フレイニャのブログ

new!!→【ガチ英文法解説】カテゴリ創設! 元鉄緑会社員兼講師の英語・ゲームブログです。ツイッターの相互フォローと,英文法・英単語の質問を(ガチで)募集中です。質問・ミス指摘はコメント欄か,こちらにお願いします→ kfreynya@gmail.com

三国志で英語のお勉強25: 袁紹(袁本初)その3

Wikipedia三国志関連の記事を読んで英語・英単語の勉強をしていきます。袁紹その2に引き続き第25回は袁紹その3です。

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~~ 冀州を乗っ取る ~~

As many volunteers from different provinces had flocked to join Yuan Shao, Bohai Commandery would be far from sufficient to supply his army. Thus, Pang Ji suggested to Yuan Shao to form a secret alliance with the warlord Gongsun Zan and incite the latter to attack Han Fu's Ji Province. Facing an imminent attack from Gongsun Zan, Han Fu was terrified so he listened to Yuan Shao's lobbyists, Gao Gan (Yuan Shao's nephew) and Xun Chen, to give up the governorship of Ji Province to Yuan Shao in order to drive back Gongsun Zan. Yuan Shao then began to build a warlord state from Ye, the capital of Ji Province. In order to curtail Yuan Shu's sphere of influence, Yuan Shao formed an alliance with Cao Cao and Zhang Miao, and named his follower, Zhou Yu (周喁) as the Inspector of Yu Province, a title to which Sun Jian had already been entitled, and sent him to attack Sun Jian's territories in Yu Province while the latter was on his way back from Luoyang. In response, Yuan Shu allied with Gongsun Zan and Tao Qian, and ordered Sun Jian to fight his half-brother.

様々な州から多くの志願者が袁紹の下へ集ったので,渤海郡は袁紹軍に物資を供給するには到底不十分となりました。そこで逄紀が袁紹に,密かに公孫瓚と同盟を結んで,彼に韓馥の冀州を攻めるようけしかけることを提案しました。急に公孫瓚から攻められることとなり,韓馥は恐れて袁紹の使者の高幹(袁紹の甥)と荀諶の話を聞き,冀州牧の地位を袁紹に譲り渡して公孫瓚を撃退してもらおうとしました。それで袁紹冀州の州都であった鄴から軍国を立ち上げました。袁術の影響力を抑制する(curtail)ため,袁紹曹操と張邈と同盟を結び,部下の周喁を豫州刺史に任命しましたが,これは孫堅が既に任命されていた地位であり,袁紹は周喁を送って孫堅が洛陽から帰還する途中に豫州孫堅の領土を攻撃させました。その反応として袁術公孫瓚陶謙と結び,孫堅に命じて異母兄と戦わせました。

・荀諶(友若)は荀彧(文若)の兄弟です。荀衍(休若)も兄弟です。

・curtail は「切り詰める,削減する」という意味で,"tail" には「切る」という意味があります。「切る」のイメージは「テイラーメイド」の「テイラー(tailor,仕立屋)」から覚えましょう。

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~~ 袁術と争う ~~

Although Zhou Yu managed to defeat the forces of Sun Jian in the Battle of Yangcheng, he lost to Sun Jian in the following battles. The first battles between the brothers ended in Yuan Shu's favour: he had engaged and defeated Yuan Shao's forces in both Yangcheng and Jiujiang, restored the position in Yingchuan Commandery under Sun Jian, and eliminated Zhou Yu as a threat once and for all although Jiujiang was not yet conquered. For Yuan Shao, on the other hand, the situation was extremely difficult: besides the failure in the south, he was also under threat from Gongsun Zan, who held Yuan Shao responsible for the death of his cousin Gongsun Yue (公孫越) in battle and formally declared war against him... This led to the clash between Yuan Shao and Gongsun in the Battle of Jieqiao.

周喁は陽城の戦いで孫堅軍を何とか(manage to)破りましたが,続く諸戦で孫堅に敗れました。兄弟間の最初の戦いは袁術有利に終わりました。袁術は陽城でも九江でも袁紹軍を破り,潁川郡を孫堅の下に取り戻し,周喁を徹底的に排除しましたが,九江はまだ征服されていませんでした。他方袁紹にとって状況は極めて困難でした。南方で失敗した上,公孫瓚からの脅威も受けていました。公孫瓚は従弟公孫越の戦死を袁紹のせいだと考え,公式に袁紹に宣戦布告しました。これが袁紹公孫瓚界橋の戦いに繋がりました。

・manage to-V「何とかして V する」は便利な表現ですね。

・hold は「抱く」→「心に抱く」→「考える」の意味があり,hold O responsible は「O に責任があると考える」です。

・周喁や陽城の戦いは日本語のウィキペディア記事がありませんが,周喁の兄周昂には日本語の記事があります。周昂は袁紹配下として袁術側の孫堅公孫越を破り,公孫越を討ち取りました。それで公孫瓚袁紹に怒ったわけですね。周昂は九江太守に任命されましたが,のち袁術配下の孫賁孫堅の甥で孫策孫権の従兄)に九江を奪われました。

界橋の戦い(192年)では袁紹軍の麹義が活躍して大勝し,公孫瓚軍は厳綱が捕虜になりました(麹義に斬られたという叙述もあり)

 

~~ 公孫瓚黒山賊と戦う ~~

In order to focus on the conflicts with Gongsun Zan, Yuan Shao entered into a general alliance with Liu Biao against Yuan Shu. In the winter of that year, Yuan Shao defeated Gongsun Zan's elite cavalry at the Battle of Jieqiao with the use of massed crossbowmen. The Han imperial court issued an edict ordering Yuan Shao and Gongsun Zan to cease fire. Yuan Shao then returned to Ye and started targeting the Heishan bandits, who had been causing trouble in Ji Province. With temporary aid from Lü Bu, Yuan Shao managed to defeat the Heishan bandits despite suffering heavy casualties.

