日本国憲法の英語版を読んで英単語や英語表現を勉強するコーナーです。前回はこちら。
Article 20. Freedom of religion is guaranteed to all. No religious organization shall receive any privileges from the State, nor exercise any political authority.
・exercise は「練習」のほか「行使する(exert)」の意味があります。
No person shall be compelled to take part in any religious act, celebration, rite or practice.
何人も、宗教上の行為、祝典、儀式又は行事に参加することを強制されない。
The State and its organs shall refrain from religious education or any other religious activity.
国及びその機関は、宗教教育その他いかなる宗教的活動もしてはならない。
・refrain from... は「……を控える」です。refrain from ...ing という言い方もあります。なお松任谷由実の曲に「リフレインが叫んでる」がありますが,その refrain は「畳句 (繰り返される決まり文句)」という意味です。「控える」と「繰り返す」,まるで反対ですね……
Article 21. Freedom of assembly and association as well as speech, press and all other forms of expression are guaranteed.
第二十一条 集会、結社及び言論、出版その他一切の表現の自由は、これを保障する。
No censorship shall be maintained, nor shall the secrecy of any means of communication be violated.
・censorship「検閲」←censor「検閲する,検閲係」。なお「感知するためのセンサー」は sensor です(sense「感づく」)また,全く重要な語ではありませんが,censer は「(吊り)香炉」であり,censor,sensor,censer は3単語が同音となるパターンです。
なお本項にあるように「通信の秘密は侵してはならない」わけですが,特定の組織犯罪に限り通信傍受を認めたのが「通信傍受法(犯罪捜査のための通信傍受に関する法律)」(1999.8.12成立,2000.8.15施行,小渕内閣)です。
Article 22. Every person shall have freedom to choose and change his residence and to choose his occupation to the extent that it does not interfere with the public welfare.
第二十二条 何人も、公共の福祉に反しない限り、居住、移転及び職業選択の自由を有する。
・to the extent that...「……である程度まで(は)」。... には完全に成立した文が書けるので便利です。また,完全に成立した文が書けるということは,この that は関係副詞ということになります(関係代名詞の後には完全に成立した文は書けない)
Freedom of all persons to move to a foreign country and to divest themselves of their nationality shall be inviolate.
何人も、外国に移住し、又は国籍を離脱する自由を侵されない。
・divest は「脱がす,剝奪する」→divest oneself of...「……を(脱ぎ)捨てる,売却する」。この vest は何と服のベストと同じで,これに打消しの di (=dis) がついて「脱がせる」です。逆に invest は「服に入れる」→「着せる」→「投資する」となりました。
Article 23. Academic freedom is guaranteed.
第二十三条 学問の自由は、これを保障する。
Article 24. Marriage shall be based only on the mutual consent of both sexes and it shall be maintained through mutual cooperation with the equal rights of husband and wife as a basis.
第二十四条 婚姻は、両性の合意のみに基いて成立し、夫婦が同等の権利を有することを基本として、相互の協力により、維持されなければならない。
・mutual「相互の」。例えば mutual understanding「相互理解」←→mutual misunderstanding「相互誤解」,mutual trust「相互信頼」←→mutual distrust「相互不信」
With regard to choice of spouse, property rights, inheritance, choice of domicile, divorce and other matters pertaining to marriage and the family, laws shall be enacted from the standpoint of individual dignity and the essential equality of the sexes.
配偶者の選択、財産権、相続、住居の選定、離婚並びに婚姻及び家族に関するその他の事項に関しては、法律は、個人の尊厳と両性の本質的平等に立脚して、制定されなければならない。
・spouse「配偶者」,domicile「居住地,住居」
・pertain to...「……に関係する」→pertaining to...=which pertain to...「……に関係する(ところの)」
・from the standpoint of...=from the viewpoint of...=from the point of view of...「……の観点から,……の観点に立脚して[立脚すれば]」
↓この記事のアイキャッチ画像は以下の記事にあります