フレイニャのブログ

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古文の勉強2:『枕草子』第二段その1

『枕草子』第一段(春はあけぼの)に続いて第二段です。長いので何回かに分けます

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ころは、正月・三月、四月・五月、七・八・九月、十一・二月。すべて、折につけつつ、一年ながらをかし。

2月,6月,10月以外が良いということですね。「すべて一年ながらをかし」とあるのでどの月も良いということでしょうが,「折に付けつつ」はよく分かりませんでした。「折に付く」は「それぞれの時・場所に応ずる」ということみたいですが,1月は1月で,3月は3月で,それぞれの良さがあるということでしょうかね。

とにかく9個も選んでいて,選ばれなかった月が可哀想ですね。

 

正月。一日はまいて(まして)。空のけしき(様子)もうらうらと(のどかで明るく)、めづらしう(素晴らしく)霞こめたる(霞がたちこめている)に、世にありとある人はみな、姿かたち心ことに(格別に)繕ひ(着飾り,化粧し)、君(主君)をも我をも祝ひなどしたるさま、ことに(とりわけ)をかし(趣がある,面白い)

「空のけしき」は「空の気色」で,「空の様子」らしいです。「気色(けしき)ばむ」という言い方もあるように,人の様子も意味します

「うらうら」は「うららか」と同じですかね

「めづらし」は「()づ」から来ており,「珍しい」のほか「素晴らしい」の意味に注意。「めでたし(語源は「愛で」+「甚し」)」にも「素晴らしい」の意味がある

「めづらし」:(めずらしく・)めづらしから/めづらしく・めずらしかり/めずらし/めづらしき・めずらしかる/めづらしけれ/めづらしかれ(形容詞シク活用;下線部は助動詞に繋がる時の「補助活用」)

「めでたし」:(めでたく・)めでたから/めでたく・めでたかり/めでたし/めでたき・めでたかる/めでたけれ/めでたかれ(形容詞ク活用)

※暗記するなら「く・から,く・かり,し,き・かる,けれ,かれ」という「形容詞ク活用」をまず覚え,終止形を除く全部の頭に「し」が付くと覚える。終止形に「し」を付けてしまうと「しし」になるので流石におかしいと分かる

「愛づ」:愛で/愛で/愛づ/愛づる/愛づれ/愛でよ(下二段活用)

例.「虫めづる姫君(蟲愛づる姫君)」(連体形+姫君)

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「繕ふ」(四段活用)はここでは「修繕する」ではなく「着飾る」みたいですね。元日の人々の様子です。「身繕い」という言葉は現代にもあります

「君」ですが,著者は上流階級の人なので,仕えている相手に謹賀新年の挨拶をしに行くのでしょう。天皇に会える立場の人なら天皇でしょうし,そうでなければ自分が仕えている貴族でしょう

 

七日。雪間の若菜摘み、青やかにて、例(いつも,普通)はさしも(大して)さるもの(そのような物)、目近からぬ(目の近くにない,見慣れていない)ところに、持て騒ぎたる(持てはやす)こそ、をかしけれ。白馬見にとて(と言って)、里人は、車清げに仕立てて見に行く。

「こそをかしけれ」は「こそ+已然形」という係り結びです。「をかしけれ」は「をかし」の已然形です。完全に忘れていましたが,「ぞ・なむ・や・か・こそ」って覚えた気が……。「こそ」以外は連体形だそうです。「好きこそものの上手×なり」ではなく「好きこそものの上手なれ」なのは係り結びなんですね。「雨降りける」かな。

なお「こそ+已然形」は逆接の意味で下に続く場合もあるので注意。現代語でも「数こそ少ないけれども」みたいな言い方はあると思う。

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「里人」は「民間人」「地元の人」「実家の人」「実家に帰っている人」など様々な意味があるようです。「車清げに」は「車を綺麗にして」ということで,車(牛車?)に乗るような人ですから,「正月だから実家に帰っている宮仕えの人」?

最後に「白馬(あおうま)」ですが,1月7日に行われた「白馬節会」のようで,宮中行事です。ということは正月だから実家に帰っていたが,宮中行事を見に宮中に出かけて行ったということ?

↓この記事のアイキャッチ画像は以下の記事にあります

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中の御門の戸じきみ、曳き過ぐるほど、頭一ところに(同じ場所で)ゆるぎあひ(互いに揺れ合い)、刺櫛も落ち、用意せねば、折れなどして笑ふも、またをかし。

多分牛車が宮殿の門をくぐる(敷居をまたぐ?)時に牛車が揺れて,頭に刺していた櫛が落ちて折れてしまう様を見て笑い合うという,正月あるあるなのでしょう(テキトー)

「用意」は「心配り」みたいな意味らしいです。櫛って折れるもの? 櫛の歯が欠けるということ?

 

左衛門の陣のもとに、殿上人などあまた(たくさん)立ちて、舎人(下級役人)の弓ども取りて、馬ども驚かし笑ふを。

殿上人が集まって弓を取って馬を驚かせている様子(テキトー)。「おどろかす」は他に「目覚めさせる,気づかせる」の意味もあるそうです。『源氏物語』「夕顔」の「物に襲はるる心地して、おどろきたまへれば、火も消えにけり」の「おどろきたまへれば」は「お目覚めになると」です

ウィキソースでは「を。」で終わっていたので,どうして「を」で終わるのだろうと思ったら,次の「少し見入っていると」の目的語なんですかね?

