getと言えば「得る」ですが,「自分が移動する」という意味があるのをご存知でしょうか。
(1)「(自分が)移動する」のget
get on a bus「バスに乗る」,get off「降りる」,get out (of here)「(ここから)出ていく」,get across the river「その川を渡る」などの例を示せば分かりますね。
getは「移動する」であり,on a bus,off,out,across the riverは移動方向を示しているわけです。
「テーブルの下に潜る」はget under the tableです。
「水中にダイブするくらいの勢いでテーブルの下に潜る」場合はdive under the tableと言っても良いようです。
このgetは目的語を取っていないので自動詞ですね。
(2)「(他者)を移動させる」のget
「移動する」のgetが目的語を取れば,「目的語を移動させる」の意に使えます。
get outは「出ていく」ですが,get him outとすれば「彼を出て行かせる」です。
get O downは「下ろす」,get O inは「入れる」ですね。
私は中高生の頃,
give it upという語順があるということは……
「風邪」をitで受けた時,「風邪が治る」はget over itなのかget it overなのか?
と疑問に思ったことがあります。これはget overの成り立ちを理解していなかったせいですね。
get overが「克服する,治る」の意味である場合,その成り立ちは「Aを越えて(over A)行く(get)」→「Aを乗り越える」ですから,get over itです。
これに対しget O overは「Oを越えさせる」であり,get O over Aなら「OをAの向こう側に超えさせる」「OにAを乗り越えさせる」ですね。
get O overには比喩的に「Oを分からせる,理解させる」の意味もあるようですが,これに関してお勧めはget acrossですね。
get across the riverは「川を渡る」であり,目的語を取った
→get O across the riverは「Oを川の向こう岸に渡す」ということですが,
get O acrossは「(言いたいことやジョーク)を,相手に分からせる」の意味があります。
Oにmy pointやmy jokeを入れます。
伝えたかった相手は文脈上明らかなはずですが,明示したければ
I couldn’t get my joke across to the crowd [audience].
となります。