「フレイニャの好きな音楽(4)」に続いて(5)です。軽快なノリに叙情的なサビで私も好きな曲の1つです。
まず歌詞について。洋楽は全部の歌詞が言えなくても要所要所で歌詞が口ずさめたら「おっ」となると思うので覚えましょう。オススメ箇所を幾つか紹介します。
(1)That's what I am.「それが俺というわけさ」(動画0分48秒)
what S isは「Sの何たるか」→「Sの本質」「Sの正体」といった意味です。例えば
A man's value does not lie in what he has as much as what he is.
「人間の価値は,その持ち物よりも人柄(本質)にある」
not A as much as B = not so much A as Bは〈原級比較の否定〉より,「BほどたくさんはAではない」→「AというよりもむしろB」という意味です。言いたい方が後ろに来るので気をつけましょう。
このセリフはどんな文脈の中で言われているかと言うと,
Now she is looking for a downtown man. That's what I am.
「彼女は下町の男を探している。それが俺だ」
「俺の番が回ってきた」と勝手に考えているのです。
(2)just because I'm in love with an uptown girl「山の手のお嬢様に恋しているというだけで」(動画1分8秒)
be in love with...「……に恋をしている」が使われています。fall in love with...「……に恋をする」の後の状態を示す表現です。例えばgo on a diet「ダイエットを始める」の後の状態を表す表現はbe on a dietです(I'm on a diet.)
前後の文脈としては,
She'll see I'm not so tough just because I'm in love with an uptown girl.
「俺を軟派な奴と思うかもしれない。お嬢様に恋してるわけだから」
becauseはアメリカ英語で「ビカーズ」/bɪkɑ́ːz/ のような発音も可能ですが,耳を澄ましてよく聞いているとちゃんと「ビコーズ」と発音しているように聞こえます。
以上の2つがオススメ箇所です。あとは
(3)I'm gonna try for an uptown girl.「お嬢様に挑戦してみるつもりさ」(動画0分33秒)
I'm gonnaはI'm going toです。try for... は「……を得ようと頑張る」です。try... もあるのですが,これではもう試せてしまっています。
次はちょっと難しいのですが
(4)as long as anyone with hot blood can「(和訳は以下で考察)」(動画0分40秒)
hot bloodは「熱血,血気,情熱」という意味だそうです。「山の手のお嬢様でも,情熱を感じる時が来るものだ」ということでしょうか。ただ問題はこの節がどういう文脈で前後と繋がっているかですね。前後を書いてみましょう。
I'm gonna try for an uptown girl「お嬢様に挑戦してみるつもりさ」
She's been living in a white-bred world「彼女は育ちのいい環境に住んでいる」
As long as anyone with hot blood can「思春期の子ならあり得ることだが」
And now she's looking for a downtown boy「今彼女は下町の男を探してる」
That's what I am「それが俺というわけさ」
このAs long as anyone with hot blood can「思春期の子ならあり得ることだが」というのは,下の「今彼女は下町の男を探してる」に掛かっている(熱い血が通っていれば下町の男に魅力を感じるはずだ)と解釈したいのですが,Andの存在がそれを阻んでいます。Andがある以上,文法的にはAs long as... 節はnow she's looking... には掛かれません。となるとAs long as... 節は直前のShe's been living... に掛かっていることになるのでしょうか?でもそれでは「思春期の子ならあり得ることだが,箱入りお嬢様のように育ってきた」となってしまいます。やはり意味的には,「思春期の子ならあり得ることだが,今彼女は下町の男を探してる」と下に繋がってほしいですね。Andの存在はどう説明すればいいでしょうか。
例えばこう説明するのはどうでしょうか:
I'm gonna try for an uptown girl「お嬢様に挑戦してみるつもりさ」
She's been living in a white-bred world「彼女は育ちのいい環境に住んでいる」
And now she's looking for a downtown boy「(ところが)今彼女は下町の男を探してる」(甲)
As long as anyone with hot blood can「思春期の子ならあり得ることだが」(乙)
That's what I am「それが俺というわけさ」
という語順だった(これでもリズム的に歌える)が,これでは最後のThat's what I amのThatで受けるもの(a downtown boy)が遠くなってしまうので,甲乙を逆にした。
とりあえず今はこう解釈しておきます。詩って難しいものですね……しみじみ
(自分がアホなだけだったり)
などと書いていたら,英語に詳しい友人から解釈が提示されました! もうその友人がブログ書いたほうが良さそうですね笑
As long as anyone with hot blood can
は,2行上の
I'm gonna try for an uptown girl「お嬢様に挑戦してみるつもりさ」
に掛かるというのです。書き直してみましょう。
I'm gonna try for an uptown girl「お嬢様に挑戦してみるつもりさ」
She's been living in a white-bred world「彼女は育ちのいい環境に住んでいるんだけど」
As long as anyone with hot blood can「血気盛んな男なら挑戦できるさ」
And now she's looking for a downtown boy「そして今彼女は下町の男を探してる」
That's what I am「それは俺だぜ〜〜」
ちょっと語調が変わりましたが笑
この解釈の最大のメリットは,hot blood「血気盛ん」が「山の手のお嬢様」よりも「スパナを持った下町の工員の男」に合うということです! 「山の手のお嬢様」のことを言うのに,with hot bloodは合わない気はするんですよね。更にcanは最初の解釈では「あり得る」でしたが,この解釈では「やれる(挑戦できる),やってもいい」となります。
もちろん上に挙げた解釈でも,文は厳密には繋がりません。厳密に文を繋げるためには,
I'm gonna try for an uptown girl「お嬢様に挑戦してみるつもりさ」
who's been living in a white-bred world「彼女は育ちのいい環境に住んでいるんだけど」
as long as anyone with hot blood can「血気盛んな男なら挑戦できるさ」
のようにした方が良いでしょう。でも,Andを無視して下に掛かるという解釈(思春期の子ならあり得ることだが,今彼女は下町の男を探してる)よりも無理がない気がしました!
いやあ,友人様,ありがとうございます!(100%これで確定したわけではないですが)
as long as... は「……である限り」ですが,今度解説してみたいと思います。
↓早速書きました
洋楽が流れているとしましょう。一緒にいる人が歌詞を全部歌いだしたら,めちゃうざいですよね笑 ここは要所だけをさり気なく歌うのがいいんです!(´∀`) 幾つかポイントをお勧めしましたので,練習して部分的に口ずさめるようになっておきましょう。Oh oh oh ohの所だけではもったいないですよ笑
後どうでもいいのですが,uptown girlのところが「とっちゃんぼ〜や」のように聞こえてしまうのは私だけでしょうか笑