(11)に引き続き,(12)です。1978年のを見ます。
A 以下の親子の会話の空所 (a) 〜 (e) に補うのにもっとも適当なセリフを,後のイ〜ヌから選び,その記号を記せ。
Mrs. Jones: I'm sorry, Tom, but you can't leave the house. With that temperature, it would be suicide.
Tom: But, Mom, I have to go. The game starts in half an hour, and promised Paul I'd meet him at the gate.
Mrs. Jones: Why don't you call him up and explain?
Tom: ( a ). His mother said he's already left. What'll I do now? I have his ticket. He gave me the money to buy it when I bought mine. It cost three dollars!
Mrs. Jones: ( b ). There's time for me to drive to the stadium. I'll give him his ticket and try to get a refund on yours.
Tom: Thanks, Mom! Let's see now. Paul's about two inches shorter than I am and heavier. ( c ), but he loves candy and---
Mrs. Jones: Please don't tell me what he eats. I'll need to know what he looks like.
Tom: Well, he has blue eyes and a crew cut.
Mrs. Jones: With that description, I could end up by giving Paul's ticket to any number of boys. Have you any idea what he will be wearing?
Tom: ( d ). But his new jacket is a kind of red and brown plaid. Oh, yes--- his right hand is bandaged. ( e ) in the science lab yesterday.
Mrs. Jones: I think I can find him. You can go to bed now. I'll be back soon.
イ Not for sure
ロ I'm afraid I've lost the money
ハ Well, I might
ニ Because I don't feel well
ホ I just did
ヘ I am not supposed to tell him
ト He took it on
チ He's supposed to be on a diet
リ He cut himself
ヌ Tell me what he looks like
解説
とにかく意味をとって自然なセリフを探すだけですね。
( a )
母が息子トムに「暑すぎるから出かけるな」と言いますが,トムはポールと約束したからと出かけようとします。母は「電話して説明したら」と言います。次が空欄(a)で,空欄のあとでトムは「ポールのお母さんがポールはもう出掛けたと言っていた」と言っています。つまり,既に電話はしたわけですね。選択肢ホのI just did.「したばかりだ」が答えでしょう。
( b )
そんなわけでトムは出かけようとします。どうもトムがポールのチケットを持っているようですね。トムが行かないとポールは入れないわけです。空欄(b)のあとで母は「私が(for me)スタジアムに車で行く時間はある」と言い,「私が彼に彼のチケットを渡す」と言っています。トムに行かせる代わりに,母が車で行ってチケットだけ渡すつもりのようですね。選択肢ヌのTell me what he looks like「彼の見た目を教えて」が答えでしょう。その後でトムがポールの身長・体重を教えている(two inches shorter than I am and heavier)こともヒントです。
( c )
上で見たtwo inches shorter than I am and heavierと,but he loves candy and--- の間です。ポールについての説明が答えでしょうか。
選択肢チのHe's supposed to be on a diet「彼はダイエットをしているはず」が答えでしょう。「ダイエットをする」はgo on a dietですが,「ダイエット中だ」はbe on a dietです。「私はダイエット中です」はI'm on a diet.ですね。さてこの選択肢を入れると,「彼はダイエットをしているはず。でもキャンディが好きだから……」と自然に繋がります。be supposed to-Vは「Vすることになっている,Vしなければならない」で,「彼はダイエット中ということになっている」というのが逐語訳です。
( d )
「でもキャンディが好きだから……」に対して母は「食べてる物の話は良いから,外見を教えて」と言い,トムは「青い目でクルーカット」と教えます。「クルーカット」は船員(クルー)のような短髪です。スポーツ刈りのような理解でいいでしょう。
母はこのあと「その説明だと,どんな男の子に渡してしまうか分からない」と言っています。「青い目,クルーカット,息子よりちょっと背が低い」では同定困難ですね。そこで服装を予想させます。それの答えが( d )です。( d )の後ろを見なくてもイ Not for sure「確実には分からない」しか続けません。でもその後で服装の予想と,右手に包帯を巻いていることを思い出しています。
( e )
「右手に包帯を巻いている」の直後で,in the science lab yesterday「昨日科学実験室で」の直前が空欄( e )です。もうこれは「怪我をした」しかないでしょう。選択肢リ He cut himself「彼は切り傷を負った」が答えです。cut oneselfは「切り傷を負う」という意味で,cut one's fingerのように,oneselfを〈部位〉にもできて便利です。これはhurt/wound/injureなどにも当てはまります。
hurt oneself=wound oneself=injure oneself「怪我を負う」
hurt one's leg=wound one's leg=injure one's leg「脚を怪我する」
※labについて。これはlaboratory「実験室,研究室」の略ですが,日本語では「ラボ」と略すのに対し,英語では×laboではなく,labと略します。
B 以下の各文の空所に入れるのに最も適当な一語を語群から選び,適当な語形に改めて,答案用紙の所定欄に記入せよ。
( f )
Last night a sharp earthquake ( ) china and glasses crashing to the floor.
