英文読解時にaudience=「観客」で決め打ちすると痛い目に遭うことがあります。
結論的に言うとaudienceは映画・演劇に限らず,基本的にあらゆるメディアの利用者です。
まず語源的に見ると形態素“audi”は「聴く」を意味し,そういう意味では「聴衆」です。でもその場にいれば聞くと同時に見られるので「観衆・観客」でもいいということになります。
そして今では本の「読者」(reader),ラジオの「リスナー」(listener),ウェブサイトの「閲覧者」,また芸術家の作品を見る人までaudienceと言えます。例えはウェブサイトの週間閲覧数の意味でweekly audienceみたいな表現,見ますよね? と思って “weekly audience” をググってみると,女王がなんたらみたいのがたくさんヒットしました。改めてMacに入っている『ウィズダム英和辞典』を引くと「謁見」というのが載っていました。weekly audienceには「週1回の謁見」の意味もあるのですね。
最後に形態素 “audi” を使った単語を確認しておきます。
audible「聞き取れる」
auditorium「大講堂」
audition「聴力,試聴(×視聴),オーディション」
auditory「聴覚の」
「聴力」のauditionは「オーディション」と紛らわしいですが,earやhearingが簡単なようです。have a good earで「耳が良い」です。またhave an ear for... で「(音楽)の鑑賞力がある」です(見る物の場合はhave an eye for...)。なおこれらのan ear,an eyeは「聞く力」「見る力」という比喩的な意味なので,耳・目が2個ずつあっても単数です。この現象はhave a sweet toothにも見られます(歯の複数形はteethだがa toothでよい)。toothが「歯」から「食べ物の好み」という意味に変化しているからです。
この記事を書いて私も勉強になる部分がありましたが,辞書はこまめに引きましょう。辞書を引けば引くほど,長い目で見れば時間の節約になるはずです。