billの意味を解説します!その前に,英和辞典を引く際に注意すべき点についてお話します。
多義語の場合,同じ見出しの下に①,②,……と意味が書かれていますね。
ところが,単語によっては同じ綴りなのに見出しそのものが別項目の場合があります。その場合,bill1,bill2のように番号がついています。
語源が違うのにたまたま同じ綴りになった単語は,見出しを分けるのです。
このことを忘れるといつまで経っても探している意味が見つからない危険性があります。
見出し語の右肩に1という番号があった場合,必ず2以降があると思いましょう。なぜなら2がなければ,1なんて付けないからです。
例えばin the wake of... は,wakeの「起きる」の項目を引いても見つかりません。これはwake2に載っているはずです。
in the wake of... は「…の後に(after...)」という意味です。このwakeは「通った跡」という意味ですが,「目覚める」のwakeとは無関係なので別項目なわけです。
ではbillの解説に入ります。
(1)billは「紙切れ」,特に「大事なことが書いてある紙切れ」のようにイメージして下さい。
①ビラ,ちらし:「ビラ」はbillなんですね。宣伝文句が書いてあります。「ビラを貼る」の「貼る」はpost,stick,pasteが使えるようです。
②紙幣(イギリス英語:note):とても大切なことが印刷されていますね。
③法案:大事なことが書かれていますね。可決される前のもので,「その法案を通す(可決する)」はpass the billです。
④請求書(に書かれた金額):重要な情報ですね。pay the billで「勘定を払う」です。
(2)こちらはbill2となっていると思います。(1)とは語源が違うのでしょう。
⑤くちばし:温厚な鳥の扁平なくちばしで,猛禽のくちばしはbeakと言います。
ウルティマオンラインでcrossbillという鳥が飛んでいたので調べたら「イスカ(交喙)」という鳥でした。「交喙」は「くちばしが交差」って意味ですよね。
その他magpie「カササギ(鵲)」,thrush「ツグミ(鶫,鶇)」なんて鳥も飛んでいていちいち辞書で調べましたよ。その後長文でthrushが出てきた時は「おー,UOで覚えたやつや」となりました。
ネイティブは,小学生でも知っているんでしょうね!
(3)失敗例(2021/3/31追加)
「1が付いていれば2があるはず」という教訓を忘れて誤訳しかかった失敗例を紹介します。「Asgard Stories 2」でのことで,ユグドラシル(Yggdrasil)は ash tree だ,という記述があったのですが,最初「灰色の木」と訳してしまったのです。「灰色の木? 灰の木? 変だなあ」と思いながらもう一度辞書を引いてみたら,ash2「西洋トネリコ」というのがあったのでした。このash2が発見できなければ「灰(色)」のままだったのです。