(4)に引き続き,(5)です。1973年に入ります。
(1) 委員会はその男を釈放することに同意した。
The committee agreed to ( ) the man free.
(2) 自分の夢が正夢になってほしいと彼女は思った。
She hoped that her dreams would ( ) true.
(3) 来年はぼくの誕生日は日曜日にあたる。
Next year my birthday will ( ) on a Sunday.
(4) 石油タンクに火がつくのを見て,彼らは大変だと思った。
They were alarmed to see the oil tanks ( ) fire.
(5) わずかな誤りでも致命的な惨事につながるかもしれぬ。
The slightest mistake may ( ) to a fatal disaster.
(6) 彼らはその客のためにパーティを開こうとしている。
They are going to ( ) a party in honour of the guest.
(7) 彼は懸命に勉強したが,大して進歩しなかった。
He worked very hard, but could ( ) little progress.
(8) われわれは彼らの活動を制限する手段をとらなければならない。
We must take steps to ( ) a limit to their activity.
(9) かわいそうにその男は,急に眼が見えなくなるかもしれぬといわれた。
The poor man was told that he might suddenly ( ) blind.
(10) 案内係のところで名前をいうことになっています。
You're supposed to ( ) your name at the information desk.
空欄には以下のどれかが入ります。1つのものを複数回使ってもOK
bring catch come fall give go grow hit lead make pay set
解説
今回は複数回使用可ですから消去法は効きません。
(1) 「セット・ゼム・フリー」って曲ありましたよね。調べてみたらStingでした。原題はIf you love somebody set them freeだから,「愛するなら拘束するな」という意味?
set O freeは「解放してやる」という意味です。
The committee agreed to set the man free.
委員会はその男を釈放することに同意した。
(2) これは簡単ですね。
She hoped that her dreams would come true.
自分の夢が正夢になってほしいと彼女は思った。
(3) fall on Oで「(ある日が)(曜日などに)当たる」という意味です。
Next year my birthday will fall on a Sunday.
来年はぼくの誕生日は日曜日にあたる。
(4) catch fireで「火がつく」です。
They were alarmed to see the oil tanks catch fire.
石油タンクに火がつくのを見て,彼らは大変だと思った。
catchが原形になっていますが,前にseeがあり「see O 原形」という知覚動詞構文です。
(5) lead to Oで「Oに繋がる,Oに導く」です。
The slightest mistake may lead to a fatal disaster.
わずかな誤りでも致命的な惨事につながるかもしれぬ。
(6) give a party,hold a partyで「パーティーを催す」です。
They are going to give a party in honour of the guest.
彼らはその客のためにパーティを開こうとしている。
(7) make progressで「進歩する」です。
He worked very hard, but could make little progress.
彼は懸命に勉強したが,大して進歩しなかった。
(8) take stepsが「対策を取る」なので,( ) a limitで「制限する,制限を設ける」です。「制限を設ける」の「設ける」に一番イメージが合う動詞を選べということですね。それは「設定する」のsetです。ほかにput a limit,impose a limitとも言えるようです。imposeは「課す」です。
We must take steps to set a limit to their activity.
われわれは彼らの活動を制限する手段をとらなければならない。
(9) goは悪い状態への変化に使えます。例えばgo bankruptで「破産する」です。
The poor man was told that he might suddenly go blind.
かわいそうにその男は,急に眼が見えなくなるかもしれぬといわれた。
(10) 「情報,知識」を「伝える」のにgiveが使えます。『ウィズダム英和辞典』には以下のような例文があります。
Can you give me your name and address?「お名前とご住所をいただけますか」
You're supposed to give your name at the information desk.
案内係のところで名前をいうことになっています。
う〜ん,今回はちょっと簡単すぎたのではないでしょうか。高校入試でも出そうですよ。
ということで,1973年の続きにも入ります。
(11) He did not love his work, and was not proud of it, either.
= His heart was not in his work, nor did he take any ( ) in it.
(12) He struggled against the reform to the best of his ability.
= He made great efforts to stop the reform ( ) best he could.
(13) When he saw the ruins, he realized fully what war meant.
= The sight of the ruins brought ( ) to him the meaning of war.
(14) In spite of an immediate operation, the condition of the patient was almost as bad as before.
= Though the patient was immediately operated on, he was ( ) in a better condition than before.
(15) Whenever I see these pictures, there comes back into my mind the memory of something I saw in Australia.
= When I see these pictures, I never ( ) to be reminded of what I saw in Australia.
