知り合いのお子さんが「発音・アクセント」が苦手ということで,ちょっとまとめてみたいと思います。思い出しながら,思いつきながらになるため,完全に網羅性のある内容でない可能性もありますので,補助・取っ掛かりとしてご利用下さい。
余裕のある方は「発音・アクセント問題集」を1冊やることをお勧めします。また,発音・アクセントを間違えた単語は,辞書を引いて単語ノートに発音記号を書き写す習慣をつけましょう。
(1)アクセントのある母音の区別
第一アクセント(第一強勢)のある箇所の母音がよく問われます(アクセントのない母音や,第二アクセントの母音が問われる可能性は低いでしょう)。だから単語ノートを作る際,第一アクセントの位置と,そこの母音の発音記号を書き写すことは最低限必要です。アクセントの位置を発音記号の方に書こうとすると,結局発音記号を全部書くことになりますので,アクセント位置は単語の方に書くと良いでしょう。
例.hotel /e/ damage /æ/
(1-1) アの区別:/æ/ と /ʌ/ と /ɑ・ɔ/
/æ/:アとエが混ざったようなやつです
fan, damage, black, cat, map, (under)stand, apple, language, salmon(鮭), tap(軽く叩く;蛇口)
/ʌ/:私は「肩を叩いてア,ア,ア」と習いました
fun, cut, luck(y), study, hungry, sun, son, color, nothing, money, Monday, mother, tongue, stomach, among, month, country, cousin, enough, rough, wonder(ful), button, tunnel, monkey, front, London
※button(ボタン),tunnel(トンネル),monkey(モンキー),front(フロント),London(ロンドン)などは日本語では「オ」音なので注意
/ɑ・ɔ/:アメリカ英語で「ア(ɑ)」,イギリス英語で「オ(ɔ)」と言われるやつです。ɑ は口を大きく開けます。ɑ: と伸ばすこともあります。イギリス英語の場合,辞書によっては ɔ ではなく ɒ と表記されます
got, top, college, collar, doctor, soccer
※color(色)と collar(えり)は発音が違う
(1-2) "a" を /æ/ と発音するか /eɪ/ と発音するか
/æ/:ancestor, atom
/eɪ/:ancient, angel, apron, April, label, strange(r), stadium, radio, radius(半径)
(1-3) アーの区別:/ɑː(r)/ と /əː(r)/
※アメリカ英語は最後に r の音が出る(ɑːr,əːr)。イギリス英語は出ない(ɑː,əː)
※辞書によっては /əː(r)/ は /ɜː(r)/ と表記される
/ɑː(r)/:「明るいアー」とか言われるやつ。口を大きく開いてアー
heart, hard, star, far, March
/əː(r)/:「暗いアー」とか言われるやつ。口を余り開かずアー
heard(hear の過去形・過去分詞形), earth, girl, birth(day), circle, circus, stir(かき混ぜる),work, world, burn, curtain, curve(曲線), nurse, Thursday
※-ar は明るい方,-ir, -or, -ur は暗い方っぽいですね
※doctor のような職業,「~する者」の -or は /ə(r)/(ただ,アクセントのない箇所まで問われないと思う)
(1-4) "ea" がイー(iː)かエ(e)か
/iː/:mean, please, heat, repeat
/e/:meant, pleasure, pleasant, bread, ready, death, weather, peasant(農民)
(1-5) エ(e)かエイ(eɪ)か
/e/ :said, breakfast
/eɪ/:paid, break
(1-6) "oo" が /uː/(伸ばす)か /ʊ/(伸ばさない)か /ʌ/(ア)か
/uː/:food,fool(ish),mood,choose(選ぶ)
/ʊ/:wool,foot,,hood,hook(フック),book,brook(小川)
/ʌ/:blood(血),flood(洪水)
※wool や hood は日本語では「ウール」「フード」になるので狙われやすい
(1-7) "ow・ou" がオウ(oʊ)かアウ(aʊ)か
/oʊ/:grow, blow(吹く),crow(からす), know, 「弓」の bow
/aʊ/:cow, brown, brow(眉), owl(フクロウ), towel, crowd(群衆), drown(溺死する), allow(許可する), 「お辞儀」の bow, count, loud, pound(ポンド)
※フクロウは「アウル」なので注意。knowledge は /nɑːlɪdʒ; nɒlɪdʒ/
(1-8) オウ(oʊ)とオー(ɔ:)の区別
日本語ではどちらも「オー」(ボートとか)と表記されることが多いので,問われやすい
/oʊ/:go, though, goal, boat, road, home, hope, told, coast, low, spoke(n), most, over, won't, bowl(お椀のボウル), shoulder, no, know, only
