フレイニャのブログ

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アルスターの猟犬(23)

アルスターの猟犬(22)」の続きです。第10章に入ります。遂にメーヴの進軍が始まりました。

 

CHAPTER X

The Plucking out of the Four-pronged Pole

Then Meave gathered her hosts together and set out from Cruachan, each party under its own leader, marching in order of rank, with Fergus mac Roy guiding the entire army, and Meave bringing up the rear, in order that she might keep all her troops under her own eye. Meave’s way of travelling when she went into battle was in a chariot, with her bodyguard of chosen warriors around her, who, in any time of danger, interlocked their shields to form a rampart and protection on every side as she moved along.

それからメーヴは軍勢を集めてクルアハンから出発した。それぞれの隊に隊長がいて,階級の順番に進軍した。全軍を案内したのはフェルグス・マク・ロイヒで,メーヴは全ての部隊を監視下に置けるように後ろから押し立てた。メーヴが戦場に赴く時の移動方法は戦車で,選ばれた戦士のボディガードが周りを固め,彼らは危険な時はいつでも,盾を絡み合わせて密集陣を形成し,彼女が移動する際にあらゆる方向を防御した。

第1章の復習になりますがフェルグス・マク・ロイヒ(ファーガス・マク・ロイ)は前アルスター王でありながら王国を半ば追放という形で離れ,メーヴのコナハトに亡命した人です。降った将が先鋒を務めるというのはよくあることですね。

in order that S may [might] Vso that S may [might] Vの堅い形です。

rampartは「城壁,守り」ですが「盾を絡め合わせる」ことから「密集陣(ファランクス)」のように訳しました。


Gaily her troops marched in their many-coloured garb, their short kilts falling to the knee, their long cloaks over that. And the colour of the kilts of each troop was different, so that each man knew his own comrades by the pattern of his kilt. In their hands they carried shields and spears upon long shafts, while others had five-pronged spears, or mighty swords, or javelins.

メーヴの軍は陽気に,色とりどりの服装で進軍し,短いキルトが膝まで掛かり,その上に長いマントが覆われていた。そして各軍のキルトの色は異なっていて,それぞれがキルトの柄で仲間を認識できるようになっていた。彼らは手に盾と長柄の槍を持ち,5(また)の槍や巨大な剣,投げ槍を持つ者もいた。

gayは「陽気な,派手な」で現代では「同性愛者の」です。gailyは副詞です。

comradeは「仲間,同志」です。私は長らく「オーパキャラマードパッキャラマード」と覚えていましたが正しくは「オーパキャマラードパッキャマラード(camarade)」なのでした。

prongeは「槍の分かれた先」です。5叉とはすごいですね。


It was in the beginning of winter that they set out, and already snow lay heavy on the ground; on the very first night it fell so thickly, that it reached to the chariot-wheels and almost to their very shoulders, nor could they find any track or way.

彼らが出発したのは冬の初めで,すでに雪が深く積もっていた。まさに最初の晩にとても深く積もって,戦車の車輪の高さに達し,彼らの肩に達さんという勢いだったので,彼らも自分の通った跡も往くべき道も見えなかった。


Meave called Fergus, and said to him: “Go on before the hosts, O Fergus, and find us out the shortest road into Ulster, for in such weather as this, it is not well that we lose time by wandering out of the right way.” So with a few companions Fergus went on ahead; but as he drove along, the memory of old friends and of his home and country came upon him, and an overwhelming affection for Ulster took hold on him, and in his mind there arose shame and bitter self-reproach that he, the former King of Ulster, should be leading Ulster’s foes against her.