イコール(=)で結ばれた2文が同じような意味になるように,空欄を埋める1語を書け
解説
今回は選択肢がなく,自分で単語を考える問題です。まずは意味を取りましょう。
(11) 「彼は自分の作品を愛しておらず,誇りにも思っていなかった」
be proud of O = take pride in O = pride oneself on O
は重要な言い換えです。この言い換えの面白いところは下線を引いた部分が左から形容詞,名詞,動詞と変わっている点です。
上の文ではbe proud of Oが使われており,下ではtakeを使っていますので答えはprideです。
(12) 「彼は能力の限りを尽くして,改革に反対するようあがいた」
to the best of one's abilityは「能力の及ぶ限り」です。to the best of one's knowledge「〜の知る限り(as far as one knows)」というのもあります。
下はas best one canで「できるかぎり」です。この成り立ちは不思議ですね。as well as one canなら「できるだけ上手に」ですが。
(13) 「彼はその廃墟を見た時,戦争の恐ろしさを思い知った」
これは面白い問題で,私も好きです。
上の文のrealizeは(a)「リアルにする」→「実現させる」,(b)「リアルに感じる」→「実感する」です。今回はrealize fully,fully realizeと,fullyで強調されています。更にrealizeはthat節,wh-節を続けられます。
I realized that she had been very kind.
I realized how kind she had been.
今回はrealized what war meantで「戦争が意味したことを悟った」ですね。
下の文では,まず「S comes home to 人」を覚えましょう。これは,「Sが人の心に痛切に感じられる(=人がSを痛感する)」という意味です。複雑な分,使えると便利です。
The importance of A came home to me.「Aの重要性が,私の心に痛切に感じられた」「私はAの重要性を痛感した」
さて,これを更に複雑にできます。comeをbringに変えると他動詞になります。例えばcome aboutは「起こる(←その辺にやって来る)」ですがbring O aboutは「Oを(引き)起こす(←その辺に持ってくる)」です。「S comes home to 人」も,comeをbringに変えることで,「S brings O home to 人」「SがOを人の心に痛切に感じさせる」になります。要素が2から3に増えましたね:
S・・・痛感させるきっかけとなる出来事
O・・・痛感されたもの
人・・・痛感した人
The accident brought the importance of A home to me.
or The accident brought home to me the importance of A.
「その事故が私に,Aの重要性を痛感させた」
The sight of the ruins brought home to him the meaning of war.
「その廃墟の光景が彼に,戦争の意味を痛感させた」
「その廃墟を見て彼は,戦争の恐ろしさを痛感した」
(14) 「即座に手術したにもかかわらず,患者の状態は以前とほとんど同じだった」
下の文の空欄に何も入らなかったとすると,「彼は以前より良い状態であった」になります。上の文ではそうはならなかったと言っているのですから,否定せねばなりません。例えばnever「決して……ない」を入れれば「彼は決して以前より良い状態にはなかった」です。notを入れることもできるでしょう。もっと近いのはhardlyやscarcely「ほとんど……ない」ですね。
(15) 「これらの写真を見るといつも,オーストラリアで見聞した物事の記憶が頭に蘇る」
be reminded of Oは「Oを思い出させられる」で,実質的にremember O「Oを思い出す」と同じです。be reminded ofをrememberに変えてしまいましょう。
Whenever I see these pictures, there comes back into my mind the memory of something I saw in Australia.
= When I see these pictures, I never ( ) to remember what I saw in Australia.
上の文はwhenever S V「SがVする時はいつでも」(複合関係副詞)を使っていますね。下の文はwhenです。だから,alwaysなどを加えて「いつでも」を出さねばなりません。
= When I see these pictures, I always remember what I saw in Australia.
ところが問題文はnever ( ) toと,always「いつでも」と180度逆のnever「いつも……ない」になっています。だから ( ) には「しない」といった意味を入れ,alwaysの意味に戻さねばなりません。
答えはnever fail toです。fail to-Vは「Vしない,Vしそこなう」という意味で,never fail to-Vで「必ずVする」です。いわば「二重否定」といったものですね。
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(13)や(15)は難しく感じられたでしょうか。でも実戦的には,受験生がそれなりの受験勉強をしていれば,bring ... home to 〜やnever fail to-Vは覚えさせられるのです。だからパターン認識でhomeやfailが浮かんでくるのであって,私が解説で書いたような長々とした思考を本番でやるわけではありません。
結局(11)〜(15)も,as best one canとか,bring ... home to 〜とか,表現を覚えることで対応できる問題でしたね。
「東大過去問(1)」で述べましたが,as best one canやbring ... home to 〜が(索引を見て)載っている熟語集を本屋で探してみっちりやりましょう。