フレイニャのブログ

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アルスターの猟犬(22)

アルスターの猟犬(21)」の続きです。フィンヴェナハ(白い角)とドン・クアルンゲ(クーリーの茶色牛)の前世の話をしています。

 

“Then they became two monsters of the sea, and after that two warriors and two demon-men. But in each of all these forms they met together in terrific contest, so that the world of men and even the dwellings of the gentle gods were stirred and agitated by their wrath. For when men hear the sighing of the wind, or the wild turmoil of the billows on the shore, then, indeed, it is the bulls in fight wherever they may be, or in whatever form. And now that they are come to earth again, no doubt some mighty contest is at hand; for surely they are come to stir up strife and deadly warfare between man and man, and Connaught and Ulster will be concerned in this.”

「それから彼らは共に海の怪物になりました。その後は2人の戦士と2匹の魔人です。しかしどの形であっても彼らは恐ろしい争いを起こし,人間の世界や優しい神々の住居すら彼らの怒りによってかき乱されました。それで風が嘆くように唸るのを聞いたり,大波が岸辺に荒々しく打ち付ける音を聞くと,実際どこであろうと,またどの姿をしていてもそれは牛の争いなのです。今再び地上に現れた以上,何らかの激しい闘いが近いのです。というのも彼らは確実に人間同士の間で争いと血が流れる戦争を起こすために来たわけで,コナハトとアルスターはこれに巻き込まれるでしょう」

stired and agitatedは一括して「かき乱される」と訳しました。

now that S Vは「今やSVなのだから」と〈理由〉を含む接続詞です。例によってthatが省略可のため,now S Vは以下の2つの区別が必要です。

 Now S V.「今はSVだ」

 Now S V, S V.「今はSVなのだから,SVだ

 要はnowが2文を結びつけているか否かの区別です。


“That likes us well,” said Meave, “and for this contest we will well prepare. So, since the fellow of the White-horned dwells in Cooley, take thou with thee a company, Mac Roth, and go and beg this excellent bull from Daire, that henceforth my cattle may compare with Ailill’s kine, or that they may surpass them. Give all conditions he demands and promise what thou wilt, so only Daire give up the bull. And if he give it not up willingly, then will we come and seize the bull by force.”

「それは好都合なことなのだ」メーヴは言った。「この戦争の準備も十分やるつもりだ。それで,白い角の仲間がクーリーに住んでいるから,マク・ロス,汝は部隊を連れて行け。そしてこの素晴らしい牛をダーラから貰い受けて来い。そうすれば今後は私の牛がアリルの牛に匹敵するのだ。或いはそれを凌ぐかもしれんぞ。ダーラが示す条件を全部呑んでやれ。約束もしてこい。ダーラが牛を手放すためならな。そしてもし奴が進んで牛を手放さなかったら,我らが行って牛を無理やり奪ってやる」

・メーヴはもとよりアルスターと戦争する気なので,「コナハトとアルスターはこれに巻き込まれるでしょう」というマク・ロスの警告は「上等」なわけです。

take thou with thee a companyはやや難しいですが,take thouはyou will take「お前は行って来い」という命令文相当です。よって

 You will take a company with you.

Take a company with you.「仲間を連れて行け」です。companyは現代の戦争用語では「中隊」ですが,「部隊」としておきます。

・このthatは何度か解説していますが,so thatからのsoの省略(文語)です。「……ために」「その結果……」です。口語では逆にthatを省略します。

・このthey may surpass themはちょっと面白いですね。最初のtheyは「ダーラから譲り受けたドン・クアルンゲ」,次のthemは「自らの意志でアリルの許に行ってしまったフィンヴェナハ」ですが,それぞれ複数形になっています。これまで様々な形態での前世があったことの反映でしょうか。


For to herself she said: “The taking of this bull will be a thing not easy to accomplish; if Daire, as is likely, refuse it to me, war will arise between Connaught and Ulster, and this, seeing that the warriors of Ulster are now lying in their pains, we much could wish. For our hosts are gathered and our provisions ready, while on Ulster’s side there are but women and little children and Cuchulain ready and fit to meet us; quickly in that case we shall march into Ulster’s borders and raid the country up to Emain’s palace gates, carrying off the spoils; the Brown Bull also we will bring with us, and henceforth not Ailill, nor the King of Ulster, nor all Ireland besides, will hold up their heads against ourselves or boast themselves our equal.”

