“fare” が「行く」の意味でそこからwelfare「福祉」やfarewell「さらば」が生まれたというのは2020/8/6の記事で解説しましたが,今回はferry「フェリー」の“fer”が「運ぶ(bear)」でそこから色々な単語が生まれるという話です。
今回はいちいち“fer”に強勢(アクセント)があるのか“fer”じゃない方(前の音節)に強勢があるのかを追記していきます。この違いはある重要な違いを生むからです(後述)
infer「推論する,推察する」(ferに強勢)
「in(中へ)」+「fer(運ぶ)」→「運び入れる」
※ある事実から,ある考えを「運び入れる」というイメージ
confer「相談する,協議する;授与する」(ferに強勢)
「con(共に)」+「fer(運ぶ)」
※この語に関してはconference「協議会,会議(カンファレンス)」から思い出すのが早い
refer「(refer to...)言及する,(refer to...)参照する,(refer to...)関連する」(ferに強勢)
「re(元に)」+「fer(運ぶ)」
※refer to A as Bで「AをBと呼ぶ」
※図書館の「レファレンスコーナー」は「(辞書など,貸し出さず)参照するコーナー」。reference「言及,参照,参考文献,関連」。細かいが英語では「リファレンス」ではなく「レファランス」/réfərəns/
transfer「移す,乗り換える,転校[転勤,転属]させる/する」(ferに強勢)
「trans(向こうへ渡って)」+「fer(運ぶ)」
※「電車を乗り換える」場合はchange trainsとも
※名詞のtransferはtransに強勢
(難語) defer「延期する」「従う」(ferに強勢)
※これもdiffer「異なる」と同じ「dis→dif(離れて)」+「fer(運ぶ)」から来たようだが,differと違ってfer側に強勢
※名詞のdeference「敬意,服従」をdifference「違い」と混同しないよう注意
suffer「(困難)経験する,(敗北)を喫する,(損害)を被る;苦しむ」(sufに強勢)
「sub→suf(下に)」+「fer(運ぶ)」
offer「提供する,申し出る」(ofに強勢)
「ob, of(に対して,に向けて)」+「fer(運ぶ)」
※「仕事のオファー」は「働いて下さい」という「仕事の要望」ではなく「うちで働きませんか」という「仕事の提供」。相手が受けるかに関わりなく提供してみること
proffer「提供する,申し出る」(profに強勢)
「pro(前方に向けて)」+「fer(運ぶ)」
※proffer は offer と同じ意味です。使う必要はなく,読めれば充分です。
differ「異なる」(difに強勢)
「dis→dif(離れて)」+「fer(運ぶ)」
※distance「距離」やdistinguish「区別する」の“dis”。発音の兼ね合いで(fの前であるため)“dif”となっている。
fertile「肥沃な」
「fer(運ぶ)」→「生む」
※bearも「運ぶ,生む」である
※fertilizer「肥料」
※fertile crescent「肥沃な三日月地帯」
今回は“fer”側(後ろの音節)に強勢があるのか,“fer”じゃない方(前の音節)に強勢があるのかを一々表記しました。なぜならどちらのタイプかによって過去形・過去分詞の綴りが違うからです。
“fer”側(後ろの音節)に強勢があるもの:rを重ねてからed
infer→inferred
confer→conferred
refer→referred
transfer→transferred
これらは,submit→submittedのように後ろに強勢がある場合に t を重ねるのと同じです。limitは前に強勢なのでlimitedと,t を重ねません。
“fer”じゃない方(前の音節)に強勢があるもの:rを重ねずed
suffer→suffered
offer→offered
differ→differed
これらは普通の規則変化です。というか上のrefer→referredなども規則変化なのですが,アクセントが最後で子音字で終わっている場合は子音字を重ねるというルールがあるのです。同様のルールでoccur「起こる;頭に浮かぶ」も“cur”側に強勢のためoccur→occurredです。気をつけましょう。developは強勢が最後ではなく真ん中の“ve”にあるためpは重ねず,developedですよ。日本語で「ディベロップ」と言うからといって引っかからないようにしましょう。