フレイニャのブログ

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アルスターの猟犬(10)

アルスターの猟犬(9)の続きです。クー・フーリンがコノール王に借りた戦車を乗り回しています。

 

Not yet awhile,” said Cuchulain again; “too early is it to turn in; drive now towards the playing-fields that the boy-corps may salute me on this the first day of my taking arms.” They did so, and the boy-corps gathered round. “These are a warrior’s arms that thou hast taken!” cried they all, surprised to see him thus equipped in the King’s own warrior-gear, and driving in the chariot of the King. “Just so, indeed,” replied the boy.

「『もう少しだけ』クー・フーリンはまた言いました。『返すのはまだ早いよ。今度は競技場に走らせて! 僕が初めて武器を取ったこの日に少年部隊から敬礼してもらうんだ』彼らは言うとおりにして,少年部隊が彼の周りに集まりました。『これは君が手にした戦士の装備なのか!』と彼らは,彼が王自身の装備をそんな風に身に着け,王の戦車を走らせているのを見て驚き叫びました。『うむいかにも』少年は答えました」

・このthat S may Vso that S may V(SがVできるように)です。so thatがthatだけになると困りますが,mayが残っているので読めます。

・このTheyは「御者のイヴァルと馬たち」と解釈しました。直前のdriveが命令文なので,言うことを聞いて走らせたわけです。イヴァルはクー・フーリンの遊び道具にされているわけです。

 

Then they wished him well in his warrior-career. “May success in winning of spoils, and in blood-drawing, be thine,” they cried. “But all too soon it is thou leavest us and our boyish sports for deeds of war.” “In no way do I wish to part with the beloved boy-corps,” replied the lad; “but it was a sign of luck and good fortune that I should take arms to-day; therefore I thought not well to miss my luck.”

「それから彼らは彼の戦士としての成功を祈りました。『戦果を得ることに成就し勝利を得ることが汝の物とならんことを』彼らは叫びました。『でも君が戦に出るために私達の許を離れ,私達少年の競技を離れるなんて突然すぎるよ』『愛する少年部隊と別れることなど全く望んでいないよ』少年は答えました。『でも今日僕が武器を取ったことは幸運の兆しだった。だからこの幸運を逃したくなかった』」

wish 人 wellには「人のために祈る」の意があります。I wish you a Merry Christmasも似たようなものでしょう。次が祈願文(May S V)になっていることもヒントですね。

spoilsは「戦利品」ですが「略奪品」は聞こえが悪いので「戦果」と訳しておきます。

draw bloodは「血を流させる」ですが聞こえが悪いので「勝利」と訳します。

all too soonはtoo soon「早すぎる」の強調,「余りに早すぎる」「全くもって早すぎる」です。残念がっていると思われます。

 

Then Ivar urged the child again, for he was growing tired of the thing, to let him take the horses out to graze. “’Tis early yet, O Ivar,” said the boy; “whither then goes this great High-road I see?” “That is the High-road to the borders of the Province, and to the Ford of Watching or the Look-out Ford,” replied the charioteer. “Why is it called the Look-out Ford?” asked then the boy. “Because there, on the extreme limits of the Province, a watcher who is a prime warrior of Ulster always stands, prepared to challenge any stranger, before he pass the ford, of his business in the Province: if he who comes be a bard or peaceful man, to grant him protection and entertainment; but if he be a foe, to challenge him to combat at the ford.

「するとイヴァルがまた少年に,馬に草を食べさせてあげるよう促しました。というのも彼は行われていることに飽き始めていたからです。『イヴァルさん,まだ早いよ』少年は言いました。『じゃあこの大通りはどこに続いてるの?』『これは国境に続く道だよ。ウォッチングの瀬とか見張りの瀬とかいう所だよ』御者は答えました。すると少年は『何で見張りの瀬って呼ばれてるの?』と訊きました。『なぜならそこで,国の遥か端っこで,アルスターの最高級の戦士が見張りとして立ち,我が国に用事ある見知らぬ者がいれば誰でも,瀬を渡る前に誰何するからだよ。やって来る者が吟遊詩人だったり大人しい人間であれば,彼を保護したり歓待してやる。でも敵だったら,その者を瀬で戦いに挑むんだ』」

