新年度も始まりましたし(?),どんな単語集(単語帳)が良いかということを考えてみたいと思います。
結論的に言って,1冊の単語集と,1冊の熟語集をやり,自分の中で基盤を作るのは良いです。
1冊みっちりやっておくと自分の中で基準ができるため,この中で覚えた記憶のない単語に出会った時,「これは覚えた記憶がない。難しい[or重要でない]単語なのかも!」と判断できます。
どれが重要単語・難単語でどれがそうではないかが分からないままやっていくのは危険ですね。
ということで最低1冊の単語集と熟語集をマスターするのをお勧めしますが,それよりもまずは自分の単語・熟語ノートを作ることです!
中には既成の単語帳に反対で,「単語帳は自分で作らねば意味がない(人が作ったものを眺めても力にならない)」という思想の人もいます。
私は後述する理由で市販の単語集をやる意味はあると思いますが,自分で作った単語帳がまずは価値があることには賛成です。
人が作った単語集を目で眺めるよりも,自分の手を動かして作成した方が脳をより使っているので定着しやすいでしょう。
ノートと鉛筆でも良いし,検索性に期待してエクセルやエディタに作成するのも良いでしょう。
(1)自分だけの単語ノート・熟語ノートを作ろう
まずは文章を読み,分からない単語,やや自信のない単語について単語ノートに取りましょう。
多くの人は必要に駆られて文章を読みますが,自由に選んで読む人は,「n割ほどは普通に読めるが,残りがあやふや」というもので,nは最低5,高くて8くらいが良いのではないでしょうか。
nが低いと単語ノートを取るのに疲れてしまって,続かないと思います。
更に,熟語もノートに取るべきですが,ノートは分けなくても良いと思います。その上で,単語は黒・青色系,熟語だけ赤色,とか色を分けておくと,後で熟語だけを見直すことができます。
単語を引いたら,発音・品詞・語義・用例などの列を作って書き込みましょう。ノートの場合は定規で縦に線ですね!
発音:発音記号を全部書くのは面倒ですので,(1)全体的な発音が気になった時だけ全体の発音記号を書き,(2)それ以外はアクセント(第一強勢の位置)と,アクセントのある母音の発音記号だけ記すと良いです。(2)の場合,第一強勢の位置は発音記号の欄ではなく,単語そのものにapparentのように下線を引くとよいでしょう。発音記号の欄はæだけ書くことになります。
品詞:n(=名詞), v(=動詞), a(=形容詞), adv(=副詞)などの記号を用いると楽ですが,
n(名詞)はnC(可算名詞),nU(不可算名詞)と,可算・不可算の別を明記すると良いです。更に省エネで,nC(可算名詞)はC,nUはU(不可算名詞)だけで良いと思います。
v(動詞)はvt(他動詞)とvi(自動詞)の別は書いた方が良いでしょう。CとUのようにT,Iでもいいですが,他,自でもいいと思います。
形容詞については,辞書に叙述用法,限定用法と書いてある場合は「叙」「限」と書くのも吉です。
例えばasleepは(i)He is asleep.とは言いますが,(ii)×an asleep boyとは言いません。
(i)の用法(補語になる用法)を「形容詞の叙述用法」,(ii)の用法(名詞を修飾する用法)を「形容詞の限定用法」と言いますが,(i)でしか使えない場合,辞書には「叙述のみ」と書いてあるので,ノートにも「叙」と書くわけです。ただし,形容詞の区別まで書くのは,気づいたときだけでいいでしょう。
語義:どこまで書くか悩みますが,「今後この意味で出た時に,知らなかったら後悔する!」と思うものだけ書くと良いでしょう。
用例まで律儀に書いていると続きません。努力目標でいいです。というか,面白い用例があれば書き記すとか,まさに今読んでいる文章と同じ使用例だった!という時に書くと良いでしょう。
どんどん辞書を引いていくことが肝要ですから,きっちりノートを作ることに囚われすぎないようにしましょう。
紙のノートを作る場合は,後で書き足したくなったときのための行を空けておくと良いです。
なお単語ノートが膨大になっていくと,同じ単語をまたまとめてしまう可能性があります。
電子媒体に書く場合は検索で見つけやすいですが,紙のノートの場合,同じ単語を何回まとめても良いと思います。