/ɔ:/:*gone, thought, walk, broad, abroad, saw, law(法律), ball, caught, bought, brought, fought, August
*gone は /goun/ ではなく /gɔ:n/。アメリカ英語では /gɑːn/ とも。他にも /ɔ:/ は,アメリカ英語では /ɑː/ と発音されることがある
[発展]
/æ/ には「アメリカ英語で æ,イギリス英語で ɑː」というものと,「アメリカ英語でもイギリス英語でも æ」というものがある
bath「風呂」:米語 /bæθ/,英英語 /bɑːθ/
class「学級,階級」:米語 /klæs/,英英語 /klɑːs/
laugh「笑う」:米語 /læf/,英英語 /lɑːf/
aunt「おば」:米語 /ænt/,英英語 /ɑːnt/
ant 「蟻」 :米語も英英語も /ænt/
↓この記事のアイキャッチ画像は以下の記事にあります(温泉の町バース Bath)
(2)子音の区別
母音だけでなく,子音の発音も問われることがあります。ということは単語ノートを作る際に,子音の発音記号も書いた方が良いということになります。「アクセントのある母音に加えて,子音の発音記号を書く必要があるなら,ほとんど全部じゃないか!」となってしまいますが,こうしましょう。
・第一アクセントのある母音を書くのは必須
・まず推測で発音してみてから,辞書の発音記号を見る。子音の発音で間違っている箇所があったら,全体の発音記号を書く
・その他,全体的に発音が難しそうな単語は全体の発音記号も書くとよい
例(もし useful を「ユーズフル」と間違って発音してしまった場合)useful /juːsfl/
(2-1)濁るか濁らないか:/s/ か /z/ か
/s/:名詞の advice,名詞の use,形容詞 useful,loose
※「ルーズリーフ,ルーズソックス」と言うが,loose は /luːs/
/z/:動詞の advise,動詞の use,houses(house の複数形),news,hose(ホース)
※ "se" は /s/ も /z/ もあり得るが,"ce" が /z/ になることは恐らくない
(2-2)th が濁るか濁らないか:/θ/ か /ð/ か
/θ/:think,breath(息)
/ð/:this,that,smooth,breathe(息をする)
※booth「ブース」は米語では /buːθ/,イギリス英語では /buːð/ または /buːθ/
(3)規則変化動詞の過去形 "ed" の発音
/d/:covered, studied, enjoyed, robbed, hugged, traveled, signed, skimmed, loved
/ɪd/:/d/ /t/ のあと。/dd/,/td/ と言いにくいので,納得
ended /-dɪd/,visited /-tɪd/,wanted /-tɪd/
/t/:/f/ /k/ /p/ /s/ /ʃ/ /tʃ/ などのあと
liked /-kt/,laughed /-ft/,helped /-pt/,passed /-st/,washed /-ʃt/,watched /-tʃt/
※まず簡単な,/d/ /t/ のあとの /ɪd/ を覚え,次に /f, k, p, s, ʃ, tʃ/ などのあとの /t/ を覚えよう。
(4)和製英語は狙われやすい
danger(ous):「デンジャー(デンジャラス)」ではなく/deɪndʒər(əs)/
strange:「ストレンジ」ではなく /streɪndʒ/
apron:「エプロン」ではなく /eɪprən/
※April「エイプリル」と同じように「エイプラン」
oven:「オーヴン」ではなく /ʌvn/
only:「オンリー」ではなく /oʊnli, əʊnli/)
olive:「オリーヴ」ではなく /ɑːlɪv, ɒlɪv/
glove:「グローヴ」ではなく /ɡlʌv/
guitar:「ギター」ではなく /ɡɪtɑːr/
damage:「ダメージ」ではなく /dæmɪdʒ/
image:「イメージ」ではなく /ɪmɪdʒ/
interval:「インターバル」ではなく/ɪntə(r)vl/
volume:「ボリューム」ではなく /vɑːljəm, vɒljuːm/
series:「シリーズ」ではなく /sɪ(ə)riːz/
heroine:「ヒロイン」ではなく /heroʊɪn/
gorilla:「ゴリラ」ではなく /ɡərɪlə/
mistake:「ミステイク」ではなく /mɪsteɪk/
pattern:「パターン」ではなく /pæt(ər)n/
musician:「ミュージシャン」ではなく /mju(:)zɪʃn/
stadium:「スタジアム」ではなく /steɪdiəm/
※radio や radius「半径」なども「ラ-」でなく /reɪ-/
studio:「スタジオ」ではなく /st(j)uːdioʊ/
passport:「パスポート」ではなく /pæspɔːrt, pɑːspɔːt/
official:「オフィシャル」ではなく /əfɪʃl/
volunteer:「ボランティア」ではなく /vɑːləntɪər/
engineer:「エンジニア」ではなく /endʒɪnɪər/
technique:「テクニック」ではなく /tekniːk/
