フレイニャのブログ

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Asgard Stories 2:巨人族と神族,ユグドラシル

Asgard Storiesの表紙

プロジェクト・グーテンベルク(海外の青空文庫)を利用して少年少女向け北欧神話の本「アースガルズ物語」を和訳をしていく試みの第2回となります。なお前回はこちらです。

英語には興味はないが北欧神話には興味があるという方は,和訳(斜体にしています)と,Wikipediaで調べた注釈の部分だけ読んでいって下さい。

From these two, the giant and the god, came the two great races of giants and gods, who were always enemies to each other. The giants were constantly trying to break into Asgard, the home of the gods, in the sky; the gods, on the other hand, watched and planned to keep out the giants, and to drive them back to their own stronghold, Utgard.

これらの2つ,巨人と神からは,巨人族と神族という2つの大きな種族が生まれ,彼らは絶えず敵対しました。巨人族は天空にある神族の拠点,アースガルズに絶えず侵入しようとし,他方神族は巨人族を見張って締め出し,彼らを本来の根城であるウートガルズに追い返そうとしました。

〈From N〉came S「NからはSが出てきた」という,倒置構文(S V→V S)になっています。

break into... は「……に侵入する,押し入る」で受動態も可能(The store was broken into.)

strongholdhold「掴む,収容する」の意から「要塞」の意があり,スカイリムには「ウィンターホールド」という地名もありました。stronghold「牙城,本拠地」という意味です。なお「ウートガルズ」は巨人の国「ヨトゥンヘイム」の一部です。

 

Our world, where men and women lived, was between Utgard and Asgard; it was called Midgard, and around this Midgard world, under the ocean, was coiled a monstrous serpent, who grew so long that his tail grew down his throat. He was called the Midgard serpent.

人間の男女が住んだ我々の世界はウートガルズとアースガルズの中間にあり,ミズガルズと呼ばれました。そしてこのミズガルズ世界の周囲,大洋の底には恐ろしい蛇が蜷局(とぐろ)を巻いており,この蛇は余りにも長いので尾は喉の中にまで及んでいました。この蛇はミズガルズの大蛇と呼ばれました。

・「ミズガルズの大蛇(ミズガルズオルム,ミッドガルドの蛇)」は別名「ヨルムンガンド」ですね。

 

A wonderful tree, named “Yggdrasil,” connected all the worlds. This great ash tree had its roots in Utgard, and the tops of its branches reached up so high as to overshadow Asgard. Its three main roots were watered by three fountains, and near one of them sat the wise giant Mimir, of whom we shall hear later. The Norns, three sisters, also lived at the roots of Yggdrasil, and were careful to see that it was watered every day.

ユグドラシル」と呼ばれた不可思議な木が,全ての世界に繋がっていました。この巨大なトネリコの木はウートガルズに根を張り,その枝の先は余りにも高く聳えたのでアースガルズに影を指す程でした。その3つの主要な根は3つの泉から水を吸い,そのうち1つの泉の傍らには賢い巨人ミーミルが座っていました。後で彼の話を聞くことになります。ノルン3姉妹達もまたユグドラシルの根元に住んでおり,毎日ユグドラシルが水を供給されているか注意深く見張っていました。

・危ない,ash treeを「灰の木」と誤訳するところでした。北欧神話に詳しくないので「ユグドラシルは灰の木だったり,灰色の木だったりするのかな?」とWikipediaを色々調べてもそうとは書いておらず,辞書をもう一度見てみたら『ウィズダム英和辞典』にash2「西洋トネリコと書いてありました。ash1のように右肩に1と書いてあれば必ず2がある(2がなければ1などと書かないはず)という,自らが注意喚起したことを忘れていました。

water... 「……に水をやる」という意味です。目から涙が出たり口からよだれが出る場合,自動詞のwaterが使えます。

see that... は「……であることが分かる」(cf. I see.)の意味も大切ですが(Asgard Stories 1で登場),see to it that... のことをsee that... とも言え,この場合は「必ず……になるよう気をつける(make sure that, ensure that)」という意味です。see that... は2択ということになりますね!

 

A little gray squirrel was always running up and down the tree, jerking his tail and hurrying to tell the news to every one along the way. He was so anxious to be the first one to carry the news, that many times he brought trouble to himself and to others, because he was not always careful to tell a story just as he had heard it, and often every one would have been happier if the squirrel had kept the story quite to himself.

小さな灰色のリスがしゅっちゅうユグドラシルの木を登ったり降りたりしていて,尻尾を振り振りして途中に出会う誰にでも新しい知らせを語っていました。リスは新しい知らせを最初に届ける者になることに躍起になっていて,度々自身と他の者達に厄介事を巻き起こしていました。というのも彼は必ずしも耳にしたままの話をしなかったからであり,彼が黙ってくれていた方が皆幸せだったであろうに,ということが度々ありました。

・このリスは「ラタトスク」ですね!FF14のストーリーで名前を知りました。いやー,楽しいですね,この本w

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be always Ving(進行形+always)「いつも……してばかりいる」が有名な訳です。が,「いつも文句を言っている」と言っても実際には「文句が多い」「しょっちゅう文句を言っている」という意味で,その誇張と言えるでしょう。

jerk「ぐいと動かす」という意味で,重量挙げ用語にもなっています。そしてなぜか「キモい奴」のような意味でドラマなどで使われますね。

not always「いつも[必ずしも]……わけではない」。部分否定です。

・every one would have been happier if the squirrel had kept仮定法過去完了です。過去の反実仮想を表し,「仮にリスがkeepしていたら,皆もっとhappyであっただろうに」という意味です。keep N to oneself「Nを秘密にする」です。

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まだ世界の構造を説明しているところですね。いやー楽しい(個人的に)。今回はこの辺にしておきたいと思います。

↓次回です

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