-er には「〜する者」の意がありますが,そのせいでうっかりしやすい語を確認します。
(1)murder「殺害する;殺害」
→murderer「殺人者,殺人犯」
(2)slaughter「殺戮する;殺戮」
→slaughterer「殺戮者」
(3)encounter「遭遇する;遭遇」
※encountではない(2020/3/10の記事で解説)
→encounterer「遭遇者」(余り一般的な語ではなさそう)
(4)ponder「考えに耽る,熟考する」
→ponderer「考えに耽る人」
※pond「池」→「深い」→「深く考える」と連想すると覚えやすいですよ。
(5)wander「さまよう,放浪する」
→wanderer「放浪者」
wanderは2020/6/2の記事で詳しく解説しました。
(6)tinker「鋳掛屋をやる;修繕;鋳掛け屋」
→tinkerer「鋳掛け屋」
さすがにwanderが「放浪者」ではないのは分かりますよね。でもmurder,slaughterなんかは「殺人者」「殺戮者」とうっかり思ってしまいそうです。marauderは「略奪者,襲撃者」ですから,slaughterも「殺戮者」かなと勘違いするわけです。正しくはslaughterに更にerをつけてslaughtererですね。ネイテイブでもうっかり ×He is a murder! と言い間違ってしまう人,いたりするんでしょうか(正しくは更にerを付けてmurderer)
面白いのはtinkerで,これは例外的にtinkerでもtinkererでも「鋳掛け屋,修繕屋」のようですね。私が初めてtinkererという語を知ったのはFF11のGoblin Tinkererです。
-erで終わる動詞には,他にもwither「しぼむ」,smother「覆う」,tether「繋ぐ」などたくさんあります。weatherは「天気」という意味から「風雨にさらして傷ませる」という動詞があり,-erで終わる名詞がそのまま動詞化した-er型動詞もあるわけです。
また-erと言えば比較級の語尾ですよね。形容詞のlower「より低い」「下の方の」から,動詞lowerは「下げる,下ろす」です。また動詞utter「声を発する」も,語源的には形容詞の比較級です(ut - utter - utmest)。utはoutで,utterは「より外へ」から「声を発する;完全な」,utmestはutmost「最高の,最遠の」の語源です。