彼女はこう考えたわけである。「この牛を手に入れるのは簡単な仕事ではない。もしダーラが,あり得ることだが牛を手放さなかったら,コナハトとアルスターの間に戦争が起こる。そしてこれは,アルスターの戦士達がいま苦しみに伏せっているのだから,多くを望めよう。というのも我が軍勢は集結し食糧も足りているが,アルスターの側で我々に立ち向かえるのは女子供とクー・フーリンだけなのだ。その場合速やかにアルスターの国境に進軍しエヴァンの宮殿の門まで攻め上がり,戦利品を持ち去ろう。ドン・クアルンゲも奪える。それで今後はアリルも,アルスター王も,おまけに全アイルランドも,我々に立ち向かったり,我々と対等であると吐かしたりはしなくなるのだ」

say to oneselfは「独り言を言う」ではなく「心の中で思う」です。thinkのパラフレーズ(言い換え)として使われます。

as is likelyのasは〈関係代名詞のas〉で,近いうちにやりたいですね。とりあえず今は,which is likelyと言ってもそう変わらないとうことだけ言及しておきます。

refuseで最も重要なのはrefuse to-V「Vするのを断る」ですが,ここではrefuse A B = refuse B to A「BをAに与えるのを断る」です。deny A B = deny B to A「BをAに与えない」もあります。今回はメーヴ側に頼まれた上で断るということなのでdenyではなくrefuseを使っています。

seeing that...「……であることが分かっている(see that...)から」(分詞構文)ということから,「……であるわけだから(since...)」といった意味です。

while従属接続詞だから本来はwhileの側から訳して

 S1 V1 while S2 V2.「S2V2である一方,S1V1である」

 と訳すのが筋ですが,今回など,whileの前にカンマも打っていることですし,前から〈訳し下げ〉て,

 S1 V1, while S2 V2.「S1V1である一方,S2V2である」

 と訳しても構わないでしょう。ただし一旦文を切ってから「その一方で,」と始める場合は

 ×S1 V1. While, S2 V2.

 とはせず,

 ◯S1 V1. On the other hand, S2 V2.

 としましょう。on the other handは副詞なので2文を繋ぐように使わなくてよいのです。要するにwhileは接続詞なので2文を繋ぐよう使うべきだということです。

・このbutは単独でonlyの意味になるbutです。辞書で確認したい人はbutの副詞の項目を引きましょう。


So Mac Roth with nine of his company travelled to the house of Daire in Cooley, and welcome was made for them, and fresh rushes strewn upon the floor and viands of the best were set before them, as became the chief of Ireland’s heralds. But before they sat down to meat, Daire inquired of them: “What is the cause of your journey here to-day?” And Mac Roth replied: “A quarrel that has arisen between Ailill and Meave, the King and Queen of Connaught, about the possession of the White-horned, for Meave is sorrowful and vexed because the King hath a better bull than she.

そこでマク・ロスと9人の戦士からなる部隊がクーリーのダーラの家まで行き,彼らはアイルランドの使者としてされるように歓迎され,新鮮なイグサが床に並べられ最上の料理が振る舞われた。しかし彼らが食事につこうと座る前に,ダーラが彼らに質問した。「今日こちらにいらしたのは,何のご用事でしょうか?」 それでマク・ロスは答えた。「コナハトの王と女王,アリルとメーヴの間で,白い角の所有を巡って口論があったのだ。メーヴは王が自分より優れた雄牛を所有していることで悲しみ,苛立っておられるのだ」

travelはいつも「旅行(する)」と訳さなくていいでしょう。例えばtravel of lightは「光の移動」です。

rushは以前も出てきました(鍛冶屋フランをアルスター王が訪問する時)。「イグサ」です(「突進する」と同綴)。新鮮なイグサの座布団を出すのがもてなしなのでしょう。

meatは「肉」ですが古い英語で「食事」の意味になることもあります。

 

She craves therefore, that a loan of the Dun or Brown Bull of Cooley be made to her, that she may say that she hath the finer kine. And if thou thyself wilt bring the bull to Cruachan, good payment shall be given thee: that is, due payment for the loan of the bull, and fifty heifers into the bargain, besides a stretch of country of the best in Connaught, and Meave’s close friendship along with this.”

