フレイニャのブログ

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東大の文法問題から表現を覚えましょう(10)

四阿

(9)に引き続き,(10)です。近年の傾向の2002年を見ます。

 

Although thought and action tend to be considered two separate things, some researchers have suggested that it is not necessarily the case. Consider a jigsaw puzzle. (1)One unlikely way to approach such a puzzle would be to look very hard at a piece and (2)to try to decide by thinking let alone whether it will fit in a certain location. (3)Our actual practice, however, employs a mixed method in itself which we make a rough guess and then physically try out the piece to see if it will fit. (4)We do not, in general, picture the detailed shape of a piece well enough to know for certain (5)even if it is going to fit in advance of such an action. (6)Moreover, we may physically rotate as possible pieces even before we try to fit them, (7)so as to simplify the mental task of guessing whether the piece will fit. (8)Completing a jigsaw puzzle thus involves a complicated and repeated dance in which "pure thought'' leads to actions (9)which in turn change or simplify the problems facing to "pure thought''. (10)This is probably the simplest kind of example to show that thought and action do not always function separately.

 

上の下線部を引いた10個の文のうち5個は,文法上1語取り除かねばならないものがある。何番の文のどの語を取り除く必要があるか示せ。

 

※今回は「文脈上」がないので,文法上成立しているかで決めて良いということですね。

 

解説

まず,(1)の直前に Consider a jigsaw puzzle. とあるので,人がジグソーパズルを解くときの行動の話をしています。〈テーマの把握〉

 

(2) let alone... は「……は言うまでもなく」という意味の熟語ですが,ここにあるのはなんとも変ですね。

to try to decide by thinking let alone whether it will fit in a certain location

おそらくthinking whether...「……かどうか考える」と繋がっていると考えられますから,letを削除すれば,

to try to decide by thinking alone whether it will fit in a certain location

thinking alone whether...「……かどうかだけを考える」となり成立します。よって「(2)のlet」が1つ目の答えです。焦って「(2)のalone」としないよう注意です。取り除く方を答えるので,「(2)のlet」です。文の和訳は,「それ(=あるピース)がある位置にハマるかどうかだけを考えることによって決めようとする」です。よく読むとこの部分は(1)のOne unlikely way「1つの有り得ない方法」から繋がっており,そんな風にジグソーパズルは解かないと言っています。(1)から繋げて訳すと,「そのようなパズルに取り組む1つの有り得ない方法は1つのピースを一生懸命眺めて,それがある位置にハマるかどうかだけを考えることによって決めようとする方法だ」です。人間のジグソーパズルの解き方はそんなんじゃないと言っているのです。

 

(3) in itselfは「それ自体は」という意味の熟語ですが,(2) のlet alone同様,不自然に置かれたようです。但しそこまでは勘づいても,「消すのがinの方かitselfの方か」を間違っては得点できません。両方試してみるとしましょう。

(3-あ) inを消すとitselfが残りますね。

Our actual practice, however, employs a mixed method itself which we make a rough guess and then physically try out the piece to see if it will fit.

このitselfは一応,a mixed method itself「混ざった方法それ自体」と訳せます。この場合whichはa mixed method itselfを後ろから修飾しています。つまり「which以下であるような,混ざった方法それ自体」です。

ところが……

関係代名詞(ここではwhich)を使う時,後ろが文として成立してはいけません。関係代名詞を使う時は,後ろが「主語が欠けた文」「目的語が欠けた文」でなければなりません。なぜなら関係代名詞自体が主語か目的語になるからです。

例を示しましょう。

the book which I bought yesterday「私が昨日買ったその本」・・・bought「買った」の目的語がありません。whichがboughtの目的語だからです(関係代名詞は前に行かなければならないので前にある)

the book which was written by Soseki漱石に書かれたその本」・・・was writtenの主語がありません。whichがwas writtenの主語だからです。つまり,×which it was writtenではなく◯which was written,×which I bought it yesterdayではなく◯which I bought yesterdayでいいのです。whichはitに成り代わっているわけですね。 

which is..., which was... と,関係代名詞の直後に動詞が続く場合は分かりやすいですね。しかし関係代名詞の後に主語が立つ場合は,目的語が欠けているかどう確認しましょう。

さて,

Our actual practice, however, employs a mixed method itself which we make a rough guess and then physically try out the piece to see if it will fit

のwhich以下を見ましょう。we make a rough guess and then physically try out the piece to see if it will fit「我々が粗い推測をし,次いで物理的にそのピースがハマるか確かめるために,そのピースを試す」は,文として成立してしまっています。つまり関係代名詞whichを使うことと矛盾するのです。

 

(3-い) それでは,itselfの方を消すとどうなるでしょうか。

Our actual practice, however, employs a mixed method in which we make a rough guess and then physically try out the piece to see if it will fit

この場合,whichではなくin whichとなります。こういうのを「前置詞プラス関係代名詞」と言います。「前置詞プラス関係代名詞」の後には完全な文が書けます

例を示しましょう。

the house in which he lives「彼が住んでいる家(the house where he lives)」

the house in which he was born「彼が生まれた家(the house where he was born)」

上の2例のhe livesとhe was bornは完全な文です。「前置詞プラス関係代名詞」の後には完全な文が書けるのです。ただし常にinとは限らないので注意です。

the extent to which he was respected「彼が尊敬されていた程度」

この例では,to a ... extent「……な程度まで」という連語関係(コロケーション)があるため,to whichです。このようにby which,at which,through whichなど様々です。

