フレイニャのブログ

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三国志で英語のお勉強2: 羅貫中と三国志演義

Wikipedia三国志関連の記事を読んで英語・英単語の勉強をしていきます。初回は正史三国志の著者「陳寿」でしたが,第2回は三国志演義の著者「羅貫中」です。

↓初回の「陳寿

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羅貫中(罗贯中,Luo Guanzhong,羅本,罗本,Luo Ben,1330年?-1400年?)

羅貫中はよく「元末明初の人」と言われます。紅巾の乱は1351年,明の建国は1368年です。

Luo Ben, better known by his courtesy name Guanzhong...

本名は羅本(Luo Ben)で貫中は字(courtesy name)とのことです。

 

Luo Guanzhong is credited with writing Romance of the Three Kingdoms, one of the Four Great Classical Novels...

羅貫中は「三国志演義(Romance of the Three Kingdoms)」の作者で,「三国志演義」は「四大奇書(Four Great Classical Novels)」の一つです。「四大奇書」は「三国志演義」「水滸伝」「西遊記」「紅楼夢」です。

 

The location and date of Luo Guanzhong's birth are controversial.

羅貫中の出生地については論争があるようです。山西省太原や山東省東平などが主張されています。地図を見たら山西省山東省って隣接してないんですね(間に河北省,河南省がある)

 

Recent research has suggested that his date of birth was between 1315–1318.

羅貫中の出生年は1330年頃と言われますが,1315-1318年頃という説もあるようです。官僚だった陳寿と違って正式な記録がないのでしょう。

 

The stories forming the bulk of Romance of the Three Kingdoms and Water Margin are thought to have been developed by many independent storytellers.

三国志演義』と『水滸伝(Water Margin)』の著者は厳密には羅貫中ではなく,多くの語り手が作り上げていった物語を羅貫中がまとめた,つまり彼は『三国志演義』『水滸伝』の編者ですね。

 

Shi Nai'an is thought to be the first to assemble Water Margin into a unified work...

水滸伝』を羅貫中より前に編集したのは施耐庵(したいあん;Shi Nai'an)だそうです。羅貫中施耐庵の門人と言われています。ja.wikipedia.org

羅貫中については英語版ウィキペディアはそれほど分量がありませんでした。よって急遽『三国志演義三国演義)』についての英語版記事を見ていきます。

↓この記事です

en.wikipedia.org

Romance of the Three Kingdoms is a 14th-century historical novel attributed to Luo Guanzhong.

attribute A to B は重要動詞で「A を B のせいにする;A を B の作品と考える」という意味です。「A を B に属するとみなす」という意味でもあるため,名詞 attribute は「属性」という意味です。

よって和訳は「三国志演義羅貫中の作品と考えられる14世紀の歴史小説である」です。

 

It is set in the turbulent years towards the end of the Han dynasty and the Three Kingdoms period...

be set in... は「……に舞台が設定されている」「舞台が……である」という意味でしょう。ゲームで settings は「設定」という意味ですよね。

turbulent は「荒れ狂う,騒然とした」といった意味で,ここでは「激動の」が上手そうです。

toward(s) は「……頃」の意味が重要です。

よって和訳は「それ(三国志演義)は漢王朝末と三国時代ごろの激動の時代が舞台である」

 

The novel is based primarily on the Records of the Three Kingdoms (三國志), written by Chen Shou.

三国志演義』は陳寿の正史『三国志』に基づきつつ,独自の脚色を加えたものですね。

 

The story – part historical and part fictional – 

「物語は部分的に史実的で部分的に架空的であるが」。ここは partly historical and partly fictional でも良いところですが,part でも良いんですね。これは副詞の part で part = partly ということになります。『ランダムハウス英和大辞典』には be part Italian「イタリア人の血が入っている」という例を載せています。-ly などを付けずに名詞と同形のまま副詞のように使えるのは英語の面白いところですね。例えば work part time「パートタイムで働く,アルバイトする」という例があります。

 

While the novel follows hundreds of characters, the focus is mainly on the three power blocs...

「この小説は何百人もの登場人物を描いているが,主に3つの武力連合に焦点を当てている」。3つとは曹連合,孫連合,劉連合ということですが,驚いたのは bloc なる語です。第二次世界大戦の原因の一つに「ブロック経済」というものがありますが,私はこの記事を書くまで「ブロック経済」の「ブロック」は block だと思っていました。bloc だったのですね。この bloc は「連合」とか「団体」といった意味です。街の中の,道で区切られた「区画」は block で良いのですが,「政治連合」という意味で「ブロック」と言う場合は bloc なのですね。

ja.wikipedia.org

 

It is arguably the most widely read historical novel in late imperial and modern China.

この arguably について『ランダムハウス英和大辞典』は「ほぼ間違いなく;議論の余地はあるが」といった訳語を載せています。つまり「100%確定してはいないが,十分それに近いだろう」というわけです。「恐らくは」のように訳せばよさそうですね。この語に in- を付けて inarguably とすると「議論の余地なく」となります。in- で否定した語が,否定する前の語と180度反対の意味にならない例です。valuable と invaluable も180度反意にならない例ですね。

==

今回の記事を書くにあたって bloc は初めて知った語ですし,arguably も最初「『……かは議論の余地がある』?『疑わしい』ということ?」と思ってしまったので,勉強になりました。

次回から『三国志』『三国志演義』の内容に入っていきたいと思います。やっぱり張角でしょうかね。

↓この記事のアイキャッチ画像は以下の記事内にあります

en.wikipedia.org

↓次回「張角」はこちら

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