2020/6/13の記事でvengeance「ヴェンジェンス」がでてきたので“venge”系をまとめます。
(1)revenge「復讐,報復」「復讐する」
(2)avenge「復讐する」
(3)vengeance「復讐,報復」/vɛndʒəns/ [ヴェンジャンス]
※ぱっと見て分かるのは,revenge は名詞・動詞あり,avenge は動詞のみ,vengeance は名詞のみという点です。revenge が使いやすそうですね。
※“ge”の部分の発音は /dʒ/ でも /ʒ/ でも良いようですが,普通はどちらかに決まっています。この話はいずれやります(語弊を恐れず言えば「ヂ」と「ジ」の違いのようなものです)
私の昔の認識では(昔引いた辞書に書いてあったような……)revenge は自分のための復讐,avenge は他人のための復讐という違いがありました。例えば1999年に松坂大輔が「リベンジ」という言葉を流行らせましたが,これは自分のためにやること(雪辱)だからイメージが合ってるし,DIABLOというゲームで町人が Avenge us! とプレイヤーに頼んでくるのですが,これは「私達の恨みをあなたが晴らして下さい」という意味で,「他人のための復讐」というイメージに合っていたのです。
ただ言葉が変化したのか,今一度辞書を引くとそういう点は強調されていませんでした。
いずれにしても動詞の使い方は要注意です。“revenge 人”,“avenge 人”と目的語を取る場合,人の所に来るのは恨みを晴らす相手ではなく,恨みを晴らしてもらいたい人です。先程の Avenge us! は「私達の為に復讐してくれ」という意味であり「私達をボコボコにしてくれ」という意味ではありません。もし自分の為の復讐を自分でやる場合は,revenge oneself [avenge oneself]「自分自身の為に復讐する」となります。さらに受動態 be revenged [avenged] でも「復讐をする」の意味になるようです。上の us や oneself は恨みを晴らしてもらいたい人ですから,We were avenged. とすれば「私達の恨みは晴らされた」ということです。だから be revenged [avenged] は「恨みを晴らす(自分の恨みが晴れる)」という意味になるわけです。この “動詞+oneself”=“be+過去分詞” という現象は一部の動詞に見られることです。例えば hide oneself も be hidden もある意味「隠れる」ですし,be concerned「心配する」を concern oneself とも言えます。一部と言ったのは,kill oneself(自殺する)と be killed(殺される・事故死する)のように違う場合もあるからです。
長くなりましたが,では,恨みを晴らす相手(憎い相手)はどう言うのでしょうか?それは on/upon で言うようです。つまり,
revenge [avenge] A on B「A のために B に復讐する」
revenge [avenge] oneself on B「(自分のために)B に復讐する」
です。また名詞の revenge, vengeance なら against も使えます。ウィキペディア英語版で「Chūshingura(忠臣蔵)」を引くと,vengeance against Lord Kira「吉良公に対する復讐」という表現があります。
revenge, avenge の使い方は要注意なので,「自分をボコボコにしたい」のようなすごく変な言い方にならないように気をつけないといけませんね笑
(4)vengeful, revengeful「復讐に燃えた,執念深い」
(5)avenger「復讐者」
※revenger はないようですね。
最後に scavenge「残り物をあさる」も関係あるのでは!?と期待して etymology を調べましたが,どうやら関係はないようですね……