フロム・ソフトウェアの神ゲー「エルデンリング」をやっていて気付いた英語表現を取り上げて英語のお勉強の足しにするというコーナーです。(1)はこちら。
「動画そのn」とは私のゲーム実況動画のことです。実際にそこを観ていただくとセリフの音声も聞くことができます。
セリフ編
動画その8の8分12秒あたり
If you could afford to wait for a while, I could sneak back into the cave and bring back something...
「少し待ってもらえるなら,また洞窟に忍び込んで何か取って来るけど……」
ボックのセリフです。
can afford to-V は「V する(経済的・時間的・精神的)余裕がある」です。
また仮定法を使っており,If you could V1, (then) I could V2「もし貴方にV1できるなら,私もV2できるのだが……」という意味です。
↓動画その8
動画その12の4分55秒あたり
I've been testing you, to see whether or not Grace truly does guide you.
「あなたを試していました。祝福が本当にあなたを導いているか確かめる為に」
メリナのセリフです。
see whether... は「……かどうか確かめる」という意味で,×look whether... とは言いません。この場合は look and see whether... とします(『ジーニアス英和辞典』)
whether 以外では look は OK のようで,例えば Look who's talking! は「どの口が言う?」という意味です。
なおこの whether は whether Grace truly does guide you or not と言っても構わないのですが,or not が遠くに追いやられてしまうので先に whether or not GraceGrace truly does guide you と言っています。
↓動画その12
動画その12の8分55秒あたり
She's such a little tomboy.
ディアロスが従士のラニアのことを言ったセリフです。
tomboy とは「おてんば」という意味です。私はウルティマオンラインで女性キャラのニックネームに Tomboy と付けていました。
動画その12の13分49秒あたり
Circumstances have compelled my stay at Round Table Hold.
「事情により円卓砦に滞在することになりました」
フィアのセリフです。
circumstances have compelled とは「事情が強制した」という意味で,日本語では「事情により……せざるを得なくなった」のようにするのが自然です。英語は日本語より無生物を主語にすることが多いのです(無生物主語構文,物主構文)
compel の過去形で l を重ねるのは基本原則です。〈短母音+子音字〉で終わり,かつそこに第一強勢がある単語は,規則変化の場合,過去形・過去分詞でその子音を重ねます。例を見ましょう。
occur・・・〈短母音u+子音字r〉で終わり,かつ cur に第一強勢があるため,r を重ねて occurred となります。
develop・・・〈短母音o+子音字p〉で終わりますが,lop ではなく vel に第一強勢があるため,p は重ねず developed です。
limit・・・〈短母音i+子音字t〉で終わりますが,mit ではなく lim に第一強勢があるため,t は重ねず limited です。
omit・・・〈短母音i+子音字t〉で終わり,かつ mit に第一強勢があるため,t を重ねて omitted です。
なお紙面を節約する必要のある紙辞書などでは,「過去形・過去分詞の場合 t を重ねる」というのを (-tt-) と略記します(『ジーニアス英和辞典』で確認)
動画その12の13分56秒あたり
Would you allow me to hold you, but briefly?
「ほんの一時,私に抱かれてくれませんか?」
フィアのセリフです。フィアにハグされることで「帳の恩寵」というバフを貰えます。
allow 人 to-V で「人が V するのを許可する」という意味です。○permit 人 to-V とも言えますが,×admit 人 to-V とは言えません。admit は「入ること[入場,入学など]を許可する」の意味だからです。
but にはそれ単体で「ほんの(only)」の意味があります。but briefly=only briefly です。
動画その12の14分58秒あたり
Come back to me, should you require another.
「また必要になったらいらしてください」
フィアのセリフです。「帳の恩寵」が切れたら,またハグしてもらうことで「帳の恩寵」が貰えるので,こう言っています。
仮定法の If 節から If を省略すると倒置になります。例えば
If I were a bird,「もし私が鳥だったら」
=Were I a bird,
If you should fail,「万一あなたが失敗したら」
=Should you fail,
です。このセリフの should you require another は if you should require another「万が一もう一つ欲しくなったら」です。
動画その16の2分35秒あたり
Why should that matter?
「それがなんだというのじゃ」「一体どうしてそれが重要かい?」「そんなことどうでもいいんじゃ」
嵐の丘にいる,指を読んでくれる婆さんのセリフです。
一つ前のセリフの紹介で if you should V「万一あなたが V したら」というものがありました。if 節中に should を使うと「万一」の意味になります。今回の should は疑問詞 what, who, why などを強めて「いったい」の意味になるものです。またここの matter は「重要である」という意味の自動詞です。should には「はず」の意味があるので,Why should that matter? は「何故それが重要であるはずがあろうか?」と理解することができ,「いったいぜんたい」のようなニュアンスを生むわけです。それでゲームでは「それがなんだというのじゃ」と訳されています。
さてそこから,if 節中の should が「万一」になることも考えてみましょう。疑問詞を使った疑問文(特別疑問文という)では should は「はずがあろうか?」→「はずがない」というニュアンスを持ちました。そこから,if 節中で should が使われた場合,「起こるはずのないことがもし起こったら」というニュアンスで「万一」となるのでしょう。
↓動画その16
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今回も7つ紹介できました。また溜まったら「その3」として上げたいと思います。
↓その3です