ドイツ語は形容詞と副詞が同形であると学んだ時,大いに納得したことがあります。
(1)形容詞はbe動詞の後に来たり(形容詞の叙述用法),前から名詞を修飾する(形容詞の限定用法)のに使います。
(2)副詞は動詞(副詞がad+verbでadverbと言われるゆえん)・形容詞・副詞・文全体を修飾します。
形容詞と副詞は守備範囲が違うので,同じ形でも問題ないわけですね。
例えば
He is hard. → be動詞の後だからhardは形容詞
He studies hard. → 動詞の後だからhardは副詞と分かるわけで,こういうことがドイツ語では行われているわけです。実に合理的なのれす(・ω・)
ただ守備範囲が違うと言っても,複雑な文中ではそもそもどっちの守備をしているか分からない場合は形容詞か副詞かの判別が困難ですね。その危険性を軽減するためドイツ語では形容詞の活用語尾というものがあります。前から名詞を修飾する形容詞の場合,活用語尾が付きます。これで副詞でないと分かります。ただそのためにドイツ語では複雑な活用語尾を覚える必要があるわけです泣
例えばgesundは「健康な」ですが,「健康な子ども」はein gesundes Kindです。gesundの後のesが活用語尾です。
独語:文構造が取りやすい(・∀・) 複雑な活用('A`)
英語:活用が比較的簡単(・∀・) 文構造が取りにくい('A`)
さて英語はwarm(形容詞)→warmly(副詞)のように形容詞に-lyを付けて副詞を作る傾向がありますが,実はドイツ語と同様に形容詞と副詞が同形の単語は結構あるのです!
high「高い」「(高度が)高く」 → fly high「高く飛ぶ」
highly「(程度が)高く」 → think highly of N「Nを高く評価する」
面白いことにhighとhighlyの場合,「高く」の意味によって使い分けていますね。
long「長い」「長く」
wait long「長く待つ」,wait as long as two hours「2時間も(長く)待つ」
longはそのまま「長く」になりますね。How longは,
How long is the Mississippi?「ミシシッピ川はどれくらい長いですか」
How long did WWII last?「第二次世界大戦はどれくらい長く続きましたか」
のように,物の長さ,時間の長さ,共に問えます。
right「正しい」「正しく」
rightly「正しく」
厳密な使い分けは難しいが,乱暴に言って「正しく」はrightもrightlyもアリです。
if my memory serves me right「私の記憶が確かならば(私の記憶が正しく私に仕えるなら)」
=if I remember rightly「私の記憶が確かならば(私が正しく覚えているなら)」
wrong「間違った」「間違って」
wrongly「間違って」
Don't get me wrong!「誤解しないで下さい」
spell N wrong(ly)「Nを間違って綴る」
hard「固い,困難な,厳しい」「一生懸命に」
hardly「(程度が)ほとんど……ない」
hardlyは要注意です。「一生懸命に」ではありません。「困難に→する」「厳しく→する」から「ほとんど……ない」に意味がややズレたのです。なお「ほとんど教会に行かない」場合は頻度なのでseldom,rarelyの方を使います。hardlyはcan hardly understand N「Nがほとんど理解できない」のように程度に使います。
fly high「高く飛ぶ」なんかを見ていると,形容詞と副詞ってそんなに明確に切り分けられるものではないんだな……と思います。次回,歴とした形容詞でもほとんど副詞になってしまうような例を紹介します。
↓書きました。