公孫瓚との戦いに集中するため,袁紹は対袁術の同盟として劉表と結びました。その年の冬,界橋の戦いで弩兵を大量に用いて公孫瓚の精鋭騎兵を破りました。漢の宮廷は袁紹公孫瓚に休戦を命令する勅令を出しました。それで袁紹は鄴に戻り,冀州で問題を起こしていた黒山賊を標的にしました。呂布の一時的な助力も得て,袁紹は多くの犠牲者(casualties)を出しながらも何とか黒山賊を破りました。

・enter the house と言うように enter は他動詞で使えます。しかし「ある状態に入る」といった抽象的な意味では enter into... が使えます。今回はアライアンス(同盟)の状態に入ったということです。

・cease fire は「撃つのを止める」ということで「休戦(armistice,truce)」です。

黒山賊とは張燕,張牛角,張雷公らのことと思われますが,呂布がどのように袁紹を援けたかについては以下の記事をご覧下さい。

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・casualty を×casuality と間違わないよう気を付けて下さい(l の直後に i 不要)。同様のことは royalty(×royality),loyalty(×loyality)にも言えます。

 

~~ 青州を長男袁譚に支配させる ~~

Despite warnings from Ju Shou that the move could sow seeds for future trouble, Yuan Shao insisted on sending his first-born son, Yuan Tan, away to "govern" Qing Province. In subsequent years, Yuan Shao achieved considerable success in consolidating his domain. At the same time, Yuan Tan also achieved exceptional success on expanding his territories in Qing Province, driving out Gongsun Zan's general Tian Kai in 193 and defeating Beihai chancellor Kong Rong in 196.

将来の問題の種を撒き得るという沮授からの警告にも拘わらず,袁紹は長男の袁譚青州を「支配」させるため派遣すると言い張りました。その後袁紹は領土を固める(consolidate)のに成功しました。同時に袁譚もまた,公孫瓚の将軍田楷を193年に青州から追い出し,196年に北海の相孔融を打ち破って,青州の領土を広げるのに非常に成功しました。

・consolidate は簡単に言うと solid「固い」にするという意味です。

袁譚青州に派遣することがなぜ将来に禍根を残すということになるのか分かりにくいですが,単に青州に送ったというだけでなく,袁紹は兄袁基の養子に袁譚を入れて,自らの後継者から外そうとしたのです。結果,袁譚袁尚の後継者争いが発生してしまいました。

孔融(文挙)は孔子の子孫で,北海国の相(よく孔北海と呼ばれる),そして劉備の推薦で青州刺史に任命されました。禰衡が有能な人物として「大人なら孔文挙,子どもなら楊徳祖」(孔融と楊修)と答えたのは有名ですね。禰衡,孔融,楊修,みな有能すぎて権力者によって殺されたのは皮肉なことです。

 

~~ 献帝を拠点に迎えず ~~

In 195, Ju Shou suggested to Yuan Shao to welcome Emperor Xian to Ji Province so he could effectively control the Han central government and use the emperor as a figurehead to enhance his legitimacy. However, Guo Tu and Chunyu Qiong opposed this move under the faulty logic that if Yuan Shao were to do so, he would have to yield to Emperor Xian on key decisions. Yuan Shao, valuing his autonomy, listened to Guo Tu and Chunyu Qiong and let the opportunity pass by. In contrast, his would-be rival, Cao Cao used the opportunity to welcome Emperor Xian to his base in Xuchang.

195年,沮授は袁紹に,献帝冀州に迎えて効果的に漢王朝をコントロールし,皇帝を傀儡として利用して自らの正当性を高めるよう提案しました。しかし郭図と淳于瓊が,もしそうすれば,袁紹は大事な決定で献帝に従わざるを得なくなるという誤った(faluty)論理に基づきこれに反対しました。袁紹は自らの自律を重んじ,郭図と淳于瓊に耳を傾け機会を逃しました。対照的に彼の将来のライバル曹操献帝を自らの拠点・許昌に迎えるという機会を利用しました。

・faulty は luck に y が付いて lucky になるのと同じで,fault「誤り」+y です。

 

~~ 大将軍に任命される ~~

In 196, the Han imperial court, under Cao Cao's control, awarded Yuan Shao the appointment of Grand Commandant. However, Yuan Shao rejected the appointment because Grand Commandant ranked below General-in-Chief, the position held by Cao Cao. As a result, Cao Cao gave up his position and offered it to Yuan Shao, who readily accepted it.

196年,曹操支配下にあった漢の宮廷は,袁紹を太尉に任命して褒美としました。しかし太尉は曹操が有していた大将軍の地位より下にあったため,袁紹はこれを拒絶しました。結果として曹操は大将軍の地位を袁紹に譲り渡し,袁紹はこれを喜んで受けました。

・太尉(大尉ではないので注意)は主に文官が任命される,国防相のよう地位です。大将軍は韓信や衛青が任命されています。将軍職のトップですね。

 

In 198, Yuan Shao advanced against Gongsun Zan and encircled his remaining force at Yijing. By early 199, Yuan Shao had completely defeated Gongsun Zan at the Battle of Yijing and held absolute power over the four provinces north of the Yellow River. Then, after establishing an alliance with the Wuhuan tribes on the northern frontier, Yuan Shao turned his attention to Cao Cao, who had consolidated his own power base to the south of the Yellow River.

