フレイニャのブログ

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Asgard Stories 11:ドワーフの鎖vsフェンリル

Asgard Stories

フレイがスキールニルを遣わしてドワーフに鎖を注文したAsgard Stories 10の続きです。

After two days this messenger returned to the dwarf king. The king, holding out in his hand a fine, small chain, said to the messenger: “This may seem to you to be small and weak; but it is a most wonderful piece of work, for we have used in it all the strongest stuff we could find. It is made of six kinds of things: the noise made by the footfall of cats, the roots of stones, the beards of women, the voice of fishes, the spittle of birds, the sinews of bears. This chain can never be broken; and if you can once put it on Fenrir, he will never be able to throw it off.” Odin’s messenger was glad to hear this, so he thanked the dwarf king, and promising him a large reward, he went on his way back to Asgard, where the Æsir were longing for his return, and were all rejoiced to see him with the magic chain.

2日後,この使者はドワーフの王のもとに戻りました。王は精巧に作られた小さな鎖を手に持ち,使者に言いました。「これはお前さんの目には小さく脆いものに見えるかもしれないがものすごく良くできた一品だ。見つかる中で一番強い材料をみな使ったからだよ。これは6種類の物でできている。猫の足音からなる騒音,石の根,女のあごひげ,魚の声,鳥の唾,熊の腱からできているのだ。この鎖は決して壊せないから,もしフェンリルに付けてやれば,振り払うことはできないよ」 オーディンの使者はこれを聞いて喜び,ドワーフの王に謝意を述べ,王に大きな褒美を約束し,アースガルズに戻りました。そこではエーシル達が彼の帰りを待ちわびていて,みな彼が魔法の鎖を手にしているのを見て喜びました。

stuffは「物,材料」です。staff「職員,杖」と混同注意。トールがとにかく大きく頑丈な鎖を作ったのに対し,ドワーフ達はその最先端テクノロジーによる細くとも強靭なものを作ったのです。ところがその材料を聞いて唖然としますね。希少な地下資源かと思いきや,猫の足音,魚の声とかふざけたものばかりです。彼らはマジックアイテムを作ったのですね。「女のあごひげ」で気づくかもしれませんが,矛盾したものなんです。猫は静かに歩きますよね。この世にないものを集めた,と言うより,ドワーフが使ってしまったから無くなったという世界解釈なのです。となると「当時はありきたりのものを使った」ことになってしまいますが,それなりに貴重だったものを全部集めて使い切るほど凝縮して魔力を高めたと解釈すればよいのでしょう。

sinewは「腱」ですが,「腱」はtendonともいい,アキレス腱はAchilles’ tendonです。綴りがまんま天丼です。

long for... は「…を恋い焦がれる,待ちわびる」です。longの副詞の意味「長く」から,「長くなる」→「長考する」→「思いにふける」と発展していったようです。

rejoice「喜ぶ」は2020/2/10の記事の(9)で解説しました。

 

Now Father Odin feared that Fenrir would not let them bind him a third time, so he proposed they should all take a holiday, and go out to a beautiful lake to the north of Asgard, where they would have games and trials of strength. The other gods were pleased with this plan, and all set out in Frey’s wonderful ship, which was large enough to hold all the Æsir with their horses, and yet could be folded up small enough to go in one’s pocket. They landed on a lovely island in the lake, and after the races and games were over, Frey brought out the little chain, and asked them all to try to break it. Thor and Tyr tried in vain; then Thor said, “I do not believe any one but Fenrir can break it.”

ところで父なるオーディンフェンリルが3度目は自分を縛らせないだろうと心配したので,みんなで休暇を取り,アースガルズの北にあった美しい湖へ行って,そこで力試しのゲームをやろうと提案しました。エーシル達はみなこの案に賛同し,フレイが持っていた不思議な船で皆出発しました。その船は全てのエーシルとその馬を収容できるほど大きいのに,誰かのポケットに入ってしまうくらい小さくできるというものでした。彼らは湖の中の美しい島に上陸し,競争やゲームが終わると,フレイが小さな鎖を取り出して,これを壊してみてと皆に言いました。トールとテュールが試みましたが無駄でした。するとトールは「フェンリルを除いて壊せないだろうな」と言いました。

nowは「今は,今度は」という意味と「さて,ところで」があり悩ましいですが後者と取ります。

propose that S shoud V「SがVするよう提案する」が使われています。

・細かいですがa lake to the north of Asgardは,アースガルズには含まれない,アースガルズ北方にある湖の意味です。アースガルズに含まれる,アースガルズ北部にあった湖はa lake in the north of Asgardです。なお湖の名はアームスヴァルトニル,島の名はリングヴィです。

and yetは「それでいてしかも」といった意味です。なおフレイの不思議な船の名は,スキーズブラズニルです。ドワーフ(ドヴェルグ)製です。

in vainは「無駄に」。「無駄に試みた」は「試みたが無駄だった」と訳します。... was in vain「……は無駄だった」のようにも使えます。

 

