名言シリーズ(2)に引き続き,(3)です。
(3)
To love and win is the best thing. To love and lose, the next best.
愛して得ることは最上である。愛して失うことはその次によい
William Makepeace Thackeray(1811-63, イギリスの小説家)
『ジョジョの奇妙な冒険』「ファントムブラッド」編において,ツェペリがタルカスに敗死した際に著者が引いたサッカレー(Thackeray)の名言です。語尾は「カリ」の方が近いです(/θǽkəri/)
私は「ファントムブラッド」と「戦闘潮流」が好きです。カーズを宇宙に放逐するまでの話ですね。
私はこの作品を大学のゼミの飲み会で知りました。ドイツ史のゼミだったのですが,その飲み会で先輩たちがこの作品の話で盛り上がっていたのです。なんでも「ヒーローがナチスと組んで悪をやっつける」という話だそうで……。ナチスというのは絶対悪でなければならないはずだったので,この設定を聞き驚き読み始めたという次第です。
そのナチスというのはシュトロハイムのことですが,キャラが立ちすぎていて魅力が勝ってしまっていましたね。
「ナチズムは悪であったが,結果としてドイツ社会に近代化をもたらした」という主張は,ドイツ歴史学界においても行われています。有名なのはポイカート(Detlev Peukert)でしょうね。邦訳されたものに『ナチス・ドイツ──ある近代の社会史』という本があります。
ナチス・ドイツに限らず世界大戦を経験した国には多かれ少なかれ起きることですが,総力戦体制を組むことによって経済・社会の近代化が進むわけですね。男性が出征するので女性の社会進出も進む。敗戦しても,ついでに旧制度が壊されることがプラスになったり……。日本・ドイツのような敗戦国は戦後に成長していますね。「戦争が社会を近代化させる」というのは,歴史の最大の皮肉と言えるでしょう。
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