メーヴはフェルグスを呼んで言った。「フェルグスよ,先に進んでくれ。そしてアルスターへの最短の道を我らに教えてくれ。というのもこんな天気では,正しい道を外れて時間を無駄にしてもつまらないからな」 そこでフェルグスが少数の仲間とともに先を行った。しかし道を往くにつれ,旧友や故郷や故国の思い出が蘇り,アルスターに対する抗い難い思いが彼を囚えた。彼の頭の中に,自分が──アルスター前王でありがなら──アルスターに敵対する軍を率いているとは恥ずかしいことだと自らを責める辛い気持ちが沸き起こった。

・find A Bは「AのためにBを見つける」。find outは「発見する,見つけ出す」。これが組み合わさってfind A out B「AのためにB を発見する」となっています。

・climateとは違いweatherは不可算名詞であるためin such a weatherではなくin such weatherが正しいです。

it is not well that... は「……であることは結構なことではない」で,このwellは形容詞です。母がよく博多弁で「つまらん(=よくない)」と言っていたので「つまらないことだ」と訳しました。

・このshouldは「……するなんて,……するとは」というものです。更に今回はshould leadでなくshould be leadingなので「率いるなんて」ではなく「率いているなんて」と進行形の訳を加えます。

・最後のherを「メーヴ」と間違えないようにしましょう。国名を女性で受けるもので,「アルスター」を指します。

 

For he liked Meave and he liked her not; her kindness to himself and the exiles of Ulster had prevailed with him to aid her in her war upon the province; but her wiles and cunning and manlike ways he cared not for, and in his heart he had no wish to see the province subdued to her. So to the North and the South he misled the host, making them walk all day by difficult paths far out of their way, while in the meantime he sent swift messengers to Conor and the Ulster chiefs, but especially to his own foster-son Cuchulain, whom he loved, to call their men at arms together, because Meave and a host of warriors from all the provinces of Ireland were on their borders.

というのも彼にはメーヴを好む気持ちと嫌う気持ちとがあった。自分自身や,アルスターからの亡命者に対する彼女の優しさが彼の中で勝り,アルスターに対して彼女が起こした戦争を手助けしたいという気持ちはあった。しかし彼女の策略と,ずる賢くまるで男のようなやり方を彼は好きではなかった。それで心の中で彼はアルスターが彼女に屈服するのを見たくない気持ちがあった。だから彼は北へ南へと軍勢を誤導し,行くべき道を離れて困難な道を一日中歩く羽目にさせた。その一方彼はコノールとアルスターの首長ら,特に自らの養子であり,大変可愛がっていたクー・フーリンに,部下を集めて武装するように,メーヴとアイルランド全州からの軍勢がお前たちの国境に集まっているから,と伝える素早い使者を送った。

・受験生時代,試験でmisledが全く分からなかったことがあります。misleのような単語は見たことがなかったからです。実はこれはlead-led-ledにmisが付いたmislead-misled-misledなのでした。「誤った方へ導く」です。

in the meantimeは基本熟語と言え,「そうこうするうちに,その間に」です。1語ではmeanwhileと言います。

 

At night, after a long day’s march, the army found itself back in the very spot from which it had set out, not far beyond the banks of the River Shannon. Then Meave called Fergus, and angrily she spoke to him: “A good guide to an army art thou, O Fergus, bringing it back at night to the very place from which in the morning it set out. A good enemy of Ulster this. A good friend to Connaught and its queen!” “Seek out some other leader for your troops, O Meave,” said Fergus, “for never will I lead them against the province of Ulster and against my own people and my foster-son! But this I tell you, beware and look out well for your troops to-night and every night from this; for it may be that Cuchulain will stand between you and Ulster, and the standing of Cuchulain will be as the crouching of the Hounds of War upon your path; therefore beware and guard yourselves well before him!”

1日中進軍した日の夜,軍は自分達が出発した場所よりも後退していた。本当はシャノン川を超えて遥かに進んでいなければならなかったのだが。そこでメーヴはフェルグスを呼び,怒って彼に言った。「フェルグスお前はとんだ案内係だな,朝いたまさにその地点から,夜には後退してるとは。これでアルスターの敵とはな! コナハトそしてその女王の友人とはな!」「メーヴよ,貴女の軍には他の先導者をお探し下さい」フェルグスは言った。「私には,アルスターの国に向けて,私自身の人民と私の養子に向けて,貴女の軍を導くことはできません! でもこれだけは言っておきます。今晩,そしてこれから毎晩,ご自身の軍に気をつけて下さい。というのはクー・フーリンが貴女とアルスターの間に立ちはだかり,そしてクー・フーリンが立ち上がるということは,戦の犬たちが貴女の行く手に待ち構えているということです。だから彼の前では十分にお気をつけ下さい!」