Now the wolf did not want to be bound again; but he was very proud of his strength, and, for fear of being called a coward, said at last he would let them do it, if he might hold the right hand of one of the Æsir in his mouth while they bound him, as a sign that the gods did not mean to play any tricks.

今回はフェンリルも縛られたがりませんでしたが,力強さには誇りがあったので,臆病者と言われるのを恐れ,ついには縛られてやろうじゃないか,ただし縛られる間,エーシルが小細工をしない証として,エーシルの誰かが右手を口に咥えさせるのであれば,と言いました。

for fear of Nは「Nを恐れて(恐れるがゆえに)」という意味で,理由が恐怖だったことを著します。他にも理由が欠如であることを示すfor lack of N「Nがないゆえに」もあります。それぞれbecause he feared N,because we lack Nなどで済みますので,固い表現です。

a trickは「悪気のない悪戯」「騙す策略」で,今回は後者ですね。

 

When the gods heard this, they looked at each other, and all but one of them drew back. Only the brave, good Tyr stepping forward, quietly put his hand into Fenrir’s mouth. The other gods then put the chain around the beast, and fastened it to a great rock. The fierce creature gave a leap to free himself, but the more he struggled the tighter grew the chain. The Æsir gathered about him in joy to see this, but their hearts were filled with sorrow when they saw that their noble Tyr had lost his right hand; the dreadful wolf had shut his teeth together in his rage, when he found he could not get free. Thus the brave Tyr dared to risk danger for the sake of saving others, and gave up even his right hand to gain peace and happiness for Asgard.

エーシル達はこれを聞いて顔を見合わせ,1人を除いて後ずさりました。勇敢なテュール君だけが前に進み出て,静かにフェンリルの口に手を入れました。他のエーシル達はフェンリルの鎖を巻きつけ,大きな岩に固定しました。獰猛なフェンリルは自らを解き放とうと跳躍しましたが,足掻けば足掻くほど鎖はきつくなっていきました。エーシル達はこれを見,喜んで彼の周りに集まりましたが,テュール君が右手を失っているのに気づいて彼らの心は悲しみで一杯になりました。フェンリルは逃げられないと悟った時,怒りで歯を噛み締めていたのです。このようにして勇敢なテュールは皆を助けるために危険を敢えて冒し,アースガルズに平和と幸福をもたらすために右手さえ捧げたのでした。

テュールいいやつすぎひん?(´・ω・`)

 元はオーディンが狂犬(失礼)を連れてきたのが間違いの元でしたが,北欧神話はミーミルの件といい,自己犠牲が効果的に描かれていますね。

・しかしドワーフを見くびっていました。彼らのマジックチェーンは,フェンリルを拘束するのに成功したのです。この鎖のことをグレイプニルと言います。オーディンの腕輪ドラウプニルと混同注意ですが,ミョルニルも含め,みなドワーフ達が製造したものです。フレイの魔法の船もドワーフ製ですし,すごいですね。

drawは「引く」ですが「線を引くように動く」といった意味があります。draw back「後退りする」,draw near「近づく」です。

freeは「自由にする,解放する」,fleeは「逃亡する」です。

the more he struggled the tighter grew the chainは「~すればするほど…」のthe+比較級~,the+比較級… です。the more he struggled the tighter the chain grewで,「彼がstruggleすればするほど,鎖はtightになっていった」(growはここでは「…になる」)なのですが,今回はthe chain grewが倒置してgrew the chainとなっています。このような倒置は必須ではなく,the chain grewでもOKです。

・なおstruggleは「奮闘努力する」のような良い意味に見える訳語もありますが,「もがく」「あがく」「苦労して進む」「苦闘する」といった「苦しむ」のニュアンスもあります。

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フェンリルを縛るの一件は以上です。次回はフレイヤが旅に出ます!

 


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