ありそでなさそな英単語2「ハートフル」に引き続き3です。「幼稚園」を表すのに×kindergarden(キンダーガーデン)という英単語はなく,kindergarten(キンダーガーテン)が正しいです。
ドイツ語のKindergarten(キンダーガルテン)をそのまま借用したからですね。
確かにGartenに対応する英単語はgardenですが,Gartenをgardenに直すと
Kinder(childrenに対応)はどうするの?ということになってしまいます。
今回はそれだけなので,ついでに「日本語のカタカナに見られるドイツ語の影響」の話を追加します。ドイツは学問が盛んなので,ドイツ語が日本語にも入ってきました。
昔の左翼学生には「ゲルピン」(ゲルトGeld「お金」がピンチ)なんて言葉もあったようです。
a part-time jobを「アルバイトArbeit」と言うのも,ドイツ語の影響ですね。
学生がふざけて「今日は労働(アールバイト)があるのだよ」とか言っていたのでしょう。
ちょっと難し目では「シェーマ(=図式)」なるカタカナ語がありますが,ドイツ語のSchemaの影響であり,英語では「スキーム(scheme)」「スキーマ(schema)」です。
特に私が声を大にして言いたいのは,「ヒエラルキー」という発音は英語でもドイツ語でもおかしいということですね。
hierarchyは英語では「ハイアラーキー」「ハイラーキー」/háɪ(ə)rɑːrki/ です(háɪ に強勢)。「序列,階層性,上下関係」という意味の重要語です。
だからといって「『ヒエラルキー』というのはドイツ語の発音なんだよ」と言うのも軽率かもしれません。
ドイツ語のHierarchieは「ヒエラルヒー」/hieʁaʁˈçiː/ です(çiː に強勢。çiː は「キー」ではなく「ヒー」)。つまり日本語の「ヒエラルキー」は,英語の発音としてはもちろんのこと,ドイツ語の発音としても不正確なのです(ただコクニーのようなノリでich「イッヒ」を「イック」と言う人もいるようですが)
こう言えば正しいかもしれませんね:
(2倍速で)「ヒエラルキーってのはさ,ドイツ語『風』の発音なんだよ。ドイツ語『風』ってのはね,正確にはヒエラルヒーなんだけど,最後だけ『キー』になっちゃったんだねー」
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