フレイニャのブログ

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「オートマ」の逆は「ミッション」ではありません!

私は関西→東京→関西と生活しているのですが,関西にいる時だけ経験するのが,「オートマ」の逆を「ミッション」と言う人に出会うことです。

もはや関西弁としては正しいのでしょうが,本来の英語ではそれは誤りです。また東京の人は(関西出身でなければ)そうは言わないと思います。

「ミッションmission」とはどういう意味でしょうか。

1986年に『ミッション』という映画がありました。ロバート・デ・ニーロが出ていましたね。これはキリスト教の伝道にまつわる映画です。ということでこの場合の mission は「伝道,布教」です。「ミッションスクール」の「ミッション」もこれですね。mission はそのイメージに伝える・送る」があります。

1996年にトム・クルーズ主演の『ミッション:インポッシブル』シリーズが始まりました。この場合の mission は「任務」です。「何かを達成するために派遣される」というイメージです。「伝える・送るというイメージから来ています。

自動車の仕組みにおける「ミッション」は何を指すのでしょうか。それは「伝達」です。運転手のギアの動きを自動車に伝える作用です。

手動でギアを動かして車に伝える・・・マニュアル・トランスミッション(マニュアル)

自動でギアが切り替わる・・・オートマチック・トランスミッション(オートマ)

です。ということで,「オートマ」の逆は「マニュアル」であるべきです。「オートマ」だって「ミッション(伝達方式)」なのですから,「君の車はオートマ?それとも,ミッション?」という聞き方は,とても違和感があります。何かのきっかけで関西ではこの言い方が一部に定着してしまったのでしょうね。

「マニュアルmanual」とはどういう意味でしょうか。

“manu, mani”には「手」という意味がありmanual は「手の,手作業の;手引書」という意味です。manicure「マニキュア」にも使われている形態素です。manufacture は「製造する」ですが,歴史用語としての「マニュファクチュア」は「工場制手工業」です。manifest は〈手で掴めるほど〉というイメージから「明白な」です。政党の「マニフェスト」は manifestoマニフェストウ」なのでご注意ください。

自分の手でギアを切り替えるから「マニュアル・ミッション」なわけですね。

最後に形態素 “mit-, miss-” を含む語を確認します。イメージは「伝える・送る」でしたね。なお,「間違える」の miss とは無関係です。

transmit「送る,送信する」→transmission「伝達,送信,(自動車の)変速機,伝動装置」(イギリス英語ではトランミッション)

submit「提出する;(submit oneself to や submit to で)服従する」

omit「省く」

missile「ミサイル」

intermission「休憩時間,幕間(まくあい)」

※『ゴッドファーザーパート2』を見た時,長い映画で,「終わったか」と思ったら Intermission と表示されて驚いたことがあります。

intermittent「断続的な,散発的な」

記憶違いでなければですが,岡山でも「オートマ」の反対を「ミッション」と言う人がいた気がします。関西以外の地域で「オートマ」の反対を「ミッション」と言う地域があったら教えて下さい。

その後,熊本在住の友人から「マニュアル」のことを「ミッション」という人がいたという情報がありました。西日本に見られる現象でしょうか。

ja.wikipedia.org

www.freynya.com