 

はつかに(わずかに,少し)見入れたれば、立蔀(たてじとみ)などの見ゆるに、殿司・女官などの、行き違ひ(行き交う)たるこそ、をかしけれ。

立蔀は目隠しのための格子状のついたてです。「馬ども驚かし笑ふを」少し見入っていると,視線の先に立蔀が立っていたのでしょうか?

「見ゆるに」は「見ゆ」の連体形「見ゆる」に「に」が付いています。格助詞「に」は体言・連体形に付きます。この「見ゆるに」は「見えるところに」でしょうか? 立蔀が立っている所の,背後に人の行き来が透けて見えるということ?

()ゆ」:見え/見え/見ゆ/見ゆる/見ゆれ/見えよ(下二段活用)

 

「いかばかりなる人、九重(内裏)を馴らす(なれなれしくする)らむ(のだろう)」など思ひやらるるに、内裏にて見るは、いとせばき(大変狭い)ほどにて、舎人の顔のきぬ(顔の地肌)もあらはれ、まことに黒きに、白きもの(おしろい)いきつかぬところは、雪のむらむら消え残りたる心地して、いと見苦しく、馬の騰り騒ぐ(跳ねて騒ぐ)なども、いとおそろしう見ゆれば、引き入られて、よくも見えず。

「らむ」について,「ひさかたの 光のどけき春の日に しづ心なく花の散るらむ」の最後は「どうして花が散るのだろう」という意味だそうです。枕草子のこの部分では「いかばかりの人(が)」→「らむ(のだろう)」と繋がるわけですが,百人一首の方では「どうして」に当たる単語がないまま,「どうして~だろう」となるんですね(原因推量の「らむ」)

「見ゆれば」は「見ゆ」の已然形「見ゆれ」に「ば」が付いており,「見えるので」でしょうか。「見ゆ」の未然形「見え」に「ば」が付いた「見えば」は「見えるなら」みたいです。『源氏物語』「帚木」に「うとき人に見えば」というのがあるようです

未然形+接続助詞ば「……ならば」

已然形+接続助詞ば「……なので(原因理由),……したところ(偶然条件),……なときは決まって(恒常条件)」

「備えあれば憂いなし」の「あれ」は已然形なので,これが恒常条件の例?

「名にし負はば」は未然形+「ば」で,「(その)名を持っているならば」

 

八日。人のよろこび(任官・昇進の慶事して、走らする車の音、ことに(特に)聞こえて、をかし。

1月8日は任官や昇進の人事が行われる日なのでしょうか。あるいは正月の7日間の祝日が終わって仕事が始まるからでしょうか。そういえば受験生時代,古文を読むには「古文文法」「古文単語」「古文常識」の3つの知識が必要と言われた気がします

「走らする」は,「走る」の未然形「走ら」に,使役の助動詞「す」の連体形「する」が付いた形?

「走る」:走ら/走り/走る/走る/走れ/走れ(四段活用)

使役の助動詞「す」:せ/せ/す/する/すれ/せよ(下二段活用)[四段,ナ変,ラ変の未然形に付く]

使役の助動詞「さす」:させ/させ/さす/さする/さすれ/させよ(下二段活用)[上以外の動詞の未然形に付く]

サ変の動詞 「す」:せ//す/する/すれ/せよ

なお,使役には「しむ」もある(死せる孔明生ける仲達を走らしむ/走らす)

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~~おまけの単語勉強~~

打消しで訳す『で』」 「未然形+で」なので,何となく察すると思います。「大殿ごもらで」→「大殿ごもらずに,大殿ごもらないで」→「お休みになられずに」。「大殿籠る」は「(貴人が)お休みになる」(敬語)。「脱がせで」(「せ」は使役「せ/せ/す/する/すれ/せよ」の未然形)→「脱がせないで」。前回の「さらで」も「さ+あら(ありの未然形)+で」なので「そうでなくて」という意味になる

「む/ん」(推量・意志・適当・勧誘・仮定・婉曲),「らむ/らん」(現在推量・原因推量・伝聞婉曲),「けむ/けん」(過去推量・過去の原因推量・過去の伝聞婉曲)

「む」 :(終止形) む,(連体形) む,(已然形) め

「らむ」:(終止形)らむ,(連体形)らむ,(已然形)らめ

「けむ」:(終止形)けむ,(連体形)けむ,(已然形)けめ

「いざ行か」「汝をいかん」「いざかいもちい」「寝ざらもわろかりなむ」

※「む」は未然形(行か,せ,ざら)に付く(「いざかいもちいせん」は「さぁかいもちを作ろう」)

「久方の ひかりのどけき 春の日に しづ心なく 花のちるらむ」(どうして散るのだろうか)ー古今和歌集紀友則

※「らむ」は終止形(ちる)に付く

「いかが侍りけん」「いかなる故か侍りけん」「いかがけむ

※「けむ」は連用形(侍り,し)に付く

「行く」の活用:,き,く,く,け,け(カ行四段)→行かむ

「す」の活用:,す,する,すれ,せよ(サ行変格)→せん,しけむ

「ず」(打消し)の活用:ざら(・ず),ざり・ず,ず,ざる・ぬ,ざれ・ね,ざれ(特殊型)→寝ざらむもわろかりなむ

(はべ)り」の活用:ら,,り,る,れ,れ(ラ行変格)→はべりけん

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次回は気分転換に違う文章を見ます。↓次回はこちら

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