198年,袁紹公孫瓚への進撃を開始し,易京にいた残存勢力を包囲し(encircle)ました。199年前半までに袁紹易京の戦い公孫瓚を完全に打ち負かし,黄河北岸の四州を完全に支配しました。それから北方辺境の烏桓族との同盟を確立した後,袁紹黄河南岸での支配を固めていた曹操に矛先を向けました。

・四州とは冀州青州,幽州,并州ですかね。

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次回は曹操との官渡の戦い(200年)です。

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『鉄壁』未満英単語61(Di)

『鉄壁』未満英単語60続きです。N→e→w→J→o→b→F→i→x→M→r→G→l→u→c→k→s→H→a→z→y→T→V→P→D の順で,D に入っています。

Di

dichotomy「二分法」(意見などを二つに分けること)

dig「掘る,掘り当てる」 ※dig - dug - dug

digitalis「ジギタリス,キツネノテブクロ(foxglove)」

※指のような形から digital「デジタル」と同根。digit は「(手足の)指」という意味

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dire「恐ろしい」

※ゲームでは「ダイアウルフ」が有名だが,「ダイアモンド」とは無関係で「恐ろしい」の意。かつて実在した絶滅種である。中国語ではそのまま「恐狼」

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disciple「弟子」/dɪspl/

discontent「不満(にさせる)」

discord「不和,不一致」

discount「割引,割引する,軽視する」

※「軽視する」に注意

discrepancy「不一致,相違」

discus「円盤投げの円盤」

※discuss「議論する」と混同注意。また discuss と違い,dis の方に強勢がある

disdain「軽蔑(する)」

disgrace, dishonor「不名誉,名誉を汚す」

dishonest「不正直な,不誠実な」

disinformation「故意に流される偽情報」

dismal「陰気な,惨めな」

※実は dis ではなく mal の方に「悪い」の意味がある。この語の dis は days の意

disorientation「方向感覚を失うこと」

dispel「払拭する,一掃する」

※敵の呪文を跳ねのけるといった意味でゲームで有名な語

※repel「撃退する,追い払う,不快にさせる」

display「展示・陳列する,(能力を)発揮する」

※この語の play は ply「畳む,巻く」で,これが dis で打ち消されて「畳んだ物を広げる」→「陳列する」

形態素 "ply" から出来た他の語については以下の記事を開き "ply" をページ内検索してください(Windows では CTRL + F でページ内検索です)

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displease「不快にさせる,怒らせる」

※please「喜ばせる」+打消 dis

disprove「反証する,論駁する」

※prove「証明する」+打消 dis だが「証明しない」という意味ではない

divergence「逸脱,相違,(数学)発散」

※対義語は convergence「収束,収斂」

dividend「配当,恩恵」

※divide から来ていると思われるが「ディヴァイデンド」ではなく「ディヴァデンド  /dɪvədend/」「ディヴィデンド /dɪvɪdend/」

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今回は打ち消しや距離を意味する dis がある回でしたね。dismal「陰気な」の dis は打消ではなく days「日」ですが,否定的な意味の語であるため,打消の dis でイメージしてしまっても事故は起こらないでしょう。次回は d を最後まで進み,d の後は q でこのシリーズ終了です!

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三国志で英語のお勉強24: 袁紹(袁本初)その2

Wikipedia三国志関連の記事を読んで英語・英単語の勉強をしていきます。袁紹その1に引き続き第24回は袁紹その2です。

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Dong Zhuo then discussed with Yuan Shao about his plan to depose Emperor Shao and replace him with the Prince of Chenliu, but Yuan Shao disagreed. Relations between the two deteriorated and Yuan Shao fled from Luoyang to Ji Province (present day southern Hebei). At the time, Yuan Shao just got out through the city gates of Luoyang, Dong Zhuo thought about sending men after him, but Zhou Bi, Wu Qiong and He Yong secretly helped Yuan Shao by convincing Dong Zhuo to let him go. As suggested by the three men, Dong Zhuo appointed Yuan Shao as the Administrator of Bohai Commandery in a bid to appease him.

それから董卓袁紹と,少帝を退位させ(depose)て代わりに陳留王を就けるという自身の計画について話し合いましたが,袁紹は同意しませんでした。二人の関係は悪化し(deteriorate),袁紹は洛陽から冀州(現在の河北省南部)に逃亡しました。董卓は兵を派遣して袁紹を追わせることを考えましたが,周毖,伍瓊,何顒は董卓に,袁紹を行かせるよう説得することによって,密かに袁紹を助けました。この三人の主張を容れ,董卓袁紹を宥め(appease)ようとして(in a bid to)渤海郡太守に任命しました。

・depose は「退位させる;証言する」です。「退位させる」の方は de=down と pose=position で推測しやすいですが「証言する」の方は覚えにくいですね。

・『ジーニアス英和辞典』によると deteriorate の日常語バージョンは get worse です。

・in a bid to-V は「V しようと努力して」「V しようと目論んで」です。

・appease は「宥める,懐柔する,譲歩する」です。pease は peace「平穏」のことですが「アピース」ではなく「アピーズ」/əpiːz/ です。

 

By early 190, however, Yuan became openly hostile. A coalition of regional officials and commanders from the eastern provinces, including Cao Cao, Yuan Shu, Han Fu, Zhang Miao and Bao Xin, formed up behind him in a campaign to oust Dong Zhuo. Yuan Shao declared himself General of Chariots and Cavalry (車騎將軍) and camped at Henei (河內), near a fort on the Yellow River just north of Luoyang.

