フロム・ソフトウェアの神ゲー「エルデンリング」をやっていて気付いた英語表現を取り上げて英語のお勉強の足しにするというコーナーです。(6)はこちら。
「動画そのn」とは私のゲーム実況動画のことです。実際にそこを観ていただくとセリフの音声も聞くことができます。
セリフ編
動画その54の1分26秒あたり
It's about time I headed off. I'll see you again, warrior, should the fates deign it.
「…さて,私はそろそろ行く 縁があればまた会おう,戦士よ」
円卓にいるネフェリ・ルーのセリフです。
It is time+過去時制の文は「もう~してもよい頃だ」という意味です。
It is about time+過去時制の文は「もうそろそろ~してもよい頃だ」,
It is high time+過去時制の文は「もうとっくに~してもよい頃だ」という意味になります。
head off はここでは「出発する」という意味で,It is about time we headed off.「そろそろ出発する時間だ」は典型例文です。
should the fates deign it は if the fates should deign it の言い換えです。仮定法の if を省略すると倒置になるので,
If I were a bird,...「もし私が鳥だったら」
=Were I a bird,...
If the fates should deign it,...
=Should the fates deign it,...
となります。仮定法の if 節中の should は「万が一」を表します。deign /deɪn/ は「恥を忍んで……する」「もったいなくも……して下さる」です。「万が一,運命の神が,もったいなくも再会の機会を与えて下さるのならば,また会おう,戦士よ」と言っているわけです。
↓動画その54
動画その54の1分43秒あたり
You've received the wisdom of the Two Fingers, have you not? Then I bid you welcome.
「君,二本指の言葉を聞いたのだね? ならば,君を歓迎しよう」
百智卿ギデオンのセリフです。
第1文は発話のリズムと have you not? の辺りがカッコ良かったので選びました。この声優(Joe McGann)も声が渋いですね。have you not? は付加疑問文で haven't you? で良いんでしょうが have you not? とも言うのでしょう。例えば I am... に対する付加疑問は
I am..., aren't I?
I am..., ain't I?
I am..., am I not?
があります。
第2文の bid は「賭ける」の意が有名ですが,「(挨拶を)言う」の意もあります。bid welcome は「歓迎のあいさつを述べる」,bid farewell は「別れの挨拶を述べる」です。
動画その54の1分59秒あたり
I am accumulating knowledge to be all-knowing.
「すべてを,識ろうとしている」
ギデオンのセリフです。
accumulate は「蓄積する」です。all-knowing は「全智の」という意味でしょう。「百智卿」は英語版では The All-Knowing のようです。
動画その56の0分42秒あたり
Now, seek the Erdtree and an audience with Queen Marika.
「褪せ人よ,黄金樹を目指したまえ。そして女王マリカに見えるがよい」
大ルーンを2つ入手した後の指読みエンヤのセリフ(二本指の言葉の伝言)です。
seek an audeience with Queen Marika と繋がっていますが,この audience は「聴衆・観衆」ではなく「謁見」です。「女王マリカとの謁見を求めよ」と言っているわけです。
↓動画その56
動画その56の0分55秒あたり
The Fingers expect as much from you as they do young Gideon.
「指様はあんたに期待している そうさね,ギデオン坊やと遜色ないほどにね」
指読みエンヤ(自身)のセリフです。
The Fingers expect from you.「指様はあんたに期待している」に,原級比較 as much as が噛み,「指様はギデオン坊やに期待しているのと同じくらいあんたにも期待している」という文です。しかし「あんたに期待している」は expect from you,「ギデオン坊やに期待している」は do young Gideon = expect young Gideon と,片方には from があり,片方には from が無いという非対称になっています。
The Fingers expect as much from you as (they do) from young Gideon.(甲)
にすれば両方に from が付き,
The Fingers expect you as much as (they do) young Gideon.(乙)
にすれば両方に from が無い形で綺麗ですが,話す成り行きの中でそうなったのでしょう。なお(乙)文は they do を明示した方がよさそうです。they do を省略してしまうと,「ギデオン坊やがあんたに期待しているのと同じくらい,指様もあんたに期待している」と読めてしまうからです。
動画その62の11分3秒あたり
I am, after all, terribly large compared to you Tarnished.
「なにしろ褪せ人の方に比べ,私の体はひどく大きいですからな」
カーリアの城館前にいる巨人の鍛冶屋イジーのセリフです。
after all「だって[なにしろ]~なのですから」という表現はボックのセリフでも登場していますから,よく使われることが分かりますね。compared to... は「……と比べて」。you Tarnished は「貴方たち褪せ人」です。「我が国日本」とかと同じ,同格表現です。
↓動画その62
動画その62の12分4秒あたり
That is why I say, Tarnished, don't go near the manor, unless you wish to die...
「ですから,褪せ人の方,城館に近づくのはお止めなされ」
That is why... は That is the reason why... とも言え,「それが……である理由だ」ということですが,訳し下げて「そういうわけで……」と訳せます。That is why I say は「そういうわけで私は言う,だから私は言う」ですね。
unless you wish to die「死にたいのなら別ですが」には続きがあり,併せて「愚かなカッコウたちと 屍を並べたくはないでしょう」と訳されています。
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今回も7つ紹介できました。また貯まったら(8)として上げたいと思います。
↓(8) です