フロム・ソフトウェアの神ゲー「エルデンリング」をやっていて気付いた英語表現を取り上げて英語のお勉強の足しにするというコーナーです。(4)はこちら。
「動画そのn」とは私のゲーム実況動画のことです。実際にそこを観ていただくとセリフの音声も聞くことができます。
セリフ編
動画その39の6分15秒あたり
Only, none of them are particularly great.
「尤も,大した魔術は知らんのだが……」
イリス教会のトープスのセリフです。
特筆すべきは only。only は副詞で「ただ,だけ」という意味ですが,日本語で「ただ」が接続詞のように使われるように,英語でも接続詞として「ただ……ですが」の意味に使うことができます。ゲームでは「
なお,none は本来単数名刺ですが,
・“none of 単数名詞” の場合は単数扱い
・“none of 複数名詞” の場合は単数または複数扱い
です。今回 none of them なので them につられて are となっています。
↓動画その39
動画その39の7分42秒あたり
Why not find yourself a glintstone key?
「輝石鍵を探しなされ」
トープスのセリフです。
yourself の存在がとても趣深いですね。
文を成立させるためならば,この yourself は必要なく,Why not find a glintstone key? でいいのです。ではこの yourself は何でしょう?「自力で探せ」ということでしょうか?
find は2つ目的語を取ることもできます。find a job なら「仕事を見つける」ですが,find him a job なら「彼のために仕事を見つける」「彼に仕事を見つけてあげる」という意味です。この him を yourself にすれば「自分自身のために見つける」という意味になるのです。もちろんなくても「自分のために見つける」の意味なのでしょうが,特に入れることによって,「お前さんは,お前さん自身のために,見つけなされ」という相手の立場に立った,気持ちのこもった言い方になるのでしょう。なおドイツ語では,この yourself に当たる語は,入れるのが普通だったと記憶しています。
なおこのトープス,10ルーンを恵んでほしいと言ってきたりうだつの上がらぬ感じですが,glintstone「輝石」にかけて自分のことを bluntstone「鈍石」と表現しているのが面白いですね(同じ動画の8分5秒あたり)。blunt は「鈍い,なまくらの;無愛想な」という意味です。glint は「輝き,煌めき;(比喩的に)気配」です。
動画その41の5分49秒あたり
Certainly he does appear intimidating...
「確かにあの方は見目恐ろしく,……」
円卓に移動したローデリカのセリフです。
今回は単語の解説です。timid は「臆病な」。そこから intimidate は「臆病にさせる」→「怖がらせる,脅す」という意味の動詞です。intimidating は「怖い;人を脅すような」という意味の形容詞になります。鍛冶屋ヒューグの見た目がちょっと怖いと言っていますが certainly や〈強調のdo〉が付いて譲歩となっており,He's a gentle soul「優しい人だ」というセリフ(同じ動画の6分1秒あたり)が後続します。
↓動画その41
動画その42の1分45秒あたり
I would advise against taking the main gate into the castle.
「城の中へ入るなら,正門からは止めておけ」
ストームヴィル城の門衛ゴストークのセリフです。王を憎んでいるため,主人公を中に引き入れようとしてくれます。
advise は advise Ving「Vするよう助言する」という言い方ができます。今回は advise against Ving で「Vしないよう助言する」となっています。
他に advise O (not) to-V「OがVする(しない)よう助言する」とも言えます。
なお castle を「カースル /kάːsl/」と発音しておりイギリス英語ですね。
↓動画その42
動画その42の2分9秒あたり
Yes, that's the spirit.
「ああ,それがいい」
先ほどのゴストークの忠告に従うとこう言われます。That's the spirit. は「その調子だ」「その意気だ」という激励の言葉です。
動画その45の13分38秒あたり
I can do whatever takes my fancy.
「やりたいことができるんだ」
主人公がゴドリックを倒したことで自由になった門衛ゴストークの言葉です。
whatever は「何でも」に相当しますが,これ自体が関係代名詞(主格または目的格)になれるため,これに動詞を続ける際,
×whatever which takes my fancy / whatever that takes my fancy
ではなく,
○whatever takes my fancy
となります(whatever が which の働きを持つ)
Whatever happens,「たとえ何が起ころうとも」のように,whatever の直後に動詞が続けられるわけです。以上は主格の場合であり,目的格の場合は,Whatever he said was true.「彼の言うことは何でも真実だった」のように,直後に S+他動詞が続きます。
take one's fancy は「one の気に入る」という意味です。以上より I can do whatever takes my fancy. は直訳すると「私は,私の気に入ることを何でもすることができる」となります。この whatever が難しければ,I can do anything that takes my fancy. とも言えるでしょう。
↓動画その45
動画その48の3分34秒あたり
Let the words of the fingers guide you.
「指様の言葉を,忘れるでないぞ」
円卓にいる指読みエンヤ(英語ではエニア Enia)のセリフです。
let は let O V「O に V させる」という形が取れます。O = the words of the fingers,V = guide you です。日本語でも「彼に買いに行かせる」といった使役を表現できますが,英語の使役動詞 let の特徴は,やらせる行為 V が,「自分を……する」という行為にもなり得るということです。「他者をして自らを……させる」というわけです。特に今回のように O が人間ではなく物事(指様の言葉)になるのも典型で,例えば
Don't let that stop you.「だからといって諦めるなよ」
Don't let that disappoint you.「そんなことで落ち込むなよ」
といった言い方は典型であるわけです。that は直前で語られた事柄を指し,「その事があなたを止めるようにさせるな」「その事があなたを失望させるようにさせるな」という,日本語では普通言わない言い方ができるわけですね。
1つ面白い問題を思いつきました。
Don't ( あ ) that ( い ) you down.
空所 ( あ ) ( い ) には全く同じ動詞が入る。その動詞を答えよ。
もちろん答えは let です。let you down = disappoint you であり,
Don't let that let you down.「そんなことで落ち込むなよ」
です。
↓動画その48
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今回も7つ紹介できました。また貯まったら(6)として上げたいと思います。
↓(6) です。