その2はこちらです。
長い拍手の後,12分50秒の“Ladies and gentlemen”から書き起こし再開です。
Ladies and gentlemen, in the gallery today is lieutenant general Lawrence Snowden. (applause) Seventy years ago, in February, he landed on Ioto, or the island of Iojima as a captain in command of a company. In recent years, general Snowden has often participated in the memorial services held jointly by Japan and the US on Ioto. He said, and I quote, "We didn't and don't go to Iojima to celebrate victory, but for the solemn purpose to pay tribute to and honor those who lost their lives on both sides."
皆さん,本日,観覧席にはローレンス・スノウデン陸軍中将がおられます。70年前彼は硫黄島(いおうとう),または硫黄島(いおうじま)に中隊を指揮する将として上陸しました。近年,スノウデン中将は日本と合衆国が合同で開催する追悼式典に度々参加しておられます。彼は言いました。引用します。「私達は勝利を祝福するために硫黄島に行っているのではありません。両軍で命を落とした者に敬意を表し,名誉を称えるという厳粛な目的で行っているのです」
・lieutenant generalは「陸軍中将,空軍中将」です。綴がうろ覚えでleutenantと,iを忘れました。LawrenceはLawlenceと書き損じました。
・ここのcompanyは「中隊(120人くらい)」です。
・solemnは「厳粛な,真面目な,心からの」です。
・pay tribute to and honor those who... のところは英文法では「共通関係」と言われ,因数分解と展開の関係に似ています。つまりpay tribute to those who lost their lives and honor themのことなのですが,those who lost their livesとthemが同一の存在であり,2つの動詞pay tribute toとhonorの共通の目的語なので,括り出してpay tribute to and honor those who lost their livesと言っているのです。数式にたとえればXA + YAを(X+Y)Aとしてるのです。 簡単な例に変えれば,love your husband and respect himと言うところを,love and respect your husbandとまとめるようなものです。
Next to general Snowden sits Diet member Yoshitaka Shindo, who is a former member of my cabinet. His grandfather, general Tadamichi Kuribayashi, whose valor we remember even today was a commander of the Japanese garrison during the battle of Iojima. What should we call this if not a miracle of history? Enemies that had fought each other so fiercely have become friends (applause) bonded in spirits. To general Snowden I pay tribute to your effort for reconciliation. Thank you so very much.
スノウデン中将の隣には新藤義孝国会議員が座っています。彼は私の内閣の以前のメンバーです。彼の祖父栗林忠道中将は,その勇猛が今日でも知られていますが,硫黄島の戦いで日本軍の守備隊の指揮者でした。これが歴史の奇跡でなくて何でしょう? かつてあれほど激しく戦い合った敵同士が今や魂で結びつく友となったのです。スノウデン中将に対し,和解への努力に敬意を表します。誠に有難うございました。
・Dietは日本の「国会」です。米国はCongress,英国はParliamentです。
・valorは「勇敢さ,武勇」です。
・garrisonは単語として知りませんでした。「守備隊,駐屯軍」です。
・reconciliationはreconcile「和解させる・する」の名詞形です。reconcileの覚え方は(ダジャレですが)2020/2/10の記事の(13)で解説しました。
Post war we started out on our path bearing in mind feelings of deep remorse over the war. Our actions brought suffering to the people... the peoples in Asian countries. We must not avert our eyes from that. I will uphold the views expressed by the previous Prime Ministers in this regard. We must all the more contribute in every respect to the development of Asia. We must spare no effort in working for the peace and prosperity of the region. Reminding ourselves of all that, we have come all this way. I am pround of this path we have taken.
戦後私達は戦争に対する深い反省の気持ちを胸に道を歩み始めました。私達の行動はアジアの諸国民に苦しみをもたらしました。私達はそれから目を背けてはなりません。この点で私は従来の首相が示した見解を踏襲します。その分だけ一層私達はあらゆる点でアジアの発展に貢献しなければなりません。私達はこの地域の平和と繁栄に尽くすことに努力を惜しんではなりません。この事全てを忘れることなく,私達はずっと歩んできました。私達が取ったこの道を私は誇りに思います。
・post warは「戦後の」という形容詞ですが,副詞として使われています。prewarは『ウィズダム英和辞典』には形容詞「戦前の」,副詞「戦前には」が載っていますが,post warも同様でしょう。
・bear O in mindは「Oを忘れない,Oを心に留めておく」です。今回Oが長い(feelings of deep remorse over the war)のでbear in mind Oとなっています。
・the peoplesは「諸国民」という意味です。言い直しています。
・uphold the viewsは書き取れませんでした。「考え方を支持する」ですね。
・spareは「(時間・努力など)を省く」です。ところが目的語がno effortと否定されているので,「ゼロの努力を省く」,つまり「どんな努力も惜しまない」です。
Seventy years ago, Japan has been reduced to ashes, then came each and every month from the citizens of the United States gifts to Japan like milk for our children and warm sweaters and even goats. Yes, from America, 2,036 goats came to Japan.
70年前,日本は灰燼に帰しました。それから毎月毎月,合衆国の市民から日本へ贈り物がやって来ました。子どもたちのための牛乳,また温かいセーターや山羊までもが。そうなんです,アメリカから2036頭の山羊が日本にやって来たのです。(ややウケ)
・be reduced to Nは「Nに変えられてしまう」です。
・then came Sは倒置構文で,then S came「それからSがやって来た」です。then S cameと言ってしまうと,今回Sが長いので頭でっかちな文になってしまいます。Sは後方にあるgifts to Japan ... even goatsです。then cameとgifts to Japanの間は「いつ(毎月毎月)」「どこから(合衆国市民から)」が割り込んでいます。
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山羊の話でやや笑いを取り,18分のところまで来ました。ここで一旦切ります。