・うんざりしている様子のイヴァルですが,少年の質問に答えてあげて優しいですね。

ford(独語Furt)は「浅瀬」です。オックスフォード(牛の渡り瀬)やフランクフルト(フランク人の徒渉池)の語源ですね。ウィッチャーの「オクセンフルト」は「オックスフォード」のことでしょう。

challengeは「異議を唱える,誰何(すいか)する」です。

to grant himやto challenge himのtoは前のprepared toのことで,toだけになっています。突然文構造が取れなくなったら,繰り返し部分(prepared)の省略のため断片だけになっているのが原因である可能性があります。繰り返しを避ける省略は(文構造が取れるかどうかに関わるため)大変重要で,文法書では「省略」という単元に載っていると思います。

challenge A to Bは「AにBをやってみろと挑む」です。 challegngeが「何かにトライする」という意味よりも「何か・誰かに異議を唱える」という意味であることは,マーク・ピーターセンの『日本人の英語』で学びました。

 

And seldom,” said the charioteer, “does a day pass, but at the ford some enemy is slain. As to the bards who pass in peace, no doubt it is the kindness of that warrior they will praise when once they come to Emain, and stand before the King.” “Who guards the ford this day, if thou dost know?” inquired Cuchulain. “Conall the Victorious, Ulster’s foremost man of war, it is who holds the ford this day.” “Away then,” cried the lad, “goad on thy steeds, for we will seek the ford and Conall.”

「『それでその浅瀬で』御者は言いました。『敵が殺されない日は殆どないんだ。平和に通る吟遊詩人に関しては,もちろん彼らがエヴァンに着いて王の前に立ったら,そういう戦士の親切さを称賛するんだよ』『今日は誰が浅瀬を守ってるか知ってる?』クー・フーリンは尋ねました。『勝利のコナルさ。アルスター随一の戦士だよ,今日浅瀬を守ってるのは』『じゃあ』少年は叫びました。『おじさんの馬を走らせて,浅瀬とコナルを探そう!』」

イヴァルも話に熱が入ってきました。

Not a day passes but ...Hardly a day passes but ... は「……しない日はない」です。butはwhen+notの意味つまり否定語で,Notとbutで二重否定を形成しています。ここのSeldom does a day pass but ... も同じ意味です。

・「勝利のコナル」は「コナル・ケルナハ」です。Wikipedia英語版でConall Cernachを調べたら,「父は詩人・戦士のAmergin [Amairgin]」とあります。これ,「アルスターの猟犬(4)」で登場した,クー・フーリンの家庭教師だと言われた人じゃないですか?! またコナルの母Findchóemはコノール(コンホヴァル)の妹で,「クー・フーリンの乳母(wet nurse)」だそうです。クー・フーリンを養育した「母」デヒティネ(Deichtine)もコノールの妹ですから,Findchóemとデヒティネは姉妹なのでしょうか。


“The horses are already tired, we have done enough for this one day,” quoth Ivar. “The day is early yet, and our day’s labours hardly yet begun,” replied the youth; “away with you along this road.” They come at last to the ford’s brink, and there beside the Ford of Watching stood young Conall, at that time Ulster’s foremost man of war.

「『馬たちがもう疲れてるから,今日の所はこれで終わりかな』とイヴァルは言いました。『まだ日は暮れてないし,今日の仕事は始まったばかりじゃない』少年は答えました。『この道を進んで』彼らはとうとう浅瀬のほとりに来ました。すると見張りの瀬の傍には若きコナルが立っていました。当時はアルスターで一番の戦士です」

quothはsaidの古語のようです。quoteと似ており,伝聞的に使うのでしょうかね。「……と言ったという」みたいな。

brink「縁,瀬戸際」はblink「まばたきする」と混同注意です。be on the brink of N = be on the point of N = be on the verge of Nは「Nの瀬戸際で」です。

at that time「当時は」を付けたのは,いずれクー・フーリンが一番になるからでしょうか。


When he saw the lad driving fully equipped for war in the chariot of the King, he felt surprise. “Are you taking arms to-day, small boy?” he said. “He is indeed,” said Ivar. “May triumph and victory and drawing of first blood come with them,” answered Conall, for he loved the little lad, and many a time he had said to his fellows: “The day will come when this young boy will dispute the championship of Ireland with me.”