シャノン川についてウィキペディアには

“シャノン川はアイルランド島を西(コノートの大部分)と東・南(レンスターとマンスター)に分けるアイルランド最長の川である”

とあります。アルスターも北東部(大部分はイギリスの北アイルランド)にありますので,コナハトからアルスターに進軍するにはこの川を渡ることになります。

・フェルグスは結局メーヴに協力できませんでしたが,クー・フーリンのことを警告することで最低限の恩義を示した感じですね。


Now that very night Cuchulain got the message of Fergus, for he was with his father, Sualtach, not far from this place. Together in their chariot they drove to the borders of the country where the army was encamped to seek for the trail of the hosts; but they found it not easy to discover the trail, because of the snow and because of the wandering path that Fergus had taken the troops. They unyoked the chariots, and turned the horses out to graze at a certain pillar-stone beside a ford; and on one side of the pillar-stone the horses of Sualtach cropped the grass down to the very ground, and on the other the horses of Cuchulain did the same. Then Cuchulain said: “To-night, O father, I have a shrewd suspicion that the host is near; depart thou therefore to warn Ulster, and to bid them arise and come by secret ways to meet the men of Erin.”

さてまさにその夜,クー・フーリンはフェルグスから知らせを受け取った。というのも彼は父スアルタムとともに,そこからそう遠くない所にいたのだ。彼らは共に戦車で国境まで移動した。そこでは自軍が敵軍の進路を掴もうとキャンプを張っていた。しかし雪と,フェルグスがめちゃめちゃに軍を進ませたため簡単には掴めなかった。2人は戦車から馬を離し,浅瀬のそばの柱石のところへ草を食べに行かせた。そして柱石の片側でスアルタムの馬達が草を根元まで食べ,反対の側でクー・フーリンの馬達もそうした。それからクー・フーリンは言った。「父よ,今夜私は敵が近くにいると強く疑っています。だから父上はここを離れてアルスターに知らせに行って,立ち上がり,秘密の道を辿ってエリンの者達に立ち向かうよう言って下さい」

・復習ですが,スアルタムはクー・フーリンの〈人間の父〉,長腕のルーが〈神の父〉です。


Now in his heart was Sualtach glad and pleased to be gone, because he was not a man who loved to stand in the gap of danger, nor to risk his life before an enemy stronger than himself; but yet he was loth to leave his son alone. So he said, “And thou, beloved, what wilt thou do?”

さてスアルタムは内心,離れることを喜んでいた。というのも彼は危険な裂け目にとどまることも,自分より強大な敵の前で生命を危険に晒すことも,好む男ではなかったからだ。それでも彼は息子を1人置き去りにするのは気が進まなかった。そこで彼は言った。「それで愛する息子よ,お前はどうするのだ?」

loth=loathは「気が進まない」です。

・「最愛の」という意味のbelovedは /bɪlʌ́vɪd/「ビラヴィド」です。単に「愛される(lovedの意味)」では /bɪlʌ́vd/「ビラヴド」です。


“I will stand between the men of Ireland and the province of Ulster,” said the boy, “so that no harm or hurt befall the province until Ulster be ready for battle; here on the borders do I take my stand, and I will so harry and trouble the hosts of Meave that they will wish the expedition had never been undertaken.”

「僕はアイルランドの軍とアルスターの国の間に立ちます」少年は言った。「アルスターが戦の準備をするまで,国に損害を与えさせぬためです。この国境で私は抵抗し,メーヴの軍を悩ませ,苦しめます。2度と遠征などしたくないと思わせるために」

・何と勇ましい言葉でしょうか。

・名詞のstandには「抵抗,防衛」の意味があるようです。

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いよいよ交戦が始まるのでしょうか。次回をお楽しみに!

 

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