しかし190年初頭に袁紹は公然と(openly)反旗を翻しました。曹操袁術,韓馥,張邈,鮑信を含む東部諸州の役人や司令官達の連合が袁紹を前面に立てて董卓を追い出す(oust)軍事作戦を立ち上げました。袁紹は車騎将軍を自称して河内に陣を張りました。洛陽のちょうど北の黄河沿いの砦近くです。

 

On 10 May 190, Dong Zhuo ordered the execution of all members of the Yuan clan in Luoyang; he then sent out emissaries with imperial edicts ordering the regional officials to disband. However, members of the coalition listened to Yuan Shao... Dong Zhuo then sent Hu Zhen, Lü Bu and Hua Xiong to deter the coalition vanguard led by Sun Jian. Despite initial success, Sun was able to capitalise on the internal conflict between Hu Zhen and Lü Bu and defeated them at Yangren. After that loss, Dong Zhuo decided to move the imperial capital to Chang'an, where his home base of Liang Province was nearby. A year later, Dong Zhuo burnt Luoyang to the ground and withdrew to the west with the mass of refugees. Although lacking a logistical base, Sun Jian and Cao Cao requested to pursue Dong Zhuo's retreating force, but Yuan Shao and other members largely disagreed with their opinion. Sun Jian was ordered to rendezvous with Yuan Shu, so Cao Cao led his own men to go on the pursuit alone, and was soundly defeated by Dong Zhuo's subordinate, Xu Rong.

190年5月10日,董卓は洛陽にいた袁一族を全て処刑する命令を出し,次いで地方の役人達に解散する(disband)よう命令する勅令を持たせた使者を派遣しました。しかし連合のメンバー達は袁紹の言うことを聞きました。それで董卓胡軫呂布華雄を派遣して孫堅率いる連合軍先陣を抑止しようとしました。最初それは成功しましたが,孫堅胡軫呂布の内部の諍いに付け込む(capitalise on)ことができ,陽人で彼らを破りました。その敗北の後,董卓は帝都を,自身の本拠涼州に近い長安に移す決断をしました。一年後,董卓は洛陽を焼き払い大量の避難民と共に西へ退却しました。兵站上の拠点がないにも拘らず,孫堅曹操は退却する董卓軍を追撃することを要求しましたが,袁紹や他の将は概ね彼らの意見に反対しました。孫堅袁術と合流するよう命じられたため,曹操は自身の部下を率いて単独で追撃しましたが,董卓の部下徐栄に徹底的に(soundly)打ち破られました。

・disband「解散する・させる」は「バンド」に dis が付いているので覚えやすいでしょう。

・洛陽を「焼き払う」の部分は burn+down でも通じるのでしょうが,down の所を to the ground「地面まで」に代えて burn+to the ground としていますね。down to the ground と両方書くこともできます。

・sound には「しっかりとした,健全な」という意味があり,soundly は「しっかりと」ということですね。

 

During this time, Yuan Shao and Han Fu had intended to establish the legitimacy of the coalition by declaring Liu Yu, the governor of You Province, the new emperor to replace Emperor Xian. However, believing that it would be faithless to Emperor Xian for him to accept, Liu Yu declined the offer. When the scene of the ruined capital coming into their eyes, the disunited leaders of the coalition realised that the Han dynasty was coming to an end, and started planning on strengthening their position, and soon returned to their respective home bases.

この頃袁紹と韓馥は連合の正当性(legitimacy)を確立するため,幽州刺史の劉虞を献帝に代わる新帝に擁立しようとしていました。しかし劉虞はそれを受けると献帝への不忠になると考え,申し出を断りました。廃墟と化した都の光景が目に入ると,バラバラになった連合の指導者達は漢朝の命運が尽きたと悟り,自らの地位強化を計画し始め,まもなくそれぞれの(respective)本拠地に戻っていったのでした。

公孫瓚の回で触れましたが,劉虞はのち公孫瓚と対立して殺されました。劉虞は後漢光武帝の長男の末裔であり,また北方異民族からの人望もあったため,公孫瓚が劉虞を殺したことは公孫瓚の基盤を悪化させました。

・respect に「点,箇所」という意味があり,respective は「それぞれの,めいめいの,各々の」という意味ですが,respect の「尊敬」の意味から派生した respectable「尊敬に値する,立派な」などとの混同に注意です。以下の記事で紹介しています。

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↓次回はこちら

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『鉄壁』未満英単語60(Da-De)

『鉄壁』未満英単語59続きです。N→e→w→J→o→b→F→i→x→M→r→G→l→u→c→k→s→H→a→z→y→T→V→P→D の順で,D に入ります。

Da-De

dairy「乳製品,乳製品加工場」/de(ə)ri/

damp「湿っぽい,じめじめした;湿気」→dampen「湿らす,弱める」

※快適な湿り気は moist, moisture を使う

Dane「デンマーク人」 cf. Denmark, Danish

daring「大胆な」 ※darling と混同注意

darken「暗くする,暗くなる」

daunt「怖気させる」→dauntless「不屈の,勇敢な」

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↓英海軍の潜水艦

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dazzle「目を眩ませる,感嘆させる」

deaden「力を失わせる,弱める」

dead end「行き止まり,袋小路」

dealer「取扱業者,販売人」

the deceased「死者,故人」(the departed)

decimal「小数の,10進法の」

decipher, decode「(暗号を)解読する」

※cipher「暗号」,encode「符号化する」

decoy「おとり,デコイ」

decree「命令,布告」

deem「考える,見なす」

deepen「深める,深まる」

de facto「事実上(の)」

defect「欠陥;寝返る

defer「従う;延期する」

※differ「異なる」と混同注意

deficient「不足している」←→sufficient「十分な」

deflation「収縮,デフレーション(デフレ)」←→inflation

deflect「そらす」

※マイナー語だが『ロマンシングサ・ガ』シリーズに「ディフレクト」という攻撃回避技があるため掲載

deform「歪める,変形させる」

※form「形」+de で覚えてもいいし絵画の「デフォルメ」から覚えてもいい。但し英語では「ディフォーム」

dehydrate「乾燥させる,脱水状態にする」

※de+hydr「水」

delusion「錯覚,妄想」

※illusion とセットで覚えておこう

demolish「取り壊す(pull down),解体する」

※「デーモン」的なものでイメージするのも良い。「デーモンが取り壊す」とか

den「巣穴,巣窟,秘密基地」

※自分がこれを覚えたのはウルティマシリーズのバッカニアーズ・デン(Buccaneer's Den)

