初の3枚はみな丸い盛り土が見えます。

en.wikipedia.org

 

When then Macha saw Meave gathering her hosts together to war against Ulster, she brought upon them this sickness, as she had prophesied. And Meave, hearing of this, hastened her preparations for the war, for she was determined that, come what might, she would march into Ulster at that time and smite it in its weakness, so that once and for ever Ulster would be subdued to Connaught by her hand. And her pride waxed greater at the thought.

そこでメーヴがアルスターに戦いを仕掛ける軍勢を集めているのをマハが見かけると,マハは予言した通りアルスターにこの病気を掛けた。そしてメーヴはこれを聞き知ると戦の準備を急いだ。というのもメーヴは何が起ころうとも今回はアルスターに進軍し,弱っているアルスターを打ち負かし,今回限りでアルスターを自らの手でコナハトに服従させようと決意していたからである。そして彼女のプライドはこうした考えを通じてますます大きくなった。

come what maywhatever may come「何が起こっても」という意味です。語順が意味不明に思えるかもしれませんが,例えば〈譲歩のas節〉に似ています。

 Rich as he is = Though he is rich ・・・〈譲歩のas節〉の例

 Come what may = Whatever may come ・・・今回の例

 この2例は以下の2つの共通点を持ちます。

 (1)rich,comeが節の末尾に移動

 (2)asは逆接のthoughに,whatは逆接を含意するwhateverに変化

smiteは「強打する,打ち負かす,苦しめる」です。smash「強打する,粉砕する,スマッシュする」と同語源でしょう。smack「ピシャリと打つ;舌鼓」もあります。

once and for everonce (and) for allとも言い,重要熟語です。「1回(once)」が「全回の代わり(for all)」をするということで,「この1回限りではっきりと」「この1回限りで永遠に」「今度こそきっぱりと」という意味です。

・このwaxは「蝋(ワックス)」ではなく「月が満ちてくる,大きくなる」という意味です。反意語はwane「月が欠けていく,徐々に弱まる」で,wax and waneで「満ち欠けする」です。

 

There were in Ireland at that time two famous bulls, unlike to any kine that ever have been in Ireland from that time until now. For these bulls were cattle of the gods, and they had come to abide among men for this purpose only, to incite and bring about a war between Connaught and Ulster. For Macha watched o’er men, and she awaited the day when her revenge upon Ulster should fall. Now these cattle were born, one in the Province of Connaught among the cattle of Meave, and the other in Ulster among the cattle of Daire of Cooley, in Cuchulain’s country.

当時アイルランドには2頭の有名な雄牛がいて,当時から現代に至るまでアイルランドにいたどんな牛とも異なっていた。というのはこれらの牛は神々の牛で,コナハトとアルスターの間で戦争を引き起こすという目的のためだけに人々の間で生活しに来た牛であった。マハは人々を監視し,自分がアルスターに復讐する日が来る日を心待ちにしていたのだった。これらの牛は,1頭はコナハトの地方に,メーヴの所有する牛に混じって,もう1頭はアルスターで,クー・フーリンの国のクーリーのダーラの牛に混じって生まれた。

o'erはoverです。

・このfallは「滅びる」ではなく,「(日時が)訪れる」という意味です。Night fell. は「夜が訪れた」です。

DaireDáire mac Fiachnaダーラ・マク・フィアハナ」のことです。Dáireアイルランド人に見られる男性名で,英国風に綴るとDaraだそうです。「クーリー」は「クアルンゲCúailnge」とも表記されるようです。

 

Meave knew not that these were immortal beasts, for that was in the secrets of the gods, but she knew well that among her cattle was one bull of extraordinary size, and fierceness, and strength, so that no other member of her herds dared to come near it; moreover, fifty men were required to keep it. And of all her stock, there was not one that Meave counted worth a metal ring beside this bull. She named him the Finn-bennach or “White-horned,” and she believed that not in Ireland nor in the whole world beside, was the equal and the fellow of this bull. One day, before the war began, while Meave was meditating in her mind what challenge she should send to Ulster, she caused all her cattle to be arrayed before her.

メーヴはこれらの牛が不死であることを知らなかった──というのもそれは神々の間の秘密だったからだ──が,彼女は自分が所有する牛の中に1頭だけ異常な大きさ,獰猛さ,力強さを持つ牛がいて,他のどの牛も彼に近づこうとしないことを知っていた。その上それを飼育するのに50人を要した。そして彼女の家畜の中で,この牛以外に金属の指輪ほどの価値があると彼女が認めたものはなかった。彼女はこの牛をフィンヴェナハつまり「白い角」と呼び,アイルランド中で,いやアイルランド以外の全世界中でも,この牛に匹敵し,この相手となる牛はいないと信じていた。戦争が始まる前のある日,メーヴがアルスターにどんな試練をお送りしてやろうかと瞑想している時,彼女は全ての牛を自分の前に整列させた。

stockは「蓄え」ですが「家畜(livestock)」の意味もあります。「生き物の蓄え」が「家畜」ということですね。

↓この記事の左の牛が「フィンヴェナハ」

en.wikipedia.org

==========

次回,もう一方の牛「ドン・クアルンゲ」が登場します。牛を巡って何が起こるのでしょうか!?

 

にほんブログ村 ゲームブログへ
にほんブログ村

 

www.freynya.com