フレイニャのブログ

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東大の文法問題から表現を覚えましょう(8)

四阿

(7)に引き続き,(8)です。1971年から順に1974年まで見てきましたが,近年の出題傾向を見るために今世紀最初の2001年の問題を見てみたいと思います。

 

(1) Some of philosophers come to the conclusion that there is no such thing as philosophical progress, and that philosophy itself is nothing but its history. (2) This view has been proposed by more than one philosopher and it has been called "historicism''.  (3) This idea that philosophy consists not only of its history is a strange one, but it has been defended with apparently striking arguments. (4) However, we shall not find ourselves are compelled to take such a view. (5) I intend to take an entirely different in view of philosophy.  (6) For example, all of you have probably read some of Plato's Dialogues.  (7) There, Socrates asks questions and receives various answers. (8) He asks what it was meant by these answers, why a particular word was used in this way or that way. (9) In short, Socrates' philosophy tried to clarify thought by analyzing the meaning of our expressions.

 

上の(1)〜(9)の文のうち5つの文は,ある1単語を取り除くことによって文法的,あるいは文脈的に成立する。それぞれどの番号の文のどの単語かを示せ。

 

4つは正しいということですね。

また「文法的あるいは文脈的に」ですから,文としては成立していても前後との意味の繋がりがおかしいというものもある可能性があります。よって文章の意味も取っていかねばならないということになりますね。

 

解説

文法的に簡単なものから見ていきます。

(1) Some of philosophersが誤りです。Some philosophersSome of the philosophersとしなければなりません。題意は「取り除くことによって」ですから,ofを取り除くことになります。よって答えの1つは「(1)のof」です。

これはsomeの使い方の基本として覚えていなければなりません。×some of booksではなく,◯some books,◯some of the books,◯some of my booksです。「someの後にいきなり複数形を書く」「some ofとしたければtheや所有格が必要」ということですね。

 

(4) we shall not find ourselves are compelledのところが引っかかるのではないでしょうか。例えばHe found himself alone.「彼は気がつくと独りだった」という言い方がありますが,これをHe found himself was alone. とは言わないでしょう。もちろんfind (that) S V... というのもありますのでHe found he himself was alone. ならありえるかも知れませんが,himselfだけで,本問ならourselvesだけで主語というのはふつう見ないと思います。

ということで「(4)のare」を取り除き,we shall not find ourselves compelled「気がつくと自分自身が強いられているということはないであろう」です。言っている意味はよく分かりませんが文法的には解けるでしょう。

なおoneself(myselfやourselvesなど)は単体で主語にはならないと言いましたが,目的語や補語にはなります。

He loves himself.「彼は自分自身を愛している」(他動詞の目的語)

like myself「私のような(like me)」(前置詞の目的語)

I am not myself today.「今日はいつもの自分ではない(調子が悪い)」(補語)

oneselfを主語に使いたい場合は,I myselfやWe ourselvesのようにします。

You yourself must go.「あなた自身が行かねばならない」(yourselfはyouと同格)

You must go yourself.「あなたが自分で行かねばならない」(yourselfは同格対象のyouから離れても可)

oneselfが前置詞を伴わず単独で副詞のような意味になるのは,上の言い換えが成り立つせいです。

なおoneself(myselfやourselvesなど)は単体で主語にはならないと言いましたが,『ウィズダム英和辞典』によると「myselfを単独で主語に使うのは詩的に響く」(例えばMyself is happy.)とあり,絶対に間違いとは言い切れないですが,通常の言い方ではないと考えましょう。

 

(5) I intend to take an entirely different in view of philosophy. のところは明らかにおかしいでしょう。a different viewで「異なった見方」→an entirely different viewで「全く異なった見方」です。だからinは明らかに余計です。「(5)のin

in view of...「……の観点から」という熟語があるゆえの出題かと思いますが,前から読んでいけば流石に引っかからないでしょう。

 

(6) のsome of Plato's Dialogues. について,(1)の解説で×some of booksではなく,◯some of the books,◯some of my booksですと言いました。Plato'sがmyと同じ所有格のため,これは正しいです。

some of his books「彼の本の一部」

some of his Dialogues「彼の『対話』の一部」

some of Plato's Dialoguesプラトンの『対話』の一部」 

Dialoguesが斜体(イタリック)になっていますが,これはカギカッコや下線部の代わりです。

ja.wikipedia.org

アリストクレス

プラトンはもとアリストクレスと言った──アサシンクリード・オデッセイ

(8) ちょっと難しいかもですが,He asks what it was meant by these answers のところがおかしいです。要するにwhat it was meant がおかしいです。これは受動態とmeanの語法問題であり,おかしいことを分かりにくくさせるために特別疑問文(疑問詞を使った疑問文)でカムフラージュしています。まずWhatを使った疑問文でなくしましょう。WhatをSomethingで答えて平叙文に戻すと,

It was meant something.