denounce「公然と非難する」

※announce に「de=down」が付いている。renounce は「re=back」で「放棄する」

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deputy「代理」

dermatology「皮膚科」

※日本の総合病院でも英語表記で載っていると思います

detest「ひどく嫌う,憎む」

detour「回り道」

devour「貪る,破壊しつくす,貪るように読む」

dew「露」

dexterity「器用さ」

※ゲームでお馴染みの DEX

※dexter「右側の,右手の」から「器用」の意味が生まれた。対義の sinister「左側の,左手の」からは「不吉な」の意味が生まれた

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次回は Di- からです。次回はこちら

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重要形容詞一覧1: N で始まる形容詞 (naive - negligible)

これまで「『鉄壁』未満英単語」や「動詞語法辞典」といった英単語リスト系の記事をたくさん書いてきましたが,新シリーズとして「形容詞辞典」的なものを書いていきます。長文読解において形容詞は著者の価値判断・評価を表すため重要なのです!

但し nasal「鼻に関する」,naval「海軍の」といった価値判断ではない形容詞も載せます

お詫びとしては,new や natural といった簡単めで語義が多すぎるものは割愛します

アルファベット順だと苦痛なので,また「鉄壁未満」と同様に N → e → w → J → o → b → F → i → x → M → r → G → l → u → c → k → s → H → a → z → y → T → V → P → D → Q の順で行きます。

ということで今回は N で始まる形容詞です。

★付きは森一郎試験にでる英単語』に掲載の語

naive「(悪い意味で)世間知らずの,発想が単純な,(良い意味で)純真な,天真爛漫な,無邪気な」

※日本語では良い意味で使われることが多いので,悪い意味に注意

It is only naive to think... = It is only naive if you think...「……と考えるのは単純に過ぎる」

→「オメーその発想無邪気すぎンゾ?」(ヤンキー的会話)といったイメージ

naked「裸の,覆いに覆われていない,(目が)肉眼の;露骨な」

the naked eye「肉眼」(単数形で良いのは状態を指すからだろう)

nameless「名の無い(anonymous),無名の(obscure);名状しがたい」

a nameless horror「名状しがたい恐怖」

narrow「狭い,辛うじての,狭量な,綿密な」

narrow escape「危機一髪」,narrow victory「ぎりぎりの勝利」,narrow mind「狭量な心」

nasal「鼻(nose)の,鼻に関する,(声が)鼻にかかった」

nasal voice「鼻声」

nasty「嫌な,不快な,汚らしい,意地悪な,危険な,ひどい,猥褻な」

私が nasty という言葉を調べたのは B'z の「HOLY NIGHT にくちづけを」ですね~

★national「国民の,国家の,全国的な」

「国の」だけでなく「国民の」も覚えましょう。例えば national income は「国の所得」ではなく「国民所得」です。National Basketball Association (NBA)「全米バスケットボール協会」の national は「全国の」です

nationalist「民族主義(者)の」

-ist は「~主義者」だけでなく形容詞で「~主義者の」にもなることに注意

nationwide「全国規模の;全国規模に」

そのままの綴りで副詞にもなる

native「その土地に生まれた,その土地原産の,出生地の」

★naughty「腕白な,不謹慎な,下品・猥褻な」

naught [nought]「ゼロ」→「無価値」が語源。haughty「傲慢な」は high が語源。naughty と haughty で混同しそうになったら nothing の n か high の h かで判断

↓ゲーム会社 Naughty Dog

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★naval「海軍の」←navy

ネーブルオレンジ」の navel「へそ」と同音 /neɪvl/

nearby「近くの;近くに」

a nearby hospital「近くの病院」

neat「きちんと片付いた,小ぎれいな,身だしなみの良い,適切な,素敵な」

a neat answer「適切な答え」

needless「不要な」

needless to say「言うまでもないことだが」

↓初めて Needless to say を覚えた a-ha の Take On Me

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needy「生活に困窮した(poor の婉曲)」

★negative「有害な,消極的な,不賛成の,(検査結果が)陰性の」

★neglectful「怠慢な,怠りがちな(of...)」

lect は select の lect「選ぶ」。「選ば(lect)」+「ない(neg)」→「無頓着」→「怠慢」

★negligent「怠慢な,無頓着な(of...)」

negligible「無視しうる,取るに足らない」

far from negligible「決して無視できない(ほどで)」

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20個紹介しました。切りが悪い場合を除き20個で切っていきますので,ざっと通して見て知らない者があれば覚えていく,といった感じで読んでいって下さい。

↓この記事のアイキャッチ画像は以下の記事にあります

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ローランの歌(39) バリガンの息子マルプリム先陣を申し出る

十軍の編成が終わった「ローランの歌(38)」の続きです。

CCXXVI (226)

  That Emperour down from his horse descends;
  To the green grass, kneeling, his face he bends.
  Then turns his eyes towards the Orient,
  Calls upon God with heartiest intent:
  "Very Father, this day do me defend,
  Who to Jonas succour didst truly send
  Out of the whale's belly, where he was pent;
  And who didst spare the king of Niniven,
  And Daniel from marvellous torment
  When he was caged within the lions' den;
  And three children, all in a fire ardent:
  Thy gracious Love to me be here present.
  In Thy Mercy, if it please Thee, consent
  That my nephew Rollant I may avenge."
  When he had prayed, upon his feet he stepped,
  With the strong mark of virtue signed his head;
  Upon his swift charger the King mounted
  While Jozerans and Neimes his stirrup held;
  He took his shield, his trenchant spear he kept;
  Fine limbs he had, both gallant and well set;
  Clear was his face and filled with good intent.
  Vigorously he cantered onward thence.
  In front, in rear, they sounded their trumpets,
  Above them all boomed the olifant again.
  Then all the Franks for pity of Rollant wept.

