the United Kingdom や the United States of America のようなものではなく,the Sudan「スーダン」のように,一見 the が要らなさそうな地名が the をつけるものを紹介します。ついでに the Americas や the Japan についても触れます。
the Sudan「スーダン」(アフリカの国)
『ジーニアス英和辞典』には[しばしば the ~]とあります。正式名称は the Republic of the Sudan。ここから分離独立した「南スーダン共和国」は the Republic of South Sudan と,the がつきません。
The Hague「ハーグ」(オランダの都市)
オランダ語では Den Haag。オランダの憲法上の首都はアムステルダム,事実上の首都は国会があるハーグだそうです。
The Bronx(the Bronx)「ブロンクス」(ニューヨークの区)
ニューヨークの区のうちブロンクスだけ the がつきます。名の元となったのはヨナス・ブロンク(Jonas Bronck)ですが,ここから「ブロンク家」という名詞を作ると the Broncks となります。
正式名称は Commonwealth of the Bahamas。独立は1973年と新しい国です。
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the Americas とは?
the Americas という表現を聞いたことがありますか? 「the+固有名詞+複数の s」は「……家」という意味になります。the Tanakas は複数の田中が集まった一家です。
複数のアメリカって? それは「北アメリカ」と「南アメリカ」です。つまり the Americas は「南北アメリカ大陸」ですね!
the Japan の可否
Japan「日本」に the は要りません! しかし the Japan という言い方はあります。
the Japan とは日本そのもののことではなく,心の中にあったり,作品に表現された日本像です。例えば「ハリウッド映画で表現される日本の姿」を表すのに the Japan を使うことができます。よって the Japan や the London のような表現を見たとき,日本やロンドンそのものではなく,誰かの頭の中にある日本やロンドンのイメージのことではないか? と考えましょう。