「完全武装した若者が王の戦車に乗って進んでくるのを見ると彼は驚きました。『息子よ,今日武器を貰ったのか?』彼は言いました。『実にそうなんですよ』イヴァルが言いました。『勝利,そして一番槍の武功がその者らに与えられんことを』コナルは答えました。というのも彼はこの少年が好きで,それに彼は何度もこの言葉を仲間たちに言っていたからです。『この若者がアイルランドの勝者の座をかけて我と争う日も来るであろう』」

コナルは既にクー・フーリンを知っているはずです。「アルスターの猟犬(4)」で見たように,詩人アマーギンがクー・フーリンの将来を約束し,コノール王フェルグスが彼の養父となり,コナルデヒティネが彼を世話したわけですから。

・上の方で見たようにdraw bloodは「血を流させる,勝利する」です。draw first bloodは「先制する,先勝する(先ず勝つ)」と『ウィズダム英和辞典』に載っていますが,ここは「敵よりも,そして味方よりも先に勝つ」つまり「一番槍の功をあげる」と解しました。

many a+単数名詞はmany+複数名詞の堅い言い方です。many a time = many timesです。

The day will come when S will Vは「SがVする日が来るだろう(The day when S will V will come)」です。このwhenは副詞節を導くものではなく形容詞節(関係詞節)を導くものですので,whenの中にちゃんと未来のwillが使われています。

 

“Nevertheless,” said he to Cuchulain, “it seems to me that oversoon thou hast assumed these arms, seeing that thou art not yet fit for exploits or for war.” The boy heeded not this, but eagerly asked, “What is it thou doest at the Ford of Watching, Conall?” “On behalf of the Province I keep watch and ward, lest enemies creep in.”

「『しかしながら』彼はクー・フーリンに言いました。『お主がこの武器を取ったのは時期尚早に見える。お主はまだ戦いの技は身につけておらぬようだから』少年はこれに耳を貸さず,熱心に尋ねました。『コナルおじさん,見張りの瀬では何をするの?』『国のために見張りをし,守るのだ。敵が忍び込まぬようにな』

・soon+未来形なら「まもなく……するだろう」ですが,oversoon+現在完了(hast assumed)ですから「……するのが早すぎた」ですね。

seeing that ... は「……であるのが分かっているから」で,「……だから」です。


“Give up thy place to me, for this one day let me take duty,” said Cuchulain. “Say not so,” replied the champion, “for as yet thou art not fit to cope with a right fighting-man.”
“Then on my own account must I go down into the shallows of yon lake, to see whether there I may draw blood on either friend or foe.” “I will go with thee, then, to protect thee, to the end that on the border-marshes thou run not into danger.” “Nay, come not with me, let me go alone to-day,” urged the lad. “That I will not,” said Conall, “for, were I to allow thee all alone to frequent these dangerous fighting grounds, on me would Ulster avenge it, if harm should come to thee.”

「『僕に持ち場を譲ってよ。今日は僕に務めを果たさせて』クー・フーリンは言いました。『そう言うな』勇者は言いました。『まだお主は本当の戦士とやり合う技量を持たぬゆえ』『じゃあ僕は自己責任であの湖の浅瀬に降りて,敵か味方のどっちが先に勝つか,自分でやって確かめなきゃね』『ではついていこう。お主が境の沼地で危機に陥らんようお主を守ろう』『いや来ないでよ。今日は1人で行かせて』少年はせがみました。『それはできん』コナルは言いました。『仮に私がお主をたった1人でこんな危険な戦場に出入りさせ,万一お主が怪我をしたら,アルスターは私を責めるであろうからな』」

as yetは「まだ,今の所」で通例否定文・疑問文で使います。肯定文で「今の所は」と言いたければso farがあります。例えばSo far so good. は「今のところ順調」ですね。

endには「目的」の意がありますが,意外なことに同格のthatが取れます。the end that ... で「……という目的」です。to the end that ... は「……という目的に向かって,……という目的のために」とうことです。書き直せば,to the end that thou run not into dangerはso that you may not run into danger「あなたが危機に陥らぬように」です。

allow 人 to-Vは「人にVさせてやる」という意味ですが,Vがfrequentになっていますね。fequentは「頻繁な」という形容詞として有名ですが,ここでは動詞で「頻繁に出入りする」です。


Then Conall had his chariot made ready and his horses harnessed; soon he overtook Cuchulain, who, to cut short the matter, had gone on before. He came up abreast with him, and Cuchulain, seeing this, felt sure that, Conall being there, no chance for deed of prowess would come his way; for, if some deed of mortal daring were to be done, Conall himself would undertake the same. Therefore he took up from the road a smooth round stone that filled his fist, and with it he made a very careful shot at Conall’s chariot-yoke. It broke in two, and the chariot came down, Conall being thrown forward over his horses’ heads.