語群:drop fall fly run send
( g )
Instead of making an effort to resist the temptation he tried to find excuses for ( )to it.
語群:agree comply obey subdue yield
( h )
I discussed the matter with him many times and finally ( )him round to my point of view.
語群:allow bring catch lull succeed
( i )
For minds ( )in the law, legal truth is the same thing as absolute truth.
語群:disgust excite preach prohibit train
( j )
We were about a quarter of a mile away from the top of the mountain pass when we first ( )snow.
語群:grow long stand strike travel
解説
「必要な形に改めて」をお忘れなく。
( f )
Last night a sharp earthquake ( ) china and glasses crashing to the floor.
語群:drop fall fly run send
小文字のchinaは「陶磁器」です。「地震が起きて陶磁器とグラスが床に落ちて割れた」ということですが,主語が「地震」なので「落とした」ということでしょう。fallは「落ちる」の意味はあっても「落とす」の意味はありません。「落とす」はdropです。ところがdropは普通,「人間が落とす」という意味なんですね。これは難問だと思います。send「送る」にはsend O Ving「OをVする状態に追いやる」という語法があります。ということで答えはsentです。
( g )
Instead of making an effort to resist the temptation he tried to find excuses for ( )to it.
語群:agree comply obey subdue yield
Instead ofがあるので,あることとは違うことをしたわけですね。あること(Instead ofの中)は「その誘惑に抵抗する努力をする(making an effort to resist the temptation)」です。ということは,実際にはその誘惑に抵抗しなかったのでしょう。
ところで語群を見ると,どれも「同意する,従う」といった意味です。よってポイントは「意味よりむしろ語法」でしょう。to itが続くので,toを続ける動詞が答えです。
agreeだけは意味が変です。agree to... はありますが,「その誘惑に同意する」は変ですね。
complyは「従う」です。「コンプライアンス(法令遵守)」の元です。complyはcomply with... です。難しいですね。
obeyはobey... です。前置詞が余計です。
subdueは,意味もおかしかったです。subdue... で「……を抑える,鎮圧する」です。もしかしたら,submit to...「……に従う」と混同させる狙いだったかもしれません。
yield to... は「……に屈する」で,これが答えです。forのあとなのでyieldingですね。
give way to... = give in to... = yield to...「……に屈する」をしっかり覚えていたら対応できたでしょう。なお,yieldには「産出する」もあります。
( h )
I discussed the matter with him many times and finally ( )him round to my point of view.
語群:allow bring catch lull succeed
「何度も彼と議論して私の意見に同調させた」という意味は推測できるでしょう。roundとは「周って」ということでしょうが,「私の意見の方にぐるりと連れてきた」という関係にすればいいのでしょう。ということで「連れてくる」のbringが使えます(答えはbrought)
辞書をひくとbring O (a)round to... で「Oを……に同意させる」とありますが,直接これを知らなくても解けるように作っているのが良問ですね。
( i )
For minds ( )in the law, legal truth is the same thing as absolute truth.
語群:disgust excite preach prohibit train
面白い問題だと思いました。mindは「(知的な)人間」という意味なのです。でも仮に知らなくても,「知性,頭,頭脳」のままでも理解可能だと思います。
答えはtrainedです。つまりFor minds trained in the lawで「法学の分野で訓練された人間にとっては」です。 「法学の分野で訓練された頭脳にとっては」でも理解可能ですよね。なお後ろは「法的事実は絶対的事実に等しい」です。
↓mindが「人間」の意味になり得ることについては以下の記事で解説しています。
( j )
We were about a quarter of a mile away from the top of the mountain pass when we first ( )snow.
語群:grow long stand strike travel
a mountain passは「山道,峠道」です。それはともかく,「雪を見た,雪に出会った」という意味になるものを選ぶのでしょう。
strike「叩く,ぶつかる」が怪しいですね。「茶をしばく」などといいますが(無関係)
辞書(ウィズダム英和辞典)をひくと,「(偶然)行き当たる,掘り当てる」の意味でstrikeが使えるようです。strike goldで「金を掘り当てる(=掘ってたら金に行き当たる)」という意味のようです。本問では「進んでたら雪に行き当たった」ということですね。
さて答えですが,過去形は原形にはない“c”が出現し,struckです。strikeだと折角分かったのに過去形の綴りを間違えたら後悔ですよね。
なおstrikeは「打つ,叩く」から「考えが人の頭を打つ(頭に浮かぶ)」という意味に使えることも重要です。
It (suddenly) occurred to me that...
It (gradually) dawned on me that...
It (suddenly) struck me that...
「……ということが(突然/徐々に)私の頭に浮かんだ」
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Aは会話文というだけで,意味を取ったらそれほど難しくありません。Bは直接知識を問うので難度が上がっています。
次回は1979年です。