前日(2020/9/10)の安倍総理上下両議院演説の記事で It is ... that 〜 の強調構文が出てきたことに関し,「私はお金が必要だ」を「私が必要なのはお金だ」と「分裂」させ「強調」する構文の紹介です。
まずは普通の文です。
I need money.「私はお金を必要としている」「私はお金が必要だ」
これを分裂させて強調します。
(1)It is ... that 〜の強調構文(分裂文)
強調したい要素を It is と that の間に挟みます。
It is money that I need.「私が必要としているのはお金だ」
※多くの構文の that 同様,この構文の that も省略可能なので,
It is money I need. とできます。
なお,主語の I も,It is と that の間に挟むことで強調できます。
It is I that need money.「お金を必要をしているのは(他ならぬ)私だ」
※これも,that を省略してしまうと,
It is I need money.
と,It isのあとに文を書いただけに見えて面白いですね。
(2)What を使った強調構文(疑似分裂文)
What I need is money.「私が必要としているのはお金だ」
このやり方でも I need money. を分裂させることができました。All you need is love.(ビートルズ)に似た構造ですね。take も「取る」から「必要とする」の意味があるので,What it takes is...「必要なのは……だ」,All it takes is...「必要なのは……だけだ」と言えます。All it takes is... は All you need is... とほぼ同義ですね。
(3)It is ... that 〜の強調構文を使って「いったい」を表す
It is ... that 〜の強調構文は「〜なのは……だ」と訳されますが,... にwhat?を入れると,
It is what? that 〜「〜なのは(いったい)何なのだ?」という意味にできます。what は文頭に立ち,疑問文は疑問文語順となる(it is → is it)ので,
What is it that 〜? で「〜なのは(いったい)何なのだ?」です。
先程の It is money that I need. でやってみると,
It is money that I need.
→It is what? that you need
→What is it that you need?「お前が必要としているのは(一体)何なのだ?」
一般に,疑問詞を使った疑問文(特別疑問文)は is it that を挟むことで「いったい」(on earth,in the world,the hellなど)の意味を出せます。
Tom broke the window.
→It was Tom that broke the window.
→It was who? that broke the window
→Who was it that broke the window?「窓を割ったのは(一体)誰なのだ?」
= Who on earth broke the window?
I got up at three AM.
→It was at three AM that I got up.
→It was when? that you got up
→When was it that you got up?「お前は一体いつ起きたのだ?」
= When the hell you got up?
文の頭などに謎のit isがあったら,強調構文を疑いましょう。