まず基本ルールとして「時や条件を表す副詞節中では,未来のことを現在形で表す」というのを中学英文法で習います。
When he comes, we will start.「彼が来たら出発します」
If he comes, I will be happy.「彼が来たら嬉しいな」
これらをWhen he will comeとかIf he will comeとは言わないということですね。
形容詞節(=関係詞節)や名詞節中ではこのルールは当てはまらないので気をつけましょう。
(例1)
Tell me when he will come.「彼がいつ来るかを教えて下さい」
:この文のwhen he will comeは「彼がいつ来るか」という意味の名詞節なのでwillは使われる。
Tell me when he comes.「彼が来たら教えて下さい」
:この文はwillが使われておらず,when he comesは副詞節。「彼が来たら,そのことを教えて下さい」(When he comes, tell that to me)という意味です。
(例2)
The time will come when you will regret about it.「あなたがそれについて後悔する時が来るでしょう」
The time will come when S will Vというのは「SがVする時が来るでしょう」という意味ですが,このwhen S will VはThe timeを修飾する形容詞節(=関係詞節)です。つまり
The time when S will V will come. のことですが,when S will Vが長くなるので,先に結論のwill comeを書いて
The time will come when S will V. と言うのです。
もしwhen節中のwillをなくしてしまうと,
The time will come(,) when you regret about it.「あなたがそれについて後悔する時,その時は来るでしょう」という別の意味になります。「その時」がどんな時なのかはこの1文からは分かりません。
(例1)では名詞節,(例2)では形容詞節(=関係詞節)だったために,未来のことはちゃんとwillを使った(記事の最初で挙げたルールの適用外)という例ですが,副詞節の場合でもwillを使うという例はないのでしょうか?
実は「……するつもりがある」という意味のwillならOKです。
If he comes, I'll give him this book.「彼が来たらこの本をあげよう」(副詞節なのでwillを使わない)
If he will come, I'll give him this book.「彼が来るつもりがあるならこの本をあげようではないか」(副詞節だが意志を表すwillなので使う)
では最初に挙げたルールには例外があったということでしょうか?
そのように言うこともできますが,定式化出来るのでルールを修正して
「時や条件を表す副詞節中では,単純未来のことを現在形で表し,意志未来であればwillを使う」(ルール改)
と言うこともできますね。
なおこの(ルール改)は仮定法にも当てはまります。
If I were a bird, I could fly to you.「もし私が鳥だったら,あなたの所へ飛んで行けるのに」
この有名な仮定法の文のif節にはwouldがありませんね。副詞節のif節中にwill(would)は要らないのです。ところが,
I would appreciate it if you would V.「もしVしてくださればありがたいのですが」というお願いの表現ではif中にwouldがありますね? これは意志を表すwillだからです。なお「あなたに意志がおありなら」と頼むのも煽っているようなので(笑),「可能でしたら...」という意味でwouldをcouldに変えて
I would appreciate it if you could V.
と言うこともできます。
なお今回はif節中のwill(would)の可否について検討しましたが,canやcould,shouldなら普通にif節中で使います。
If I could, yes I would.「出来ることなら,もちろんやりたいさ」は私の好きなBadというU2の曲のフレーズです。また,
If S should V は「万一SがVすれば」という意味ですね。
(追記)「アーサー王と騎士達(19)」で if ye will fight for her というのが出て来ました。if 節中に will を使っており,「彼女の為に戦うつもりなら」と訳しています。