野球で(他スポーツでも?)「走・攻・守」という概念がありますが,私は以下のような喩えをするのが好きです。
「攻」は発想力・思考力。これが得点の源です!
「守」は文法力。文法ミスによる失点を減らす力です。いかに発想が優れていても,文法ミスが多すぎると点がどんどん減ってしまいます。
「走」は語彙力。語彙力がないと長文読解の際,躓きまくります。語彙力があれば躓かずにどんどん読んでいけます。英作文でも語彙力があれば「どういう表現を使おうかな?」と本番で悩む時間が節約されます。
「走・攻・守」を鍛えていきましょう!
(3)に引き続き,(4)です。1972年の続きです。
(1)
Son: I had to stay overnight at the top of the cliff.
Mother: Oh, how ( ) you must have been!
どれが一番変に感じるか:dangerous frightened scared uneasy
(2)
Teacher: Why has Japanese industry made such rapid progress?
Boy: Because Japanese people have been so ( )
どれが一番変に感じるか:diligent energetic hardworking industrial
(3)
Father: No one could possibly attain his level of achievement.
Boy: No, sir. He is a really ( ) person.
どれが一番変に感じるか:exceptional extraordinary impossible remarkable
(4)
Mother: My daughter eats like a bird.
Doctor: That's bad. ( ) her to eat more.
どれが一番変に感じるか:Advise Allow Get Urge
(5)
Brother: What would you do if you were in my shoes?
Sister: I would ( ).
どれが一番変に感じるか:ask for help burst into tears polish them wait and see
ほぼ単語問題・語法問題ですね! こういうのは楽しいです。
(1)
Son: 一晩中崖の上にいなければならなかったんだ。
Mother: まあ,なんて( )なことだったでしょう。
frightenedとscaredは「怖い思いをして,怖がって」ですので正しいです。それぞれfrighten「怖がらせる」,scare「怖がらせる」の過去分詞です。
uneasy(アンイーズィではなくアニーズィ /ʌníːzi/)はeasy「気楽な」の反意語で「不安な」です。正しいです。なお,easy「容易な」の反意語はdifficult「困難な」です。さらに,ease「気楽」の反意語のようなものとして,disease /dɪzíːz/「病気」があります。ease「容易」の反意語はもちろんdifficultyですね。
おかしいのはdangerousです。これでは「お前が危険なやつだ」になってしまいます。「彼が危険だ!」には2つの意味があり,「彼が危険な人だ」の意味ならHe is dangerous,「彼が危険にさらされている」の意味ならHe is in dangerです。
(2)
Teacher: なぜ日本の工業はそれほど急速に進歩したのか?
Boy: 日本人がこれまで( )だったからです。
これは有名すぎる単語問題かも。
industryには「勤勉;産業・工業」の意味があり,「勤勉な」はindustrious,「産業の・工業の」はindustrialです。「インダストリアル・ロック」の「インダストリアル」ですね。
「日本人がこれまで勤勉だった」と言いたければindustriousと言わねばならないのです。ということで,答えはindustrialです。
他のdiligent「勤勉な」,energetic「エネルギッシュな」,hardworking「勤勉な」は皆正しいです。diligentはmillionやpollution,satelliteと違ってlを重ねないので注意です。energetic「エネルギッシュな」に関しては以下の記事を書いています。
(3)
Father: 彼並みの業績を上げるのは誰にも不可能に違いない。
Boy: はい,そうです。彼は本当に( )人なのです。
まずNo, sirのNoを,Fatherのセリフへの反論と取らないようにしましょう。Fatherのセリフも否定文なので,Boyのセリフは同意です。
つまり「すごい」みたいな意味なら良いわけですね。exceptional「例外的な」,extraordinary「並外れた」,remarkable「注目に値する,並外れた」は正しいです。an impossible personは「ありえない人」という意味でしょうが,日本語で褒める意味で「すごーい,ありえない!」と言えるので,間違う人がいると狙ったのでしょう。He is impossible.は「あんなやつ論外だ,ありえない」という意味で,否定の意味合いです。incredibleなら「信じられない」→「すばらしい」と褒め言葉になります。「Mr.インクレディブル」で分かりますよね。本問はimpossibleをincredible的な意味合いと間違わせる問題だったのでしょう。
(4)
Mother: 娘は鳥みたいに少食なの。
Doctor: それはいけません。もっと食べるよう( )して下さい。
eat like a bird「とても少食である」は成句ですが,知らなくてもこの問題は解けるでしょう。
advise her to-Vは「Vするよう彼女に助言する」,allow her to-Vは「彼女がVすることを許可する」,get her to-Vは「彼女に(なんとか)Vさせる」,urge her to-Vは「Vするよう彼女に促す」です。要するに,全部語法的(形式的)には正しいことを見抜けば,意味的(内容的)におかしいものを選ぶのです。別に彼女は母親から食事をさせてもらっていないわけではないことは,eat like a bird「とても少食である」という成句を知らなくても判断できるでしょう。だからallow her to eat「彼女が食べることを許可する」がおかしいです。
なおallow O to-V「OがVすることを許可する」に関しては,permit O to-Vとも言えますが,×admit O to-Vとは言えないことも知っておきましょう(admitは入場・入学などの許可,事実を認めること)
(5)
Brother: 僕の立場だったらどうする?
Sister: ( )するでしょうね。
if you were in my shoesは「もし貴方が私の靴を履いていたら」→「もし貴方が私の立場だったら」です。
それを踏まえて選択肢を見ると・・・笑ってしまいますね笑 答えは言うまでもないでしょう。なお,wait and seeは「成り行きを見守る」です。
■何が分かるか,何が必要か
・多義語では派生語が違うものがある
art→「芸術的な」ならartistic,「人工的な」ならartificial
succeed→「成功した」ならsuccessful,「連続的な」ならsuccessive
・形式で解くのか,内容(意味)で解くのか,冷静に判断
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(5)はジョークみたいな問題になっていましたが,単語・熟語・語法問題は単純に楽しいですね。次回は1973年に入ります。