またまとめてしまうということは,結局は定着していないということですから,もう書かなくても意味が出てくるまで,何回もノートにまとめたら良いと思います。
(2)その上で市販の単語集・熟語集をやる意味
あくまで(1)の方法で自分で単語ノートを作ることが大切だと思いますが,その上で既に出来上がった(=誰かが作った)既成の単語集をやる意味はあると思います。
自分が作った単語ノートは文章の内容によって偏りがある可能性があります。文章を多く読むほど偏りは是正されていきますが限界があります。
市販の単語集は何らかの頻度・重要度に関する基準を作って単語を掲載していますから,うっかり自分が覚えそこなった重要単語を拾うのに重要です。
また最初に述べたように,1冊みっちり覚えることで,自分の中での「重要単語の基盤」が出来上がりますから,新たな単語に出会った時の基準となります(自分で作ったノートは「経験に基づく基盤」でこれも重要ですね)
ではどんな単語集がいいか。私は特定の「どれ」とは言いません(強いて言うなら,私自身がみっちりやったのは森一郎「試験にでる英単語」です)
大切なのは(1)「レベル」と (2)「好み」において「自分に合った」単語集です。
(1)「自分のレベルに合った」単語集
本屋で手に取り,最初の10~20個ほどを見てみましょう。「知ってる単語がn割くらいで,知らないものも(10-n)割ほどある」もので,nは5~6あたりが良いのではないでしょうか。
私はかつて興味が湧いて,「英検準一級必須単語集」と「英検一級必須単語集」を買ってみました。「準一級」の方は9割ほどが知っている単語で,たまに知らないのもありました。
他方「一級」の方を見てみると,知らない単語が9割ほどで,知っている単語は1割ほどしかありませんでした笑
・・・どちらも合ってなかったわけですね笑
普通は自分のレベルに合った単語集が見つかると思います。なお,やはり重要度順・頻度順を謳っているものが良いでしょう。
前述の「試験にでる英単語」は「最重要」「重要」の2レベルに分かれていましたので,まず「最重要」を全部やってから「重要」に挑戦しました。
単語集によっては,3つ以上のレベルに分かれているものもあります。
また,特に熟語集に言えると思うのですが,自分が知らなくて悔しい思いをした単語(熟語)が,まさに載っているかを買う基準にするのも有効です。
自分が知らなくて悔しい思いをした単語(熟語)が載っているということは,同レベルの自分の知らない単語が載っている可能性があります。
単語集は普通,巻末にアルファベット索引がありますので,載っているか確認しましょう。
なお,熟語集は専用の熟語集を買った方がいいと思います。単語集の中には「熟語も掲載」と謳っているものもありますが,どうしても専用の熟語集には掲載数で負けます。
なお私は「試験にでる英単語」と並んで「試験にでる英熟語」もやりました(後者はほとんど知られていないと思いますが)
熟語集を選ぶときこそ,たまたま自分が知らなくて悔しかった熟語が,その熟語集には載っているかを基準に買うといいと思います。
(2)「自分の好みに合った」単語集
これも結構重要なことだと思います。色合い,色分け,装丁,場合によってはイラストなど,見せ方にも色々あります。書店で手にしてみて,これならやる気が湧くといったものを選びましょう。
もちろん(1)の基準が優先されます。
(3)特殊な単語集
奇抜な単語集もあると思いますが(「もえたん」とか笑),中でも「語源(接頭辞・語幹・接尾辞)でまとめた単語集」は参考になります。このジャンルだけでも数種類の単語集があります。「試験にでる英単語」には最後に接頭辞・語幹・接尾辞でまとめた章があります。面白かったのはホリム・ハン/リチャード・キムの『赤単』『青単』『黒単』ですね。ただメインの単語集と言うよりも,読み物として楽しみ,知識を補強するのに良いといった感じです。
以上になりますが,「自分で単語・熟語ノートを作って手を動かして覚え」つつ,「一定レベルを保証するために市販の単語集と熟語集を1冊ずつやる」ようにし,「語源に着目すると定着が捗る」という話をしたと思います。当ブログでも語源に着目した話は積極的にしていきたいと思います。
今年度も当ブログをよろしくおニャがいしますo┐~