結論から言うと,
/dʒ/ は/tʃ/ の有声音化(濁音化)
/ʒ/ は /ʃ/ の有声音化(濁音化)
です。実践してみましょう。
churchの「チ」/tʃ/ を静かに出してみて下さい。ささやくような「チ」です。そこから声を出して「濁らせて」いって下さい。「チッチッチッチッ……ヂー」となる音が/dʒ/です。「じめん」「じっと」とかいうときの「じ」が近いと思います。
次に,sheやshadowの「シ」/ʃ/ を静かに出してみて下さい。子どもに「シーッ」っていう時の「シ」が近いと思います。そこから声を出して「濁らせて」いって下さい。「シーッシーッ……ジ(ュ)ー」となる音が/ʒ/です。フランス語の「ジュテーム」みたいな柔らかい感じの「ジ(ュ)」です。
自分でやってみると,柔らかいの/ʒ/ときは舌が口の中でどこにも触れずに浮いており,/dʒ/の時は舌が上がって口の中の天井に触れるか接近すると思います。というより/tʃ/と言おうとしたら舌は上がりますよね。それを濁らせるわけです。
次に,どういう場合にどちらになるかですが,英語では語頭では/dʒ/が基本です。例外にgenre/ʒɑ́(ː)nrə/がありますが,フランス語からの外来語です。
外来語を除けば,本当に語頭では/dʒ/が多いのでしょうか? 幾つか見てみましょう。
July /dʒuláɪ/
judge /dʒʌdʒ/
giant /dʒá(ɪ)ənt/
John /(米)dʒɑ(ː)n(英)dʒɔn/
語頭では/dʒ/ですね。genderでも,Gemini「双子座」でも,junk「ガラクタ;ヤク」でも,何でも引いてみて下さい。外来語を除き語頭は/dʒ/のはずです。
これに対し語頭以外では難しいですね。measureは/mé(ɪ)ʒər/ですから/ʒ/です。しかしmajorは/méɪdʒər/だから/dʒ/です! 上のjudge/dʒʌdʒ/は/dʒ/ですね。bridgeも/dʒ/です。もしかしたら“-dge”は/dʒ/一択かもしれませんね。
英語によく見られる「……ジョン」は,
pigeon「鳩」は/...dʒ(ə)n/
religion「宗教」も/...dʒ(ə)n/
region「地域」も/...dʒ(ə)n/
occasionは/...ʒ(ə)n/
conclusionは/...ʒ(ə)n/
です。もしかしたら“-gion・-geon”は/...dʒ(ə)n/,“-sion”は/...ʒ(ə)n/で,綴り(gかsか)で判別できるのかもしれませんね。もっとも,英語は綴り字と発音の関係が当てにならない珍しい言語なので,少しでも気になったら辞書を見るようにしましょう。
なお,「ブリヂストン」はbridge /brɪdʒ/ の /dʒ/ をちゃんと「チ」の有声音化の「ヂ」と表記していて,発音に対する配慮があったと思います。