2020/7/7の記事では“dict”「言う,言葉」をやりましたが,今回は1字違いの“duct”「導く(=lead)」です。先ず区別として,
・dictはdictionary「辞書」のdict →→→「言葉,言う」
・ductは「ダクト(通風管)」→→→「導く」
「ダクト」とは換気のために建物に設置される管です。「ウォーターダクト」と言えば「排水管」となるでしょう。“duce”は“duct”の仲間で,動詞では“duce”,名詞では“duct”の形が多いです。deuce(テニスのデュースやさいころの2;twoやdeuxと関係)は“duce”と同じ発音ですが,無関係です。
induce「勧めて……させる(人 to-V),誘発する」
→inducement「誘因,動機」
※「中に(in)導く(duce),導き入れる」
introduce「紹介する(A to B),導入する,経験させる」
→introduction「紹介,導入,伝来,序論」
※「間に(intro)導く」
※「イントロクイズ」の「イントロ(introduction)」は「導入部」
※宗教の「伝来」もintroductionを使う
seduce「誘惑する(人 into 名/Ving),そそのかす」
reduce「減らす,還元する,(好ましくない状態に)変える」
→reduction「減少,縮小,還元」
※「後に(re)導く」
※「ノイズリダクション」とか言いますよね
produce「生み出す,生産する,提出する;(農)産品」
→production「生産,製作・制作」
→product「生産物,産品」
→producer「生産者,生産国,制作者(プロデューサー)」
※「前方に(pro)導く」
※「生産物」はproductだが,「農産品」はfarm produce(不可算名詞)と言うこともある
conduct「/kəndʌ́kt/ 導く,行う,指揮する;/kɑ́(ː)ndʌkt, kɔ́ndʌkt/ 行い」
→conductor「指揮者,伝導体,車掌,添乗員」
→semiconductor「半導体」
※conduce「至る,貢献する」はマイナーな単語。conductの方が重要
※「ツアーコンダクター」とか言いますよね
※conductのような,動詞と名詞のアクセントの使い分けを俗に「名前動後」と言う。recordやimportは「名前動後」である。しかし鉄則ではなく,reportは「名後動後」,commentは「名前動前」
abduct「拉致する,誘拐する」→abductee「拉致被害者」
deduct「控除する」→deduction「控除;推論,演繹」
なおdukeとは「公爵」のことですが(「侯爵」はmarquis,marquess),「導く者(leader)」という意味で今回の“duce”の仲間です。一般に爵位は上から「公侯伯子男」の順だそうですね。「女侯爵」または「公爵夫人」はduchessです。デヴォンシャー公爵夫人を題材にした『ある公爵夫人の生涯』という映画があるようですね。