英語の名言11は「教育編」でしたが今回は「賢者愚者編」です。
(12)
The fool wanders, a wise man travels.
愚者はさまよう,賢者は旅する
Thomas Fuller(1608-61,イギリスの牧師)
愚者はさまよう(笑)
言わんとすることは分かりますね。目的を持って行動するのが「賢者」で,目的もなく右往左往するのが「愚者」と言いたいのでしょう。「放浪」それ自体が必ずしも悪いということではないので,あくまでも比喩だと思います。
トマス・フラーはイギリス国教会に属し,歴史家でもあり,Worthies of Englandで有名だそうです。worthy「価値がある」の名詞は「名士」という意味で,「偉人伝」のようなものでしょうか。なお細かいですがThomasはアメリカ英語では/tɑ́(ː)məs/,イギリス英語では/tɔ́məs/のようなので,イギリス人であれば「トマス」が近いのではと思います。
fullの比較級に見えるFullerという姓は前から気になっていて,この機に調べました。語源を調べるには“単語 etymology”でググるのです! するとこれは比較級語尾ではなく,サッチャーThatcher「藁葺き職人」やテイラーTailor「仕立て屋」のような職業名を由来とすることが分かりました。full clothとは「布を縮絨する」「砧をうつ」(シワを伸ばしきれいにする作業)という意味で,Fullerはそれをやる職人だったのでしょう。大学の経済学の授業で学んだのですが,分業の発達で(イギリスでは)様々な細かいことをする職人が存在し,「上(2階くらいの高さ)にいる工員に向かってボルトを正しく投げてよこす職人」というのがいたそうです。彼は一日中それをやって生計を立てていたのでしょうかね……
フラー姓では映画監督のサミュエル・フラーが有名なようですね。
今回はちょっと(姓の語源の)勉強ができてよかったです。
次回は「教育編」になります。お楽しみに!