になりますがこれがおかしいのです。

受動態の基本なのですが,「S is 過去分詞」(Sは……される)のあとにまた名詞を続けるためには,過去分詞になっている他動詞が,元々2つ目的語を取れる他動詞でなければならないのです。

tellはtell A B「AにBを告げる」と言えるから,

A is told B.「AはBを告げられる」と言えるのです。これに対し,

×steal A B「AのBを盗む」とは言えません。また×rob A B「AのBを奪う」とも言えません。だから

×A is stolen B「AはBを盗まれる」

×A is robbed B「AはBを奪われる」

とは言えないのです。meanという動詞は,

mean A「Aを意味する」とは言えますが,×mean A B「AのBを意味する」とか「AにBを意味させる」とか言えないのです。だから

×A is meant B. とは言えません。よって

×It was meant something. はおかしいのです。正しくは

Something was meant.「何かが意味[意図]されていた」(mean somethingの受動態)の疑問文である,

What was meant「何が意味[意図]されていたのか」です。

よって答えは,He asks what it was meant by these answers からitを取り除いた,He asks what was meant by these answers です。「(8)のit

 

さてここまで文法・語法的誤りを4つ見つけてきましたが,1個足りません。その1個とは,文法的誤りではなく,文脈的誤りなのです。ということは文章をちゃんと読んで(意味を取って),文法的には正しくとも意味がおかしくなっているところを見つけないといけないのです。('A`)メンドクセー

 

実際に探す前に,文法的に成り立っている文から1語取り除くことは出来るのでしょうか。例えば I bought a book at that store. からどの1語も取り除きにくいですよね。しかし I bought a book yesterday. からは yesterday が取り除けます。また I like green apples. からは green が取り除けます。このように形容詞・副詞は取り除ける可能性があります。だから余計な形容などが付いたせいで意味がおかしくなっている箇所を探せということです。また忘れてはならないのは副詞 not(never,hardlyなど)です。

I am not happy.

He seldom goes to church.

からはnot,seldomが取り除けますね。例えば

He is very religious. He seldom goes to church with all his family.

「彼はとても敬虔である。彼は家族全員とめったに教会に行かない」

からは,seldomを取る必要があるでしょう。

ということで否定文のnotを取って肯定文にすることで,文脈の辻褄を合わせるのが今回の題意でした。それは(3)です。

ということで(3)までは頑張って訳していきます。

 

(1) Some philosophers come to the conclusion that there is no such thing as philosophical progress, and that philosophy itself is nothing but its history.

「一部の哲学者は,哲学的進歩のようなものは存在せず,哲学それ自体が哲学の歴史にすぎないという結論に達する」

いきなりワケワカメですね(´Д`)。come to the conclusion that...は「……という結論に達する」です。nothing but = only です。

 

(2) This view has been proposed by more than one philosopher and it has been called "historicism''.

「こうした見方は複数の哲学者によって提示され,『歴史主義』と呼ばれてきた」

more than one philosopherは「1人以上の哲学者」というより「2人以上の哲学者」ですね。たった1人の異端の哲学者だけでなく,複数の哲学者がそう言っているということです。historicismはismが付いているからテキトーに「歴史主義」でいいでしょう。もちろん(1)の内容を踏まえています。「哲学それ自体が哲学の歴史にすぎない」という見方を「哲学における歴史主義」と呼称したのです。

 

(3) This idea that philosophy consists not only of its history is a strange one, but it has been defended with apparently striking arguments.

「哲学は哲学の歴史のみから成り立つのではないという,こうした考えは奇妙であるが,魅力的に映る議論によって擁護されてきた」

consist of...「……から成る」は中学レベル(高校入試レベル)です。これにnot only...「……だけではない」がついているから「……だけから成るわけではない」ということですね。

ところが(1)で「哲学それ自体が哲学の歴史に過ぎない」と言っているのです。あそこではphilosophy itself is nothing but its historyと言っていました。nothing but...とは「……以外の何物でもない」ということです。「哲学それ自体が哲学の歴史にほかならない」と言ってるのに,ここで「哲学は哲学の歴史のみから成り立つのではない」というのは,矛盾していませんか? むしろ「哲学は哲学の歴史のみから成り立つ」というのが,「哲学における歴史主義」ではないのでしょうか?

ということで答えは「(3)のnot」を取り除くです。notを削除すれば,

This idea that philosophy consists only of its history is a strange one, but it has been defended with apparently striking arguments.

「哲学は哲学の歴史のみから成り立つという,こうした考えは奇妙であるが,魅力的に映る議論によって擁護されてきた」

となり,(3)の文意が(1)と矛盾しなくなります。

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いかがでしたでしょうか。幸い,文章を全訳する必要はなかったですが,それでもかなり時間がかかりましたね。下手すると30分とかかかってしまう人もいるかもしれません。

実際にこの問題は,何分で解かねばならないのでしょうか?

近年の東大英語の問題構成は

[1]論説文2題(1題は要約,1題は記号)

[2]英作文2題

[3]リスニング

[4]文法と和訳

[5]小説1題

この5問で120分,120点です。うち[3]リスニングが30分ほど掛かるため,120-30=90分で[1][2][4][5]を解く必要があります。90を4で割ると22〜23分です。

今回紹介した文法問題は[4]「文法と和訳」のうちの「文法」です。後半の「和訳」が控えているため,単純に考えても22〜23分の半分くらいで解かねばなりません。10分強ですね。

今回の問題は単答式で5つ答えるため,2点×5=10点の配点であると推測されています。東大英語は120分で120点ですから単純に考えると「1分1点の原則」が成り立ちます。配点が10点であるならば,「10分で解く問題」として出題されたのでしょう。拘泥すれば30分も掛かる危険性のある問題を10分で切り上げねばならないのですから,最大のコツは「拘泥しないこと」です。10分だけ頑張ってみて,10分経ったら他の問題に移りましょう。10分,20分,30分と掛けていっても,限界効用逓減の法則で得点効率は低まる可能性があります。この文法に時間を掛けすぎたせいで,[5]を解く時間が全く無かったなどということになったら最悪です。10分限りの頑張りで6割(6点)取れればよしと考えて(今回の(1)は実力があれば5秒で見つかるはずです),「自分が満点無理ならばみんなも無理だ」と考えて退く精神力も問われているのでしょう。

私自身解説で疲労したので(笑),次回はまた1970年代に戻ります。交互にやりますかね。

 

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