その皇帝は馬から降りる。草の上に跪き,首を垂れる。それから両眼を東方に向け,全身全霊で神に訴える。

「真の父よ,本日は我を護り給え。クジラの腹の中に閉じ込められたヨナを実際救って下さった。またニネヴェの王をお救い下さった。またライオンの巣穴に閉じ込められ苦しめられたダニエルをお救い下さった。また3人の子を燃え盛る炎から護って下さった。貴方の愛をお示し給え。もし慈しみがおありなば,我が甥ローランの復讐を為させ給え」

このように祈り終わり,両足で直立すると,彼の額に強力な印が顕現した。王はジョズランとネームに鐙を支えられながら駿馬に跨り,盾を持ち,鋭い槍を取った。四肢は立派で猛々しく,表情は晴れやかで志に満ち,勢力旺盛に馬を駆けだす。前方にも後方にもトランペットが鳴り響き,彼らの頭上には角笛が唸りを上げる。するとフランク兵達はみなローランを偲んで涙を流す。

Jonas は以下の人物で,大魚の腹の中に入るエピソードは旧約聖書の「ヨナ書」にあるそうです。

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・「3人の子が炎から護られる」エピソードは「ダニエル書」の以下のエピソードでしょうか。“燃え盛る炉に投げ込まれる三人(3章)王の造った金の像を拝む事を拒否した3人が炉に投げ込まれるが生還する

CCXXVII

  That Emperour canters in noble array,
  Over his sark all of his beard displays;
  For love of him, all others do the same,
  Five score thousand Franks are thereby made plain.
  They pass those peaks, those rocks and those mountains,
  Those terrible narrows, and those deep vales,
  Then issue from the passes and the wastes
  Till they are come into the March of Spain;
  A halt they've made, in th'middle of a plain.
  To Baligant his vanguard comes again
  A Sulian hath told him his message:
  "We have seen Charles, that haughty sovereign;
  Fierce are his men, they have no mind to fail.
  Arm yourself then: Battle you'll have to-day."
  Says Baligant: "Mine is great vassalage;
  Let horns this news to my pagans proclaim."

その皇帝は気高く馬を駆ける。シャツの上に白髭を棚引かせながら。彼を敬い,十万のフランク兵が後に続く。彼らは峰々,山々を越え,恐ろしい峡谷,深い谷を抜ける。そして峠や荒れ地を抜け,遂にスペインの辺境へやって来た。平野の中で彼らは停止する。バリガンの下へ彼の先兵が帰ってきた。シリア兵が彼に報告する。

「あの高慢な君主シャルルを目撃しました。部下どもも獰猛で,やる気満々です。戦のご準備を。今日のうちに戦となりましょう」

バリガンは言う。「目にもの見せてやろうぞ。角笛を鳴らして我が異教徒達に知らしめよ」

A Sulian はもう一つのバージョンでは a Syrian spy となっていたので「シリア兵(の歩哨)」でしょう。

キリスト教徒にとってイスラム教は異教ですが,イスラム教徒にとってイスラム教は異教ではないので,バリガンが部下達を my pagans「我が異教徒達」と言うのは変なんですけどね。ただ pagan には「キリスト教を信じない者」の意味もあり,この意味で自称するのは変ではないですね。

CCXXVIII

  Through all the host they have their drums sounded,
  And their bugles, and, very clear trumpets.
  Pagans dismount, that they may arm themselves.
  Their admiral will stay no longer then;
  Puts on a sark, embroidered in the hems,
  Laces his helm, that is with gold begemmed;
  After, his sword on his left side he's set,
  Out of his pride a name for it he's spelt
  Like to Carlun's, as he has heard it said,
  So Preciuse he bad his own be clept;
  Twas their ensign when they to battle went,
  His chevaliers'; he gave that cry to them.
  His own broad shield he hangs upon his neck,
  (Round its gold boss a band of crystal went,
  The strap of it was a good silken web;)
  He grasps his spear, the which he calls Maltet;—
  So great its shaft as is a stout cudgel,
  Beneath its steel alone, a mule had bent;
  On his charger is Baligant mounted,
  Marcules, from over seas, his stirrup held.
  That warrior, with a great stride he stepped,
  Small were his thighs, his ribs of wide extent,
  Great was his breast, and finely fashioned,
  With shoulders broad and very clear aspect;
  Proud was his face, his hair was ringleted,
  White as a flow'r in summer was his head.
  His vassalage had often been proved.
  God! what a knight, were he a Christian yet!
  His horse he's spurred, the clear blood issued;
  He's gallopped on, over a ditch he's leapt,
  Full fifty feet a man might mark its breadth.
  Pagans cry out: "Our Marches shall be held;
  There is no Frank, may once with him contest,
  Will he or nill, his life he'll soon have spent.
  Charles is mad, that he departs not hence."
                      AOI.