※unique みたいな感じなので,unique とセットに覚えよう
announcer:「アナウンサー」ではなく /ənaʊnsər/
※announce:「アナウンス」と同じと考えればよい
vitamin:「ビタミン」ではなく /vaɪtəmɪn, vɪtəmɪn/
energy:「エネルギー」ではなく /enərdʒi/
※「エナジー」の方も割と日本語に定着していると思う
calendar:「カレンダー」ではなく /kælɪndər/
※綴りも注意(calender ではない)
alcohol:フラットに「アルコール」ではなく /ælkəhɔːl/
※album,alphabet,algebra「代数学」も al に第一強勢
antenna:フラットに「アンテナ」ではなく /æntenə/
percent:フラットに「パーセント」ではなく /pə(r)sent/
comment:日本語の「ノー・コメント」のようにアクセントは前 /kɑːment/ でよい
※present のように名詞だったら前にアクセント,動詞だったら後ろにアクセント(名前動後)というものがあるが,comment は常に前
report:日本語の「レポート」のようにアクセントは後 /rɪpɔː(r)t/ でよい
※record は名詞だったら前にアクセント,動詞だったら後ろにアクセント(名前動後)だが,report は常に後
liquid:「リキッド」ではなく /lɪkwɪd/(w の音が入る)
(5)アクセント位置で覚えておくとよいもの
■-tion, -sion(子どもの頃「三味線語尾」と習いました)は,-tion や -sion の直前に強勢
conception(着想,考え),decision(決定,決意)
■-cial, -tial は直前に強勢
official(公式の),initial,essential(必須の,本質的な)
■-cian は直前に強勢
musician,mathematician(数学者),technician
■-meter は直前に強勢
barometer(気圧計,尺度),thermometer(温度計),diameter(直径)
※kilometer は kilometer も kilometer も載っている
■語尾の -eer, -ee はそこに強勢
engineer,pioneer,volunteer
employee(被雇用者),refugee(避難民)
■語尾の -oo はそこに強勢
taboo,shampoo,bamboo(竹),kangaroo
※おまけ:canoe(カヌー)も canoe
(6)難しいやつ
■singer,longer,finger などの "nger" の発音
singer(動詞+する者の -er)/sɪŋə(r)/
hanger(動詞+する者の -er)/hæŋə(r)/
longer(形容詞の比較級)/lɔːŋgə(r)/
finger(指:分割できない)/fɪŋgə(r)/
hunger(空腹:分割できない)/hʌŋgə(r)/
分割できない finger や hunger,および形容詞の比較級の longer などの "nger" は /ŋgə(r)/ と /g/ の音が出て, 動詞+「する者」で成り立つ singer,hanger などは /g/ の音がない /ŋə(r)/ です。kingdom も /kɪŋdəm/ であり,"ng"+「接尾辞」から成るものは一般に /g/ の音がないのですが,比較級の場合は比較級であることをはっきりと示す必要があるためか,/g/ の音が出ます。
■/dʒ/ と /ʒ/ の区別
/dʒ/ は/tʃ/ の有声音化(濁音化)
/ʒ/ は /ʃ/ の有声音化(濁音化)
なのですが,
・語頭では外来語を除き一般に /dʒ/ です。
January /dʒænjueri/, June /dʒuːn/, July /dʒulaɪ/
judge /dʒʌdʒ/, gentle /dʒentl/, George /dʒɔː(r)dʒ/
genre「ジャンル」(外来語)/ʒɑːnrə/
・語尾では2種類あります
pigeon/pɪdʒən/ …… /dʒ/型
religion /rɪlɪdʒən/ …… /dʒ/型
occasion /əkeɪʒn/ …… /ʒ/型
conclusion /kənkluːʒn/ …… /ʒ/型
"geon" や "gion" のように "g" の場合は /dʒ/,"sion" のように "s" の場合は /ʒ/,ということですかね?
(7)母音のないところにアクセントはありません
私たち日本人は Smith を「スミス」のように発音する傾向がありますが,S のところに母音がないため,そこに強勢はありません。この単語は i しか母音がないため,mi に強勢があります(/smɪθ/)
stew「シチュー」も s に母音がないため,tew の方にアクセントがあります(/st(j)uː/)
(8)最後に
発音・アクセント問題は誰もが苦手です。しかしその中でも5問中1~2題正解で終わってしまうのと3~4題正解できるのとでは数点の差が付きます。最低でも5問中3題を,あわよくば4題以上正解を目指して,対策を取りましょう。「発音・アクセント問題集」は一通りやりましょう。受験前の最後の冬休みに一気にやるのも良いですが,普段から少しずつやっておくことも重要でしょう。発音を間違えた単語の発音記号を辞書で調べてノートに書くなどという作業は,直前期にはなかなかできないものです。