フレイニャのブログ

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Pwllは「プス」─ウェールズ語の“dd”と“ll”

女性で初めて大西洋を単独飛行したアメリア・イアハートのことを調べていた時,彼女が着陸したイギリスのバリー・ポートの近くに Pwll(プス)という地名を見つけて驚いたことがあります。英語ならばありえない発音ですが,これ,ウェールズ語なんですね。ということでウェールズ語の“dd”と“ll”について見てみましょう。

 

(1)“dd” は [ð]

this や that の th の発音ですね。エルデンリングの「ブライヴ」は英語版では Blaidd であり,ウェールズ語で「狼」の意味です。「ブライð」といった発音になります。英語では“th”と綴るところ,ウェールズ語では“dd”を使うのですね。ウェールズグウィネズ(Gwynedd)王国などがあります。

 

(2)“ll” は  [ɬ](無声歯茎側面摩擦音)

乱暴に言えば「lとsの中間音」ですね。「lの舌の形をしてsと言う」といった感じでしょう。まず l ですが,これは舌先を口の中の天井の歯茎側に付けます。「舌の裏を相手に見せよ」と言われたこともあります。こうすると口の真ん中が塞がりますが,舌の左右に隙間ができていますね。この左右の隙間から空気を出して s のような発音をします。

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上の動画を聞いてみたところ,ほとんど s と判別できないような音でしたね。だから s と言う時に,ちょっと舌を立てて口の中の天井に触れさせるくらいで良いのでしょう。

なお「英語読み」では l の発音ですので,ウェールズ大公サウェリン・アプ・グリフィズ(Llywelyn ap Gruffydd)は「ルウェリン」と表記されることもあります。

↓この記事のアイキャッチ画像は以下の記事にあります。

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他にウェールズ語には “ff” がありますが,これは [f] です。逆に “f” は [v] になります。

乱暴に「中間音」といったものって,他の言語にも,そして母音にも子音にもありますよね。最も有名なものは apple などの「アとエの中間音」でしょう。ドイツ語には “oe” や “ue” が。またチェコ語には「rとsの中間音」のようなものがあります。ドボルザークの「ルザ」は本当は一つの子音なんですね。だから「ドボジャーク」のように表記されることもあります。中国語もこういった複雑な音が多いですよね(日本ジーベンの「ジ」とか「茶」とか)

↓「茶」の発音例

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