全軍の間で太鼓を叩き鳴らし,喇叭を高らかに吹き鳴らす。異教徒達は馬を降り,武具を身につける。それで彼らの総督ももはや立ち止まろうとしない。縁に刺繍の入ったシャツを身につけ,金や宝石であしらわれた兜の緒を締め,剣を左脇腹に佩く。シャルルがその剣にジョワユーズと名付けたように,彼もその誇りから自身の剣をプレシューズと呼ぶ。これは彼らが闘う時に発する鬨の声だ。

大きな盾(その金の突起の周囲には水晶が埋め込まれ,ぶら下げる紐は良質の絹だ)を首からぶら下げ,マルテと呼ぶ槍を握りしめる。その槍の柄は丈夫な棍棒のように太く,槍の刃の重さだけで騾馬は背中が曲がるほどだ。バリガンは軍馬に跨る。海の向こうからやって来たマルキュールが彼の鐙を支える。バリガンは歩幅は大きく,腿は細く,胸は広く大きく,立ち居振る舞いに風流があり,肩は広く,目は澄んでいる。顔には誇りを湛え,髪は長い巻き毛で,頭は夏に咲く花のように白い。彼の武勇はこれまで何度も示されてきた。ああ神よ,彼がキリスト教徒だったら何と優れた騎士たり得たろうか!

彼は馬に,鮮血が出るまで拍車を当てる。全速で駆け,15メートルはあろうかと言う溝を跳び越える。異教徒達は叫び声をあげる。「我々の地は守られよう。総督に抗しえるフランク兵はいまい。否が応でも命を取られよう。ここを去らなければシャルルはどうかしているぞ」

that they may は so that they may「彼らが……するために」です。

Preciuseプレシューズ」はバリガンの剣の名前であり,バリガン軍の鬨の声です。グラブルジャンヌ・ダルクが「プレシューズ」という奥義を持ちます。

Maltet「マルテ」はバリガンの槍の名前。グラブルSSRジャンヌ・ダルクが「神槍マルテ」という奥義を持ちます。またファイアーエムブレムにもマルテという槍があるようです。プレシューズもマルテもバビロニア総督バリガンの得物ですが,いかにもフランス語の響きなんですよねえ……

were he a Christian は典型的仮定法表現で if he were a Christian「仮に彼がキリスト教であったならば」です。バリガンは「イスラム教徒にしておくには惜しい名将」というわけですね。

CCXXIX

  That admiral to a baron's like enough,
  White is his beard as flowers by summer burnt;
  In his own laws, of wisdom hath he much;
  And in battle he's proud and arduous.
  His son Malprimes is very chivalrous,
  He's great and strong;—his ancestors were thus.
  Says to his sire: "To canter then let us!
  I marvel much that soon we'll see Carlun."
  Says Baligant: "Yea, for he's very pruff;
  In many tales honour to him is done;
  He hath no more Rollant, his sister's son,
  He'll have no strength to stay in fight with us."
                      AOI.

その総督は名将らしく,髭は夏に咲き誇る花のように白い。その信条において多くの知恵を有し,戦では誇り高く獰猛だ。彼の息子のマルプリムは騎士の気質に優れ,先祖達と同様に勇敢さと強靭さを備えている。彼は父にこう言う。「殿,馬を駆けましょう! 今にもシャルルに見えますかな」

バリガンは言う。「ああ,奴は勇猛な騎士だ。多くの物語で輝かしい功績を上げている。だがもう奴の甥ローランはおらぬ。我々の力には抗し得ぬよ」

・バリガンの息子の Malprimes(Malprime)について,以前マルシル十二将に「ブリガルのマルプリミス(Malprimis of Brigal)」が登場しました。馬よりも速く駆ける人物で,特に活躍することもなくジェランに討ち取られました。バリガンの息子の方も初めはマルプリミスと訳していたのですが,考え直して「マルプリム」に変えてみました。

pruff は『ローランの歌(4)』にも登場していますが,Wiktionary にすら載っておらず,その時にも意味が解りませんでした。もう一つのバージョンでは a valorous knight「勇猛な騎士」となっており,誉め言葉の形容詞ではあるようです。もしかすると proof「強い」のことかもしれませんね(例 fireproof「耐火性の,不燃性の」)

CCXXX

  "Fair son Malprimes," then says t'him Baligant,
  "Was slain yestreen the good vassal Rollanz,
  And Oliver, the proof and valiant,
  The dozen peers, whom Charles so cherished, and
  Twenty thousand more Frankish combatants.
  For all the rest I'ld not unglove my hand.
  But the Emperour is verily come back,
  —So tells me now my man, that Sulian—
  Ten great columns he's set them in their ranks;
  He's a proof man who sounds that olifant,
  With a clear call he rallies his comrades;
  These at the head come cantering in advance,
  Also with them are fifteen thousand Franks,
  Young bachelors, whom Charles calls Infants;
  As many again come following that band,
  Who will lay on with utmost arrogance."
  Then says Malprimes: "The first blow I demand."
                      AOI.

「立派な息子よ」とバリガンはそれから彼に言う。「前日の晩,名将ローランは討たれた。強く勇敢なオリヴィエも。シャルルが愛した十二将も,二万のフランク兵らも。残りの者達は造作もないであろう。しかし皇帝は確実に戻って来ている。そう,部下のシリア兵が我に告げておる。全兵力を十の軍に分けたそうだ。彼は有能な男で,角笛を吹き,その高らかな音で兵達を指揮する。これらが先頭で駆けてくる。彼の側には一万五千のフランク兵がおり,子どもたちと呼ぶ未婚の兵から成っている。その二倍ほどの兵がその部隊に続く。士気は旺盛だ」