「それゆえ女王は,ドン・クアルンゲの貸与が女王になされることを望んでいます。そうすれば女王は,自分のほうが優れた牛を持っていると言えるのです。そしてもしあなたが自らその牛をクルアハンまで連れてくれば,十分な支払いがあなたになされることでしょう。つまり牛の貸与に値する支払い,おまけに50頭の若い雌牛,さらにはコナハトで一番の国土の一部,付け加えてメーヴ女王との友好関係です」

craveは「渇望する」です。crave for...,crave to-Vが重要です。今回はcrave that...節ですが,前2者を知っていればthat節でも訳せるでしょう。

beについては要求・主張の内容で原形になるものです。should+原形でもOKです。

into the bargainが「その上,おまけに」の意味であることを初めて知りました。マク・ロスはinto the bargain,besides,along with thisと,「おまけに」をパラフレーズしながら繰り返しているのです。この事の教訓は,

 「パラフレーズを疑うことによって初見の語句の意味を推測できることがある

です。


This pleased Daire so well, that he threw himself upon his couch, and he laughed loud and long, so that the seams of the couch burst asunder under him. “By our good faith,” he said, “the offer is a good one, and whatever the men of Ulster may say to my lending away their precious bull, lend it I will with all my heart.”

これを聞いてダーラはたいそう喜んで,長椅子にどんと座り,長い間大笑いしたので,長椅子が繋ぎ目で壊れてバラバラになってしまった。「確かに」彼は言った。「その申し出は悪くないな。この貴重な牛を貸し出すことにアルスターの者共がどんな文句を付けても,喜んで貸し出そうじゃないか」

seamは「繋ぎ目」です。「シームレスに繋がる」の「シーム」に相当します。

asunderは「離れ離れに,バラバラに」です。ただ「粉々に(into pieces)」と言うほど細かくは分裂しません。


Then supper was served, and the messengers of Meave ate and drank, and Daire plied them with strong wines, so that they began to talk at random to each other. “A good house is this to which we have come, and a wealthy man is Daire,” said one to his fellow. “Wealthy he is indeed,” said the other. “Would you say that he was the best man in all Ulster, and the richest?” pursued the first who had spoken. “Surely not,” replied the other, “for Conor the King, at least, is better in every way than he.” “Well, lucky it is, I say,” pursued the first, “that without bloodshed or any difficulty raised, he yields the bull to us nine messengers; for had he refused it, I trow that the warriors of all Ireland’s Provinces could not have carried it off from Ulster.” “Say not so,” cried another, “for in truth, little matter to us had it been if Daire had refused it, for had we not got the bull by fair means, we would have carried it off by foul.”

それから夕食が出され,メーヴの使者は食べて飲んで,ダーラは彼らに強いワインを盛んに勧めたので,彼らは適当な相手を見つけて互いに喋り始めた。「俺達が来たのはいい家だなぁ。ダーラは金持ちだよ」と1人が言った。「確かに裕福だ」その相手が答えた。「ダーラがアルスター中で1番の男で,1番金持ちだと言うのかい?」最初に喋った男が続けた。「いやそれは違う」片方が言った。「少なくともコノール王があらゆる点でダーラより上だろうよ」「ふむ。ラッキーなことだな。血が流れることも,苦労することもなく,奴は俺たち9人の使者に牛を差し出したんだ。もし断ってても,アイルランドの全ての州の戦士達は牛をアルスターから運び去ることはできなかったと思うからなぁ」「そう言うなよ」片方が叫んだ。「実際のところ,ダーラが断っても大したことじゃなかったろうよ。正々堂々と牛を連れ出せなくても,無理やり連れ出すつもりだったんだからよぉ」

・ダーラの前で何を仰っているの貴方たち……

plyimply「含意する」comply「従う」コンプライアンスの動詞形)などの語幹になっているものですね。「励む,せっせと使う,盛んに勧める,(薪を)せっせと焚べる」といった意味を持ちます。

had he refused itという語順は仮定法でよく見られるもので,ifの省略に伴うものです。仮定法のifを省略すると倒置が発生するので,

 if he had refused it → had he refused it です。

trowはthink,believeといった意味です。


Now just at that moment in came the steward, with fresh viands to set before the guests, but when he overheard their conversation, and the slighting way in which his master was spoken of by the heralds of Connaught, he set down the meat without a word and without inviting them to partake, and out he went at once and told his master what the heralds had said. Then Daire was very angry, and he exclaimed, “By the gods, I declare, that never will I lend the bull; and that now, unless by foul means they carry him off from me, he never shall be theirs.”

さてちょうどそのとき給仕長が,客たちに出来たての食事を出そうと入って来たが,彼らの会話や,主人のダーラがコハナトの使者たちの会話の中で軽んじられているのを耳にすると,一言も発せず食事を置き,召し上がれということも言わずに,耳にしたことを直ちに主人に報告しに行った。するとダーラはたいそう怒って叫んだ。「神にかけて誓う。牛は絶対に貸し出さん。もはや奴らが力ずくで奪わぬ限り,牛を奴らの手に渡さんぞ」

in came the stewardthe steward came inです。要はthere is S構文と同じで,副詞のinが文頭に回り,主語(the steward)と動詞(came)が倒置しているのです。

 An old man was there. → There was an old man.

