下記の記事で,It’s worth noting that...「……であることは言及・注目に値する」
というものを紹介しました。
このworthは目的語を取り,
(be) worth Oで「Oの価値がある,Oに値する」です。
This PC is worth $500.「このPCは500ドルの価値がある」
This PC is worth the price.「このPCはその値段の価値がある」
この worth の品詞は何でしょうか。
(1) 目的語が取れるのは基本的に他動詞・前置詞です。
(2) また worth は be の後に書けます。
ということは前置詞ということになりますね。例えば前置詞の for・against や into は
I’m for the plan.「私はその計画に賛成だ」
I’m against the plan.「私はその計画に反対だ」
He’s into her.「彼は彼女にぞっこんだ」
のように (1) be動詞の後に書け,(2) 目的語が取れます。
ところが worth には,more worth - most worth と比較変化できるという特質があります。
比較変化できるのは形容詞・副詞ですね。
このため worth は,目的語が取れる形容詞とみなすこともできます。
A) 比較変化する前置詞
B) 目的語が取れる形容詞
どちらにしても珍しいわけですが,B に関しては
S is worth O. に似たものとして
S is worthy of O. というものもあり,
worthy は目的語を取るのに of が必要なので純然たる形容詞,
worth は of がなくても目的語が取れる特殊な形容詞と見ることもできます。
ドイツ語にも(2格や3格の)目的語を取れるものがあるようですね。
なお,worth の th は濁りませんが (/θ/),worthy の th は濁ります (/ð/)
さて,worth には重要な用法があります。
(○)Kyoto is worth visiting.「京都は訪れる価値がある」というものです。
ただし S is worth Ving「S は V する価値がある」において,V は他動詞(句)で,S が V の目的語に当たることが必要です。
(×)He is worth driving this car.「彼はこの車を運転する価値がある」は誤りで,
(○)This car is worth driving.「この車は運転する価値がある」(drive this car が成立)は正しいです。
また,listen to this symphony が成立しているので,
(○)This symphony is worth listening to.「この交響曲は聞く価値がある」も正しいです。
(○)His speech is worth listening to.「彼の演説は傾聴に値する」
この,「S が V の(意味上の)目的語に当たる」という縛りと無関係に worth を使うには,
(○)It is worth while to-V...
(○)It is worth (while) Ving...
があります。