2020/2/13の記事で,辞書の見出しでbill1のように右肩に数字がある場合,別のbill2があるから念の為そちらも見るようにしないといつまでも適切な語義が見つけられないという話をしました。
今回はそのような単語としてtipを取り上げます,辞書によってはtip1〜tip4くらいまであるかもしれませんよ!
(1)「先端」「先端を覆う/切り取る」
topと関係があるようです。
“the tip of the”でググると,the tip of the iceberg「氷山の一角」,the tip of one's tongue「舌の先」などがヒットしました。
(2)「軽打」「軽く叩く」
野球の「ファウルチップ」の「チップ」です。tap「軽く叩く」と関係がありそうですね。
(3)「傾ける,ひっくり返す,(傾けて)中身を空にする」
「傾ける」という意味では他にtilt,inclineがありましたね。
「中身を空にする」から,イギリス英語では「ゴミ捨て場」の意味もあるようです。
語源は(1)の「先端」→「先で触れる」と推測されています。(2)と分けましたが,(2)も「先で触れる」のイメージからです。
(4)「チップ(祝儀)(をやる)」「こつ(tips)」「密告,情報」
これもどうも(1)「先端」から来ていると推測されています。「指先でちょいと渡す」といったイメージなんですかね。
以上,tipは「先端」「軽打」「傾ける」「チップ(祝儀)」があることが分かりました。日本語の「チップ」と言われるもののうち,「ファウルチップ」の「チップ」と「祝儀」の「チップ」は同じ綴り(tip)ということになります。
では,「ポテトチップ」はどうでしょうか?
これはchip「かけら」です。「ポテトチップ」とコンピューターの「マイクロチップ」,そしてギャンブルの「チップ」はchipです。難しいことに,サッカーの「チップキック」,ゴルフの「チップショット」はchip,野球の「ファウルチップ」はtipとなるようですね。
発音も「ティ/tɪ/」と「チ/tʃɪ/」なので気をつけて下さい。