フレイニャのブログ

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映画で英語のお勉強(2)アメリカン・ギャングスター(2)

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↑これの続きになります。

 

I came this far.「こんな遠くまでやって来たんだぞ」

この this は副詞で,this far で「こんなに遠く」です。どんなに遠くかと言うと主人公フランク・ルーカスはバンコクにいます。中間業者を排し,直接麻薬を生産者から買おうとしているのです。ルーカスはベトナム戦争を利用し,軍用機を使って(当然,賄賂を使って)麻薬を密輸しようとしているのです。

America's public enemy number one in the United States is drug abuse.「合衆国におけるアメリカの1番の公の敵は薬物乱用です」

映画の中でのニクソン大統領の演説です。abuse は「abnormal な use」と覚えましょう。名詞の場合 s は濁らず「アビュース」となり,drug abuse「薬物乱用」,child abuse「児童虐待」が重要例です。

How did you... --- I had it made. From memory.(母親)「どうやってこれを……」(フランク)「作らせたんだ。記憶から」

高純度(ウィキペディアによると98%)の麻薬の廉価販売で巨万の富を得たルーカスが母のために豪邸を買います。母の部屋にはルーカスが幼い頃借金取りに持っていかれた化粧台が。これを見た母とルーカスの会話です。had it made「それを作らせた」は had my hair cut「髪を切ってもらった」と同じ構文。一方,had made it は「それを作った」の過去完了。並び替え英作文では,had made it なのか had it made なのかを考えて並び替えねばならない出題があります。

I own my company, and my company sells a product that's better than the competition.「俺は会社を所有してる。その会社は競争相手より良い製品を売ってる」

competition は「競争」ですが,the competition で「競争相手」の意味にもなります。

Be right back.「すぐ戻る」

I'll be right back. からの I'll の省略です。ネットのチャットでは BRB と略されます。

The loudest one in the room is the weakest one in the room. I told you that.「部屋で一番派手な格好をしている奴が一番弱い奴なんだ。そう言っただろう」

羽振りが良くなったルーカスの弟ヒューイが派手な服装をし始めたので戒めています。「俺を逮捕してくれと言っているようなものだぞ」と。

Keep your chin up.「元気を出すんだ」

「あご先を上げろ」ということですね。ただし chin down は「あごを引いてしっかり前を見る」ということで決然とした態度を表します。

Never, ever come into this city again unannounced.「二度と俺に無断でこの街に来るんじゃない」

ニュージャージーのリッチー刑事が権限のないニューヨークに来てしまいました。ニューヨークを取り仕切っている悪徳刑事トルーポ(演ジョシュ・ブローリン)がリッチー刑事に「俺のシマを荒らすな」と警告しています。never ever は never の強調です。

I'm not into boxing.「ボクシングにはハマってないんだ」

into「……の中に」が「……にのめり込んで」の意を生みます。

Ten grand. First of each month. Deliver it right here.「1万ドル,毎月1日に,ここに持って来い」

ルーカスが麻薬流通で富を得ていることを知りながら,トルーポ刑事はルーカスを逮捕せず,逮捕されたくなかったら金を持って来いと揺すります。grand は 1000ドル。1970年だとすると1万ドルは360万円です。

We got small blue packets turning up in neighborhoods all over the Tri-State area.「ブルーマジックの青い包は三州の至る所で見つかってる」

「ブルーマジック」はルーカスが売っている麻薬入りパッケージです。Tri-State は「隣接三州にまたがる」。映画では南からニュージャージー州ニューヨーク州コネチカット州です。

You know better than that.「そんなことはしないでしょう」

know better than... は「……をするほど馬鹿ではない」です。具体的動詞を続ける場合は know better than to-V です。

When you chop my dope down to one, two, three, four, five percent and then you call it Blue Magic, that is trademark infringement.「お前が俺のブツを純度1,2,3,4,5%まで落としてそれでそれをブルーマジックと名づけるなら,それはブランドの侵害だ」

ルーカスがマフィアの親玉のドン・カッターノ(演アーマンド・アサンテ)に説得されてブルーマジックを他のマフィアにも卸しました。するとニッキー・バーンズ(演キューバ・グッディングJr)が勝手にそれを薄めて売るという最悪のことをし始めます。それでルーカスはニッキーの店に乗り込みます。