「そこでコナルは戦車を用意させ馬たちを繋ぎ,早めに始めるためにクー・フーリンが先に行っていたのを追い越しました。彼はクー・フーリンに並走し,クー・フーリンはこれを見て,コナルがいたのでは,技量を試す機会など来ないだろうと確信しました。というのも死を決した勇敢な行為が仮になされるとしたら,コナル自身が同じことを引き受けるだろうからでした。それゆえ彼は道端で彼の拳に収まる丸い石を取り,非常に注意深くコナルの戦車のくびきめがけて投げました。くびきは真っ二つになり戦車は壊れ,コナルは馬の前に投げ出されました」

・クー・フーリン,やんちゃすぎ笑

overtakeは「追い越す,追い抜く」です。後で並走状態となりますが一旦追い越した後スピードを落として並走したと解します。「追いつく」にはcatch up with Nがあります。「追いついている状態を保つ(遅れないようついていく)」はkeep up with Nです。

cut short the matterはcut the matter short「物事を短くする」ということでしょう。

abreast with Nは「Nと並走して」です。「胸(breast)が並ぶ」ということで「横に並ぶ」ということと思われます。

Conall himself would undertake the same「コナル自身が同じことを引き受けるだろう」は,「コナルがクー・フーリンを庇って敵と戦ってしまうだろう」ということだと思われます。

yokeは「軛(くびき)」です。Yorkと発音が違います。以下の記事で紹介しています。

www.freynya.com


“What’s this, ill-mannered boy?” said he.
“I did it in order to see whether my marksmanship were good, and whether there were the makings of a man-at-arms in me.” “Poison take both thy shot and thyself as well; and though thy head should now fall a prize to some enemy of thine, yet never a foot farther will I budge to keep thee.”

「『なんじゃこりゃ,悪たれ?』彼は言いました。

『射撃の腕前を試したんだよ。戦士の技量があるかどうかも』『お前の射撃もお前自身もまた毒を含んでいるな。たとえお前の首が,お前の敵の獲物になろうとも,私はお前を救うためにもう一歩も動かん』」

松田優作風に訳しました。

marksmanshipは「射撃の腕」です。marksmanは「射撃の名手」です。

the makingsは「素質」です。「その人の中で出来上がっていくもの」というイメージでしょうか。

man-at-armsは「重騎兵」,一般には「戦士」です。コーエーの『ブレイドストーム百年戦争』に「メン・アット・アームズ」という兵科がありました。

Poison take both thy shot and thyself as wellは難しくて諦めかけました。1つ気づいたのはtakeが三単現活用していないことです。祈願文では(May) god bless you.と三単現活用が消えます。しかし(May) poison take ...「毒が……を取らんことを」では意味が分かりません。そこで倒置と取りました。Sがboth thy shot and thyself as well,V+Oがtake poisonです。「主語が頭でっかちである」というのも倒置を疑うヒントとなります。

budgeは一度出てきましたが「(少しでも)動く」です。a foot furtherは「一歩も」と訳しましたが「一歩」はどちらかと言うとa yard(約91cm)で,a footは30cmくらいですから「微動だにしない」ということでしょう。


“The very thing I asked of thee,” replied the boy, “and I do so in this strange manner, because I know it is a custom among the men of Ulster to turn back when any violence is done to them. Thus have I made the matter sure.” On that, Conall turned back to his post beside the Look-out Ford, and the little boy went forward southward to the shallows of the marshy loch, and he rested there till evening-tide.

「『まさに僕が望んだことです』少年は答えました。『それでこんな変なやり方でそうするんです。アルスターの男達の間では,暴力を振るわれたら戻るのが習わしだと知っていますので。これで確かだと分かりました』 こう言われると,コナルは見張りの瀬の脇の持ち場に戻り,少年は南へ進んでぬかるんだ湖の浅瀬にやって来て,そこで夕方に潮が満ちるまで休んだのでした」

turn back when any violence is done to them「どんな暴力を振るわれても戻る」は意外でしたね。turn backの他の意味も考えたのですが,実際コナルは持ち場に戻っています(turned back to his post)。こんな習わしがあったら戦えない気がするのですが,violenceは正々堂々とした戦いではなく,無茶な乱暴行為ということかもしれませんね。

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これでChapter Vは終わりです。クー・フーリンは浅瀬で誰かと戦うことになるのでしょうか。次回,Chapter VI: Of Cuchulain’s First Feats of Championshipに入ります。タイトルからして戦いはありそうですね。

 


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