 The steward came in. → In came the steward.

overhearは「聞き耳を立てて盗聴する」ではなく「偶然漏れ聞く」です。「盗聴する」にはeavesdropがあり,eavesは「軒,ひさし」です。

partaketake partparticipateつまり「参加する(inを続ける)」の意味があり,またここでは「食べる,飲む」です。


The next morning, the messengers arose, having slept off their carouse, and they went to Daire’s house, and courteously said: “Show us now, noble Sir, the way to the place where the Brown Bull is, that we may proceed with him on our journey back to Cruachan.”

使者たちはどんちゃん騒ぎの酔いを眠って醒ました後,翌朝目覚め,ダーラの家に行き,丁寧にこう言った。「さあご主人,ドンの居場所に行く道を教えて下され。ドンとともにクルアハンに帰還したいと思いますゆえ」

sleep off... には「……の酔いを覚ます」という意味があるそうです!carouseは「どんちゃん騒ぎ」です。


“Not so, indeed,” said Daire, “for were it my habit to deal treacherously with those that come in embassage, not one of you would have seen the light of the sun to-day.” “Why, how now, what is this?” they asked, surprised, for they had forgotten what they had said over their cups the night before. “’Tis plain enough, I think,” said Daire; “your people said last night that if I gave the bull not up of mine own will, yet Meave and Ailill would make me give it up by force. Let Meave and Ailill come and take it if they can. All Ulster will prepare to hold the bull.”

「いや実は,そうは行かん」ダーラは言った。「仮に,使者の任務で来た人間を裏切るのが俺の習慣だったら,お前達1人たりとも今日の太陽を拝んでいないぞ」「なんと,どういうことでありましょうか?」彼らは驚いて尋ねた。というのも昨晩酒を飲みながら話したことを忘れていたからだ。「明白なことじゃないかと思うぞ」ダーラは言った。「お前の一行は昨晩,俺が進んで牛を差し出さなかったら,それでもメーヴとアリルが無理やり俺から奪うつもりだったと言ってたぞ。できるものならメーヴとアリルにやらせてみろ。アルスター中が牛を守る覚悟があるさ」

were it my habit toも仮定法であり,if it were my habit toです。

embassageは「大使の任務」です。embassy「大使館」,ambassador「大使」は重要語です。

over the cupsは〈従事のover〉が使われています。over (a cup of) coffeeで「コーヒーを飲みながら」です。

 

“Come, come,” said Mac Roth, “heed not what foolish men said after food and drink; Ailill and Meave had no ill intent in sending us to ask the bull of you. It were not right to hold them responsible for the loose words of their messengers.” “Nevertheless, Mac Roth, and however this may be, at this time you do not get my bull.”

「まぁまぁ」マク・ロスは言った。「飲み食いした後で馬鹿な者達が言ったことなどお気になさらないで下さい。アリルもメーヴも貴方に牛を求めることにおいてやましい気持ちなどありません。彼らの使者達がうっかり口を滑らしたのを咎めるなんて,ふさわしいことではありませんぞ」「しかし,マク・ロス,どういうことであったにせよ,今回は牛を貸すことはせん」

intention「意図」の意味でintentと言うことがあります。

hold O responsibleはよく見る言い方で「Oに責任があると判断する(or裁判所が判決する)」です。


So Mac Roth and the nine messengers returned to Rath Crogan, and Meave inquired for the bull. And when she heard their tale, she said, “I thought as much, Mac Roth: it was not intended that you should have the bull. The bull, which is not to be got by fair means, must be got by foul; and by fair or foul, he shall be got by us.”

そこでマク・ロスと9人の使者達はクルアハンの砦に戻り,メーヴは牛はどうなったと訊いた。彼らの報告を聞くと彼女は「そうだろうと思っていたよ,マク・ロス。お前が牛を手に入れられるとは意図していなかったのじゃ。正当な手段で手に入れられぬその牛は,力ずくで手に入れるしかない。どちらにせよ牛は我らの物じゃ」

Rath Croganは「クルアハンの宮殿がある砦」の意味のようです。

I thought as much「同じだけのことを考えていた」→「そうだろうと思ったよ」は決り文句です。

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ということは,メーヴは軍隊を出してクーリーの茶色牛を奪取しに行くのでしょうか。となるとアルスターとの戦いになりますね。次回をお楽しみに!

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