英語の名言32に引き続き,33です。
(33)
It is easier to love humanity . . . than one’s neighbor.
人類を愛することはたやすい。隣人を愛することに比べれば。
Eric Hoffer(1902-83,米国の著述家・哲学者)
「人類愛,博愛と言いながら,近所の人とは小さなことでいがみ合ってしまう」という皮肉な社会風刺ですね。
humanityは「人間性」という意味ですが「人間,人類」そのものを指すこともあるので注意です。うろ覚えですが森一郎が『試験にでる英単語』の中でそのことに注意喚起していた気がします。同様にdivinityも「神性」ですが,「神」そのものを指すこともあります。
なお前回のヨハネス23世の名言で,こういう風に書いた場合,後ろに書いた方に焦点を当てている(隣人を愛することの難しさ)と書きました。だから今回も「人類を愛するよりも,隣人を愛する方が難しい」と訳すのもありだと思います。
ホッファーは
・ブロンクス生まれ
・7歳で失明
・15歳で奇跡的に視力を回復
・両親を失い貧民窟で生活
・28歳で自殺未遂
・農園で季節労働,またレストランの給仕として働く
・労働の合間に図書館で勉強
・1941年からは
・1951年,The True Believerで有名になる(『大衆運動』などと訳される)
・1964年,カリフォルニア大学バークレー校の教授に。「沖仲仕の哲学者(longshoreman philosopher)」と呼ばれる。
“ホッファーによると、沖仲仕ほど自由と運動と閑暇と収入が適度に調和した仕事はなかったという”(ウィキペディア,エリック・ホッファー)
といった波乱に満ちた生涯を送った知識人でした。
ウィットに富み,個人的に好きな名言のひとつです。