フレイニャのブログ

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Asgard Stories 6:オーディン,巨人の国を抜ける

Asgard Stories

Asgard Stories 5ではオーディンがアースガルズを出発し,虹の橋ビフロストでヘイムダルが出迎える場面でした。そのヘイムダルに見送られ,一人旅が始まります。

They hurried over the bridge until they came to Heimdall’s far-shining castle, at the farther end of it. This was a lofty tower which was placed so as to guard the bridge, and it sent forth into the land of the giant enemies such a wonderful, clear light, that Heimdall could see, even in the darkest night, any one who came toward the bridge. Here Odin stopped a few moments to drink the mead which the good Heimdall offered him.

彼らは橋を急いで渡り,ついに橋の終わりにあるヘイムダルの遠く輝く城まで来ました。これは橋を守るために置かれた高い塔で,どんなに暗い夜であろうとも,橋に向かって来る者が誰であろうと見えるような,不可思議な明るい光を巨人の敵達の国の内部まで放っていました。ここにオーディンはしばらく立ち止まり,ヘイムダル君が彼に差し出した蜂蜜酒を飲みました。

・虹の橋の端にあるヘイムダルの城ヒミンビョルグと言うそうです。

S V until S’ V’は「S’V’するまでSVする」ですが,特に「SVして,そして(ついに)S’V’する」と訳すこともできます(S V, until at last S’ V’と「ついに」が明示されている時もあります)。「城にやって来るまで橋を急いだ」より「橋を急ぎ,そして城にやって来た」の方が読者の視点を誘導する叙述になります。

so as toはin order toのような意味ですが,in order toと違って文頭には立てません。また「ソーアズトゥー」ではなく「ソウズタ」のような発音になります。

it sent forthの所は要注意です。sendは普通目的語があるはずですが,forthは目的語ではなく「送る方向」を示していますね。実はsend A forth into B「AをBの中まで送る」を,send forth into B Aという語順にできるのです。Aがforth into Bの後ろに回されたとも言えるし,forth into BがAの前にしゃしゃり出てきたとも言えます。Aに色々尾鰭がついて長過ぎてしまった時に起こります。今回Aはsuch a wondeful…toward the bridgeと長いですね。長いものが後ろに回されるのは,英語ではよくある現象です(形式主語・形式目的語,The time will come when...など)

ヘイムダルの城は巨人の国内部に届く程の光を放っていたために,far-shining castleと言っていたわけですね。

 

Then said Odin, “As I am journeying into the land of our enemies, I shall leave my good horse with you; there are not many with whom I would trust him, but I know that you, my faithful Heimdall, will take good care of him. I can best hide myself from the giants by going on as a wanderer.” With these words the Allfather quitted Heimdall’s castle, and started off toward the north, through the land of the fierce giants.

それからオーディンは言いました。「私は敵地に入って旅することになるから,この馬をお前に委ねたい。スレイプニルを預ける相手は多くないのだが,忠実なヘイムダル,お前はこれの面倒をよく見てくれるだろう。放浪者として旅した方が,巨人どもから身を隠しやすいのだ」 こういうことを言って父なるオーディンヘイムダルの城を離れ北へ,獰猛な巨人の国へ旅立ちました。

leave 物 with 人は「物を人に委ねる」です。物とはスレイプニルですね。

with whom以下は少し難しいですが,関係代名詞は本体(先行詞)に戻しましょう。先行詞はmany「多くの者」ですから,whomをmanyに戻せば,I would trust him with many「私は彼(=スレイプニル)を多くの者に預ける」です。trust 物 with 人は前のleave 物 with 人と同じです。では何故変えたのでしょうか。英語では同じなのに表現をわざと変えることが多いのです。このパラフレーズに慣れましょう。結局,there are not manyですから,「私がスレイプニルを預ける者は多くない」→「私は多くの者にスレイプニルを預けたりはしない」です。注意深いヘイムダルを特に信頼しているということを含ませているわけですね。

quitは「やめる」ですが,堅く「離れる」の意があります。過去形・過去分詞はquitまたはquitted(イギリス英語)です。

 

During all the first day there was nothing to be seen but ice and snow; several times Odin was nearly crushed as the frost giants hurled huge blocks of ice after him. The second day he came to mountains and broad rivers. Often when he had just crossed over a stream, the mountain giants would come after him to the other bank, and when they found that Odin had escaped them, they would send forth such a fierce yell, that the echoes sounded from hill to hill. At the end of the third day, Odin came to a land where trees were green and flowers blooming.

1日目は氷雪以外に見るものはありませんでしたが,たびたび氷の巨人が彼めがけて氷の塊を投げつけたのでオーディンは潰されそうになりました。2日目は山々や大きな川のある所にやって来ました。オーディンがちょうど川を渡りきった時に,山の巨人が彼を追いかけてオーディンのいた岸に到達することも多く,オーディンが逃れたことを知ると物凄い咆哮を上げ,こだまが山中を響き渡るほどでした。3日目の最後にオーディンは木々が青青と生い茂り花々が咲いている土地にやって来ました。

nothing to be seen but... は「…以外見えなかった」です。nothing but... = only... は2020/2/12の記事で解説しました。

nearly/almost は便利な表現で,危うくそうなりかけたことを表します。He nearly fainted, He almost faintedで「気を失いかけた」です。位置はalwaysやsometimesを置く位置,つまり〈一般動詞の前,be動詞・助動詞の後〉です。実際was nearly crushedとbe動詞の後になっていますね。

the other bankは「もう一方の土手」「反対側の岸」ということですが,巨人達がオーディンを追いかけていたことを考えると,「オーディンがついさっきまで(=川を渡る前に)いた岸」のことですね。

なお放浪者の方が正体がバレないと言ってスレイプニルヘイムダルに預けていったのに,巨人に追いかけられていますね。矛盾に思えますが,巨人はただ「怪しいやつ」と追いかけていたのかもしれません。

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オーディンはどんな場所に到達し,何をするのでしょうか。

↓次回です

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