Catch me? Infringement? Insist? I don't like these words as much as, "Please, thank you, I'm sorry to bother you, Nicky."「侵害? 要求? そんな言葉よりも『お願いだ,有難う,邪魔して悪い,ニッキー』という言葉を聞きたいね」

ルーカスに突然押しかけられて不平を伝えられたニッキーが逆ギレして言う言葉です。直訳は「『お願いだ,有難う,邪魔して悪い,ニッキー』ほどには,そんな言葉は好きではない」という《原級比較の否定》です。私はこれを聞いていた時に,not so much A as B「A というよりはむしろ B」の成り立ちを理解したのでした。

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Hear me?「聞いてるか?」

解釈1:hear は「自然と耳に入ってくる,聞こえる」。listen (to...) は「耳を傾ける」。だから Hear me? は厳密には「おい聞こえてるか?」の意味である。

解釈2:実は hear にも「耳を傾ける,傾聴する」の意味がある。よって Hear me? は「聞く気はあるのか?」の意味である。

2が正しいのでしょうかね。

Shakedown!「ゆすりか!?」

shakedown も「ユスリ」も「揺らす」の意味を含むことは偶然ではなさそうですね。

That's Christmas spirit.「それでこそクリスマスよ」

前回の記事でも紹介した That's the spirit.「その意気だ,その調子だ」をアレンジしたものでしょうか。「それでこそクリスマスの精神だ」ということですね。

Frank Lucas don't run from nobody, baby.「フランク・ルーカスは誰からも逃げないんだよ」

上のセリフは否定語を重ねてしまっており,普通の文法では Frank Lucas doesn't run from anybody, baby. ですから,これはいわゆる黒人英語というやつですかね。

We need to keep this cash cow alive.「この金のなる木を殺させてはならん」

富を独占するフランク・ルーカスが他のギャングに命を狙われるようになりました。トルーポはルーカスから賄賂をせしめているので,ルーカスを守ろうと言い出しているのです。cash cow は「金のなる木,ドル箱商品」です。cow は「雌牛」ですから牛乳を出し続けてくれるのに喩えているのでしょう。

I got your gun and I got your prints. You know what you got? You got attempted murder. Fifteen fucking years!(リッチー刑事)「お前の銃と指紋は押収した。お前はどうなる? 殺人未遂だ」(別の刑事)「懲役15年だぞ!」

attempted murder「試みられた殺人」は「殺人未遂」です。

He cuts out the middlemen and uses US military planes and personnel to transport pure number 4 heroin into the United States and he's been doing so on a regular basis since 1969.「彼は中間業者を排し,合衆国の軍用機と軍関係者を利用して純粋な4番ヘロインを合衆国に持ち込んでいます。彼は1969年から定期的にそれをやっています」

personnel「人員」,on a regular basis「定期的に」,重要表現です。

Hey, Richie! Make it stick.「リッチー,証拠を見つけるんだ」

make O stick で「立証する」です。stick には「しっかりとくっつく」の意があります。

You know, if you'd been a preacher, your brothers would have been preachers.(中略)But even they know -- you don't shoot cops.「お前が牧師だったら,お前の兄弟達は牧師になっていたろうねえ。(中略)でもあの子達だって知ってる。警官を殺しちゃいけないってことは」

主人公フランクの母のセリフです。第一文は典型的な仮定法過去完了です(If S had 過去分詞, S would have 過去分詞)

No, you didn't. You're talking about police. You want police? You want your own kind? -- They're not my kind.(フランク)「嘘だろう。警察の話をしているのか。警察が目当てか? 仲間を捕まえるのか?」(リッチー)「あいつらは仲間ではない」

「ある事をした・している」と言う相手に対し「いやお前はそうしなかった(No, you didn't)」と無理やり否定する事で「いや嘘でしょう?」という意味です。

逮捕されたフランクはリッチーに協力して,警察とギャングの癒着を暴いていきます。ただリッチー刑事に逮捕されただけでなく,自分にたかった警察に,自分を逮捕した警察に協力して復讐するところが面白いわけですね。

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何回かに分ける予定でしたが,一気に最後まで見てしまいました。この映画の醍醐味はギャング達のかっこよさです。特にアーマンド・アサンテのファンになり,「トゥー・フォー・ザ・マネー」や「逆転法廷」などを見ていくことになりました。

次回は「トゥー・フォー・ザ・マネー」でもやりましょうかね(^^)

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