それでマルプリムは言う。「先陣は私にお任せ下さい」

yestreen は「前の晩(the night before)」です。

For all the rest I'ld not unglove my hand「残りの者達に対して,私は手袋を外すつもりはない」は一瞬意味不明でしたが,『ジーニアス英和辞典』で glove を引くと,take the gloves off で「本気で戦う」というのがあります。gloves を外せば「本気」,外さなければ「本気でない(適当)」という発想があるのでしょう。「手袋を外さない」ということは,本気で戦わなくてもよいと思っているということでしょう。もう一つのバージョンでは Not at a glove's worth hold I all the rest「私は残りの者達を,glove の価値すらないと考える」です。

infant は「子ども,幼児」です。なおそこから infantry は「歩兵隊」です。

as many again は「二倍」です。「1.5倍」は half again as many,half as many again です。なおシャルル本隊は十万だったと思うので,その二倍どころではないですね。

CCXXXI

  "Fair son Malprimes," says Baligant to him,
  "I grant it you, as you have asked me this;
  Against the Franks go now, and smite them quick.
  And take with you Torleu, the Persian king
  And Dapamort, another king Leutish.
  Their arrogance if you can humble it,
  Of my domains a slice to you I'll give
  From Cheriant unto the Vale Marquis."
  "I thank you, Sire!" Malprimes answers him;
  Going before, he takes delivery;
  'Tis of that land, was held by king Flurit.
  After that hour he never looked on it,
  Investiture gat never, nor seizin.

「立派な息子よ」バリガンは彼に言う。「お前が望むなら任せよう。さあフランク軍に当たり,迅速に破って来い。ペルシアの王トルルを連れて行くがよい。ルーティシュを治めるダパモール王も。奴らの鼻を挫いて見せることができれば,我が領土の一部をお前に与えよう。シェリアンからマーキス谷までを」

「殿,有り難うございます!」マルプリムは彼に答える。前に進み,受け取る。この土地は,かつてフルーリ王が有していた土地だ。しかしマルプリムはその土地を治めたことも目にしたこともない。

Their arrogance if you can humble it は一瞬「彼らの傲慢さ」が「トルルとダパモールの傲慢さ」に読めますが,もう一つのバージョンでは If you subdue the vaunting Carle となっており,「もしシャルルの傲慢さを打ち砕けば」ですね。humble は「謙虚な,卑しい」ですが,動詞で「簡単に打ち負かす,恥をかかせる」の意味があります。「やっつけて謙虚にさせる」ということですね。

he takes delivery「彼は品物を受け取る」もう一つのバージョンでは he receives the boon「贈り物を受け取る」です。何を受け取ったか明記していませんが,土地の一部を与えるという約束の書状でしょうか。

・最後の「マルプリムはその土地を治めたことも目にしたこともない」は気になる表現ですね。結局マルプリムはシャルル軍にやられるから約束を果たせず,その土地を貰えなかったということを示唆しているのでしょうか。読み進めれば,マルプリムの勝敗が明らかになるでしょう。

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『鉄壁』未満英単語59(Pr-Pu)

『鉄壁』未満英単語58続きです。N→e→w→J→o→b→F→i→x→M→r→G→l→u→c→k→s→H→a→z→y→T→V→P の順で,Pに入っています。

Pr-Pu

practitioner「開業医(practicing doctor),専門家,弁護士」

※practice「開業する」から来ているが c が t に変わっている部分があるので注意

pragmatic「実用主義の,実用的な」

prayer「祈りの言葉(/preə(r)/);祈る人(/preɪə(r)/)」

※意味により発音が違うので注意。カタカナで書いてしまうと左が「プレア」,右が「プレイア」

precarious「不安定な,運次第の」

precaution「用心,警戒」

precipitation「降水量」

※rainfall+snowfall

precursor「前任者,先駆者」

predator「捕食動物」

predecessor「前任者」(←→successor)

predicament「困難な状況」

preface「序文,はしがき」

pre-industrial「工業化以前の,産業革命以前の」

premier「首相(prime minister)」

※フランス,イタリア,中国などの首相に使う

preparatory「予備の,準備の,大学受験(進学予備)の」

preposition「前置詞」

※「pre前」+「position位置」

※proposition「提案,説」と混同注意

preschool「(小学校)就学前の」

preside「議長を務める」

※「pre前」+「side=sit座る」

※president「大統領,社長」の元

pretext「口実」

prewar「戦前の」(←→postwar「戦後の」)

prick「ちくりと刺す;(男性への侮蔑語)くそ野郎」

※右は映画などで聞く

principality「公国,権天使

※prince は「王子」のほか「君主,公」の意味がある

prism「角柱」

en.wikipedia.org

※「円柱」は cylinder

processor「処理機,プロセッサ」

※ここから逆に,動詞の process に「加工する,処理する」の意があることを印象付けるのが有効

※フードプロセッサーワードプロセッサー(ワープロ

proffer「提供する」

※マイナー語だが offer と同じ意味なのでついでに覚えておくとよい

projectile「投射物,(弾丸などの)発射体」

※「前方にpro」+「投げるject」

prom「高校卒業パーティー

※『メリーに首ったけ』などドラマでよく出てくる

en.wikipedia.org

pronoun「代名詞」

-proof「耐……性の,防……性の」

※fireproof, windproof, waterproof, soundproof, childproof「子どもが触っても大丈夫な」

※proof には「その強度について証明済みの」といった意味がある(proof armor)

propaganda「政治宣伝,思想宣伝」

propel「推進する」

※プロペラ(propeller)の元

prose「散文」→prosaic「退屈な;散文体の」

prosecute「起訴する」→prosecutor「検事」

protagonist「物語の主人公」

※「主人公のライバル」は antagonist

protein「タンパク質」

※pro に強勢(/prtiːn/)。生物学の文章で出てきたとき「プロテインを飲む?」とか誤解しないように

pseudoscience「えせ科学」

※pseudo- に「擬似,似非(えせ)」の意味がある

puke「嘔吐する(vomit, throw up)

pupil「学童,瞳」

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