以上より「(3)のitself」が答えです。くどいですが,「(3)のin」と答えないように。

Our actual practice, however, employs a mixed method in which we make a rough guess and then physically try out the piece to see if it will fit.「しかし我々が現実に行う時は,粗い推測をし,次いで物理的にそのピースがハマるか確かめるためにそのピースを試すという混ざった方法を使う」

employは「使用する」という意味です。

 

(4) for certain「確かに」が(2)のlet alone,(3)のin itselfと同様,怪しいのですが,for certainが余計かどうかは,次の(5)を見ないと分かりません。もしfor certainが正しい場合,know for certain「確実に知る」ですから「何を知るのか」の「何を」を(5)の部分に探すことになります。

 

(5) even if... は「たとえ……だとしても」です。このeven ifがeven ifだった時こそおかしくなります。なぜなら(4)で考えたように,know for certain「確実に知る」の「何を」がないままにif節に入ってしまうからです。

そこでeven ifのevenを削除すると,「……かどうか」のif... となり,これがknowの目的語になれます。

We do not, in general, picture the detailed shape of a piece well enough to know for certain if it is going to fit in advance of such an action.「我々は一般に,あるピースがハマるかどうかを確実に知るために,そのような行動に先立って,あるピースの詳細な形を十分にイメージするといったことはしない」

「そのような行動(such an action)」とは(3)で訳した「粗い推測をし,次いで物理的にそのピースがハマるか確かめるために,そのピースを試すという混ざった方法」です。つまり我々がジグソーパズルをする際,「ここかな?」とテキトーに推測してから物理的に当てはめてみて,ハマらなかったら別のピース,と行くわけなのです。確実にハマる形か完全に分かるためにじゅうぶん形を検討したりはしないと言っているのです。つまり人間は試行錯誤をするのだと,推測と行動を同時並行で行うのだと,コンピューターのように完璧な推測をしてから行動に移ったりはしないのだと,言っているのです。

以上から3つ目の答えは「(5)のeven」です。ここは(4)と(5)に跨って読む必要があったため,いやらしい問題に思えました。

 

(6) as possible piecesが何とも変です。as many pieces as possible「できるだけ多くの数のピース」なら分かるのですが。そういえば,習いたての中学生が間違ってas possible as I canとか分けのわからないことを書いてしまうことがあるのが可愛いです(正しくはas hard as I canとかas hard as possibleとか)

では,asとpossible,どちらを消すのでしょうか。

Moreover, we may physically rotate as possible pieces even before we try to fit them

面倒くさいので正解だけ言います。asを消してください。

Moreover, we may physically rotate possible pieces even before we try to fit them

「そのうえ,我々は可能性のあるピースを,ハメようとしてみる前に物理的に回転させるだろう」 

possible piecesは「あり得るピース」「可能性のあるピース」。つまり,「この場所はこのピースかな?」と思った「正解候補のピース」のことです。4つ目の答えは「(6)のas」です。

 

(7) so as to simplify the mental task of guessing whether the piece will fit「そのピーズがハマるかどうか推測する精神的課題を単純化するために」に誤りはありません。so as to-Vは「Vするために」です(in order to-Vと違って文頭には立てない)

 

(8) Completing a jigsaw puzzle thus involves a complicated and repeated dance in which "pure thought'' leads to actions「かくしてジグソーパズルを完成させることは,『純粋な思考』が行動に繋がる,複雑で繰り返されるダンスを必要とするのである」に誤りはありません。in whichが使われていますが,そのあとの"pure thought'' leads to actions「『純粋な思考』が行動に繋がる」は完全な文であり,(3)で見た「前置詞プラス関係代名詞」の後には完全な文が書けるの法則と合致します。

 

この時点で4つ誤りが見つかっているので(9)(10)どちらかに誤りがあることになります。

(9) which in turn change or simplify the problems facing to "pure thought''

in turnは「今度は(それが)」といった意味で,ここは誤りではありません。

誤りは意外と単純なもので,(誤)facing to... →(正)facing... です。

facing... で「……に[が]直面する」です。

「それは今度は『純粋な思考』が直面する問題を変化させ,単純化する」

5つ目の答えは「(9)のto」です。

 

(10)This is probably the simplest kind of example to show that thought and action do not always function separately.「これが恐らくは,思考と行動が必ずしも別個に機能するわけではないことを示す,最も単純なたぐいの例であろう」に誤りはありません。

 

ハァハァ……とりあえず解説が終わりましたが……分かったのは,「文法上」であって「文脈上」ではないから,意味は取らなくて良い,なんてことは全く無かった!ということですね。この文章で筆者が「思考と行動が別個に機能するわけではない」と言っていたように(?),「形式(文法)と内容(意味)が別個に検討できるわけではない」のでありました。形式と内容は表裏一体なのであって,常に同時に検討する必要があるのです。つまり,

・こういう形だからこういう意味のことを言っているはずだ(形式→内容)

という検討はもちろん誰でもやりますが,

・こういう意味のことを言っている文章だからここはこういう形で使っているはずだ(内容→形式)

という検討も必要なのです。このことは英文解釈上,極めて重要なことなのです。そしてそれが故に,東大は「文法」と「和訳」を同じ大問4に抱き合わせにしているのです。

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やっぱり近年のは大変ですね(解説の執筆が)。あと気づいたのは,70年代〜90年代と2000年代〜2010年代を交互にやると後者が先に尽きるので,2:1の割合でやってみたいと思います。ということで,次回・次次回は70年代です。

 

アイキャッチ画像は以下の記事より

en.wikipedia.org

 

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